トレイルランニングを始めるなら、まずギア選びから
トレイルランニングに興味を持ち、これから始めようとする人にとって、「ギアの選択」は非常に高いハードルとなる。私自身も8年前にトレイルランニングを始めた際は、情報が乏しく、何を揃えればよいのか手探りであった。
そんな中、最近、知人から「何を用意すればいいのか教えてほしい」と相談を受けた。最も確実なのは、経験者とともにトレイルランニング専門店やアウトドアショップを訪れることだ。しかし、コロナ禍という事情により、気軽に買い物へ行くのも難しい状況である。
知人とのZoom飲みでの会話から見えてきたのは、「経験者がどんなギアを選んでいるのかを具体的に知りたい」というニーズであった。ギアの選択には、その人の走力や経験、行動スタイルが色濃く反映される。
そこで本稿では、私がある日に行ったトレイルランニングの実例をもとに、ギアの選択理由を紹介したい。これからトレイルランニングを始める方が、自分なりのスタイルを見つけるための参考となれば幸いである。
実践シーンの紹介:奥多摩
まず、ギア選択の前提となる「シーンの想定」が重要となる。タイム(Time)、プレイス(Place)、オケージョン(Occasion)の「TPO」によって必要な装備は異なる。
以下が今回の実践ケースである。
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日程:2020年7月12日(梅雨明け前、曇り時々雨)
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コース:JR武蔵五日市駅〜金比羅尾根〜日ノ出山〜長尾平〜大岳山〜馬頭刈尾根〜馬頭刈山〜瀬音の湯
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距離/時間:約25km/所要時間6時間40分
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標準コースタイム:山と高原地図によると約10時間30分
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目標タイム:標準タイム×65%=6時間50分(今回は概ね目標通り)
「山と高原地図」などで標準タイムを確認し、目標タイムを設定することが準備の基本である。目標タイム、当日の天候や気温、補給のタイミング、水場の有無などを考慮したうえでギアを選ぶ必要がある。
なお、現在はスマートフォン向けに「山と高原地図」の有料アプリも提供されており、GPS連動で現在地を確認できるため非常に便利である。都内在住の方には、高尾・陣馬、奥多摩、丹沢などの地図ダウンロードをおすすめしたい。
SHOES
Brand:ALTRA
Item:Olympus 3.5M
シューズの選択は、ギアの中でも特に慎重になるべき要素である。足の形状や走り方は人それぞれ異なり、万人に共通する「正解」は存在しない。最大のアドバイスは、必ず試し履きを行い、自分に合った1足を選ぶことである。
私が使用したのは、ウルトラトレイルレース「ONTAKE100マイル」に向けて購入した厚底モデル「Olympus 3.5M」である。厚いソールによるクッション性と、悪路でも安定した走行ができる点が特長だ。20km程度の短距離でも違和感なく使えており、グレイのカラーリングも気に入っている。
ただし、足幅(ワイズ)が広めに設計されており、ワイズの狭い私の足にはややフィット感が甘かった。そのため、ONTAKE100のレースでは下り坂で爪を傷めてしまった。以後、カスタムインソール(神田神保町・さかいやスポーツで作製)を使い、足底筋膜炎の予防をしている。
BACKPACK
Brand:ULTIMATE DIRECTION
Item:Adventure Vest 4.0
容量16.4L、ソフトボトル付きで重量347g
100マイルレースのために購入したモデルであるが、あまりにも使い勝手が良いため、普段のロングトレイルや秋冬のトレイル、さらには帰宅ランにも活用している。
ショルダーハーネス部に十分な収納があり、ポールも装着可能。荷物の重さを感じさせず、身体にしっかりとフィットする。トレイルランナーに必要な「軽量性」と「機能性」を兼ね備えた逸品である。