上越・魚沼を舞台にした秋の祭典
11月1日・2日の2日間にわたり、上越・魚沼エリアを舞台としたトレイルランイベント「上越国際トレイルフェス」が開催された。このイベントは、子どもから大人まで誰もが楽しめる構成が魅力。中でも、2日に行われた「トレイルチャレンジレース」は以下の3部門が用意されていた。
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ゴールド:35km(ソロ・ペア・トリプル)
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シルバー:12km
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ブロンズ:2.5km
エントリー形式の多様さも手伝い、家族連れやカップル、仲間同士の参加者で賑わいを見せた。まさに「トレイルの文化祭」とも言える和やかな雰囲気の中で開催された。
私はこの中のゴールド・35kmソロ部門に出走した。
再起をかけて──悔しさを糧に挑む
このレースには、特別な思いをもって臨んだ。
9月に出場した「上州武尊山ウルトラトレイル120km」はDNF(リタイア)という悔しい結果に終わった。その悔しさを引きずったまま過ごした数週間。「このまま年を越したくない」という想いから、再起の舞台としてこの大会を選んだ。
プロデュースは石川弘樹氏。彼の手がけたコースならば、間違いなく面白いはず。晩秋の紅葉の中、ゲレンデ・林道・トレイルをバランス良く組み合わせたアップダウンに富んだ35km。制限時間は7時間。走りごたえのある中距離レースである。
エイドは3か所設置され、地元・魚沼産新米のコシヒカリおむすびや果物、梅干し、塩などが提供される。補給と景色を楽しみながら走るには十分な内容だった。
スタート:滑るゲレンデと格闘する前半戦
レースは午前6時30分にスタート。朝靄の中、前半のメインはゲレンデのヒルクライムとダウンヒル。この急傾斜の芝生斜面がクセモノで、正直苦手意識がある。前日の雨の影響で足元はぬかるみ、滑りやすい。シューズにはadidas XT4を選択したが、グリップが効いていて正解だった。
高度を上げるにつれて、色づいた上越の山々が目に飛び込んでくる。見事な紅葉が疲労を吹き飛ばしてくれた。高度を上げていくと紅葉で色づいた上越の山並みの景色が見事だった。
当間集落から核心部のトレイルへ
最初のエイド(大沢峠)では、果物を手に取り、ボトルに水を補給。そこから当間集落まで一気に下る。林道とゲレンデを交互に走り、当間集落を抜けると、レースの核心部である本格的なトレイルセクションに突入する。
最初に当間川を徒渉し、その後すぐに崖のような急登に挑む。ロープが設置されており安全面の配慮はされているが、斜度がとにかく厳しく、脚はプルプル。
続くブナ林のトレイルは落ち葉が敷き詰められ、フカフカの極上トレイル。あまりの快適さに「ずっとここを走っていたい」と思わせる区間だった。
後半戦:当間山の登り、最後のゲレンデ直登
極上のブナ林の後は、当間山頂への300m超の登り返し。ここで脚は完全に売り切れ、ほぼ全てを早歩きでクリア。そこから再び300mを下り、最後のエイド(大沢峠)へ。
この時点で気温も上がり、水の消費量が想定以上に多かった。前のエイドで補給した600mlのボトルはギリギリのライン。
そして最後のボスが現れる──約80mのゲレンデ直登である。これがとにかくキツイ。頂上が近づくにつれ、「誰だよ、こんなコース作ったのは……」と悪態をつきたくなる。しかし、そこに立っていたのは石川弘樹氏本人。「後ろを振り返ってみてください」と促されて振り返ると、紅葉に包まれた上越の山々が絶景をなしていた。この瞬間、苦しさは吹き飛び、「このコース最高!」と素直に思えた。
ゴール!──満足と課題の交錯
残るは林道とロード。3km地点を過ぎ、ゲレンデの下方にゴールゲートが見えてくる。しかし、ゲレンデの下りはくせ者。草に隠れた側溝が何ヶ所もあり、「この先くぼみあり」の標識に警戒心を強めながら進む。
慎重になりすぎてリズムに乗れないまま、それでも無事にゴール。
記録:4時間26分8秒
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男性40代年代別:20位
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男女総合順位:105位
レース後の満足と今後の課題
ゴール後は、受付時にもらった無料入浴券を使い、ホテルグリーンプラザ上越で汗を流す。豚汁やミネストローネなどの振る舞いにも癒された。
今回のレースは、この1年の締めくくりにふさわしい舞台となった。タイムよりも、「自分を追い込めたかどうか」が評価軸だった。特に、トレイルの登り下りで差をつけられ、林道やロードで追いつく展開が多かった。課題は明確である。
また、今年はロング志向だったが、ショートレースの魅力──気軽さ、軽装、軽快感──も再認識できた。これは今後のレース選択にも影響しそうである。
小規模大会の魅力、ぎゅっと詰まった空間
本大会の参加者は総勢364名(ソロ301名、ペア44名、トリプル24名)と比較的小規模。コース上の混雑もなく、ストレスフリーの快適なトレイル体験が得られた。
加えて、会場・ホテル・浴場・駐車場・トイレなどのハード面がコンパクトにまとまっており利便性が高い。そして、地元の方々の温かなサポートとアットホームな雰囲気。このバランス感覚が絶妙で、また来年も参加したくなる大会であった。
関係者の皆様、素晴らしい大会をありがとうございました。
そして、参加されたすべての皆様、お疲れ様でした!