逃げ出したいマインドを抱えてスタートラインへ
平成31年4月14日、かすみがうらマラソンを走った。
この大会が、自身にとって平成最後のフルマラソンとなる。
だが、レース前日のマインドは非常に悪かった。心身ともに疲れが抜けず、正直なところ「走りたくない」とさえ思っていた。モチベーションがまったく上がらない状態での参戦であった。
レース当日も、気分の浮上はなかった。会場であるJ:COMスタジアムには2時間前に到着したが、スタンドからスタート準備をするランナーたちを眺めていてもやる気は湧いてこなかった。
他人の熱気に触れれば自然とモチベーションが上がるだろうと期待していたが、それは幻想だった。他力本願ではいけない。自分の意思で、このレースに向き合う必要があると気付かされた。
弱い自分を受け入れたうえでの目標設定
レースに向け、当日の体調と直近の走力を踏まえて2つの目標を定めた。
ひとつは「キロ5分前後で3時間30分前後の完走」、そしてもうひとつは「絶対に歩かないこと」である。今の自分にとっては、この2つが挑戦的であり、適切な目標と感じた。
スタート後、脚は重かった。実は直前3週連続で、5月開催予定の「トレニックワールド in 彩の国」のコース試走を行っていた。疲労抜きのため、1週間完全休養を取ったが、それでも抜けきらない芯の疲労が残っていた。
それでも、前半はペース通りに進めた。ハーフ通過は1時間45分台。アップダウンがある前半をしっかり走り切れたのは、奥武蔵試走の成果かもしれない。
欲が出た後半、現実とのギャップ
後半はフラットなコース。ここでペースを上げられればサブ3.5も狙えるのではと、欲が出た。25km過ぎからペースアップを試みたものの、5kmも保たず脚が悲鳴を上げる。30kmを超えると筋肉の痛みが強まり、ペースは一気に低下。エイドのたびに立ち止まり、ストレッチで痛みをごまかしながらの走行となった。
それでも「歩かない」という目標だけは最後まで守った。立ち止まりはしたが、一歩たりとも歩かなかった。自らに課したこの誓いだけは、意地で守り抜いた。
平成のマラソン挑戦、ひと区切り
結果は3時間40分7秒。特筆すべき記録ではないが、厳しい状態からしっかり走り切ったことに価値があると感じている。こうして、平成最後のフルマラソンが幕を下ろした。
2014年からフルマラソンに挑戦し続け、今回で通算12回目。振り返って「会心のレースだった」と思えるのは3回だけだ。
・初めてサブ3.5を達成した時
・初めてサブ3.15を達成した時
・その記録を更新できた時
これらのレースですら、楽だった記憶はない。どれも苦しく、辛かった。だが、それこそがフルマラソンの醍醐味である。思うような結果を出すのが難しい競技だからこそ、挑戦しがいがあり、そのぶんゴールに辿り着いた時の達成感は格別である。
12回連続でサブ4を達成しているという、ささやかな勲章を胸に、これからも走り続けたい。