初挑戦となる100kmトレイルレースへ
2014年7月19〜20日にかけて開催されたOSJおんたけウルトラトレイル100kに参戦した。
本レースは、長野県・御嶽山の麓を舞台にした100kmのロングトレイルレースであり、スタートは深夜0時、制限時間は20時間と過酷な設定である。さらに、100マイル(約160km)部門も併設されたエリート向けレースでもある。
今回が私にとって初めての100kmトレイルレースであり、自らの限界を試す挑戦となった。
ロングレースへの志向と、スタート前の想い
私は、2年7ヶ月前、衰えた心身を鍛え直すためにランニングを始めた。走力が向上するにつれ、次第により長く、より厳しいレースへの志向が強まっていった。そして自然と、100kmや100マイルの完走が目標となっていった。
スタート直前には、過去の自分を振り返りながら、「自分はどこまで行けるのだろうか?」という不安と期待が交錯していた。ロングレースがもたらす極限の非日常――それは日常からの解放であり、心の奥底から新しい刺激を求めているようにも感じられた。
【第1関門】ノーダメージ戦略と現実
今回のレースで掲げた唯一の作戦は、「第1関門(33km地点)までは抑えて走る」こと。チーム「ランオアダイ」のランブラー氏からのアドバイスによれば、「第1関門までノーダメージなら完走できる」という。
アドバイスに従い、序盤はペースを抑えて進んだ。第1関門には5時間1分49秒で到着。自分なりに温存したつもりだったが、右膝には既に違和感があり、ノーダメージとは言い難い状態であった。
膝の痛みとの戦いと、心の葛藤
第1関門を過ぎてからは、右膝の痛みが徐々に強くなり、下り坂を走るのが困難な状態に陥った。痛み止めも効果が薄く、残り60km以上をどう乗り越えるのか、自問自答を繰り返した。
それでも、自らに「痛くない、痛くない」と何度も唱え、音楽で気を紛らわせ、痛みに耐えながら前進を続けた。時にはストレッチやマッサージで応急処置を行いながら、少しずつ距離を稼いでいった。
【第2関門】ドロップバッグで気分転換
65km地点の第2関門には10時間1分58秒で到着。ここでは預けていたドロップバッグを受け取り、Tシャツとソックスを着替えたことで気分転換ができた。さらに、ここからストックを投入し、上りでの推進力、下りでの負担軽減に活用した。
それでも足の状態は思わしくなく、82km地点の第3関門までは歩く場面が多くなった。途中の天然エイドでは頭から水をかぶり、わずかながらのリフレッシュを繰り返した。
【第3関門】ソーメンとコーラに感動
第3関門(82km地点)には13時間20分12秒で到着。このエイドでは提供されたソーメンのしょっぱい汁が極上の味に感じられた。甘いジェルやバナナが続いた後だったため、しょっぱい味が体にしみわたる。
また、私設エイドで振る舞われた予想外のコーラに感激。こうした予期せぬ差し入れが、精神的なエネルギーとなった。
終盤18km|苦しみの中でたどり着いたゴール
ゴールまで残り18km。最後は上り→下り→上りという展開。ラスト10kmからは「全て走る」と決意するも、今度は左足底が激しく痛み出す。右膝をかばって走っていた代償であった。
ロングレースでは、何かしらのトラブルが必ず起こる。それがまるで人生のようでもある。自己暗示をかけ、痛みを無視し、残りの力を振り絞って走り続けた。
94km地点の小エイドはスルー。あと6kmでレースが終わると思うと、自然と涙が溢れた。
フィニッシュ|完走の喜びとウルトラの醍醐味
会場の屋根が見えたとき、ようやくゴールが現実のものとして目の前に現れた。最後の坂を走りきり、全身の力を込めてフィニッシュラインを駆け抜けた。
完走タイムは16時間32分18秒、763名中536位。
初の100kmトレイルレースは、常に痛みとの戦いだった。しかし、それを乗り越えたことで得られたものは非常に大きかった。
タイム以上に、痛みに耐えたこと、自己に打ち勝てたことが何よりも嬉しい。
会心のレースとは言えなかったが、苦しみの中にこそ「楽しい」と感じる瞬間がある――それがウルトラの魅力なのだと気づかされた。
2 コメント
神山さん お疲れ様でした。この時期暑さも半端じゃなく相当過酷なレースだったんでしょうね。うまく表現できませんが、神山さんのブログは、誰でも持っている自分の中の弱さを克服する強さを感じ、共感が持てます。私も10月に八ヶ岳で自転車のロングライド、11月に神流マウンテントレイルが控えているので、目的意識を持った日常を送っていこうと思います。本当にお疲れ様でした!
宮下さん、素敵なコメントありがとうございます。でも自分ではそんなにメンタル強くないと思っています。メンタルが弱まっていると思ったから、ランニングを始めたようなものです。私の次のレースは9月の上州武尊山120kmです。それ以降は、今のところ予定を入れていません。お互いに次のレースに向けて目的意識を持って日々を大事に過ごしていきましょう!