真紅に染まる秋の風景、曼珠沙華の群生地へ
9月末の週末、埼玉県日高市にある巾着田の曼珠沙華(彼岸花)が見頃の後半を迎えていると聞き、急ぎ足で現地を訪れた。
曼珠沙華、別名ヒガンバナ。
その名の通り、秋彼岸の時期になると真紅の花を一斉に咲かせる。この妖艶とも言える花々の群生を一度はこの目で見てみたい——そう思ったのは、2年前のこと。ネット上で偶然見かけた写真に心を奪われ、それ以来ずっと気にかけていた場所である。
圧巻、五百万本の赤い絨毯
巾着田には、なんと約五百万本もの曼珠沙華が咲き誇る。五百万本と言われても想像がつきにくいかもしれないが、実際に目にするとその数にただ圧倒される。一帯が赤く染まり、まるで真紅の絨毯を広げたかのような光景である。
見頃の後半ということで、すでに色あせた花や萎れた花も一部にはあったものの、遅咲きのエリアではまだまだ満開の状態であり、その美しさを十分に堪能することができた。思い切って足を運んで、本当によかったと感じた。
秋の彩りは曼珠沙華だけではない
この時期、巾着田では曼珠沙華だけでなく、コスモスも一面に咲き誇っていた。淡いピンクや白の花が風に揺れる姿もまた見事で、赤一色の曼珠沙華と対比して季節の彩りを一層感じさせてくれる。
さらに、背景には日和田山(標高305m)の緩やかな稜線が広がる。山頂付近から巾着田を見下ろすと、その地形がまるで“巾着”のような形をしていることに気づかされる。これが「巾着田」の由来とのことだ。
アクセスと立ち寄り方
都内からのアクセスも良好である。副都心線を利用すれば、渋谷から乗り換えなしで西武池袋線の飯能駅まで行ける。飯能駅から一駅進んだ高麗(こま)駅が最寄りで、そこから徒歩15分ほどで巾着田に到着する。
この周辺には飯能アルプスと呼ばれる里山トレイルも点在しており、ハイキングやトレイルランの前後に巾着田に立ち寄るのもおすすめである。季節ごとに花々が咲き誇るこの地は、訪れるたびに新しい魅力を発見できるに違いない。