抽選に弱い──それが僕のジンクスだった。
当たってほしいレースほど、なぜか落選する。UTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)もそんな存在のひとつだった。
トレイルランニングを始めたのは2012年。2014年にはUTMFの参加資格を得て初エントリーするも、抽選は落選。それからも毎年のようにチャレンジし続けたが、結果は同じ。加えて、狙っていたレースのDNF、台風による大会中止などが重なり、計画的にポイントを積み上げることもできず、参加資格すら満たせない年が続いた。
「僕にはUTMFとは縁がないのかもしれない。」
そう、半ば諦めていた。
予期せぬ10ポイントと、まさかの「当選」
2021年大会の概要が発表され、優先エントリー後に11月10日〜23日で一般エントリーが行われると知ったときも、正直、完全にノーマークだった。そもそもポイントが足りていないと思っていたからだ。
だが、念のためにITRAのサイトで過去のリザルトを確認してみると──なんと10ポイント獲得しているではないか! ギリギリではあるけれど、参加資格を満たしていたのだ。
ただ、喜びも束の間。一般エントリーは激戦区。今回も期待せず、淡々とエントリーを済ませた。僕は「当てたい」という欲が強すぎると、必ず外れるタイプだから。
「当選」の文字と、こみ上げる想い
12月4日、ランネットから抽選結果のお知らせメールが届いた。
心を落ち着けてマイページを開く。
ステータス:当選(未入金)
……えっ、マジで?
老眼の目を凝らしてもう一度確認する。間違いない。「当選」と確かに書いてある。
その瞬間、胸が高鳴った。嬉しさが押し寄せ、思わず心の中でガッツポーズ。
2014年から待つこと7年──ようやく、ようやくUTMFに挑戦する切符を手に入れた。
これまでの挑戦、練習、悔しさ、喜び……すべてが一気にフラッシュバックするようだった。
目標がある日々の素晴らしさ
新型コロナウイルスの影響もあり、正直ここ最近は走るモチベーションが落ちていた。
レースもなく、目標もなく、惰性で続けるだけの日々。
でも今は違う。
UTMF完走という夢に向かって、また走り出せる。
長年、心の奥に抱き続けていた想い。いつかは出たい、いつかは挑戦したい──その「いつか」が、ようやく「現実」になった。
こんなにもワクワクして、ドキドキするなんて。
7年越しのこのチャンスに、心から感謝している。