北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY13:2023年8月6日(日)
北追岬公園キャンプ場 発 → うにまるモニュメント → 鍋釣岩 → 奥尻港 →(フェリー)→ 江差港 → 開陽丸記念館 → 旧中村家住宅 → 旧檜山爾志郡役所 → 江差追分会館 → 滝瀬海岸シラフラ → 親子熊岩 → あわび山荘(泊)
DAY13移動距離103km
累積移動距離986km
雨と雷で一時退避
午前3時起床、4時出発。まだ真っ暗な奥尻島を走り抜け、7時発のフェリーに間に合わせるための強行軍だ。頼れるのはハンドルに装着した小さなライトの光だけ。天気予報はあいにくの雨。
島の東側を回り込んだ辺りで、予報どおり、いや予想以上の土砂降りと雷に襲われた。雨具を着ていたが、もはや意味をなさず、下着までびしょ濡れ。
避難できる場所も見当たらず、焦りながらようやく見つけた建物の軒先で、雷雨が収まるのをじっと待った。
それでも道中に立ち寄るべき名所は押さえる。「うにまるモニュメント」は夜にライトアップされる奥尻のゆるキャラ的存在で、島のPRに一役買っている。
「鍋釣岩」は、島のシンボルでもある奇岩。鍋を吊るしたような独特の形が印象的だった。
江差の歴史と文化に触れる
フェリーで江差港に戻ってからは、江差の町をじっくり観光。
まず訪れたのは「開陽丸記念館」。幕末、箱館戦争のさなかに江差沖で座礁・沈没した軍艦「開陽丸」を復元した博物館だ。艦内に展示された遺物の数々が、当時の緊迫した戦いを静かに物語っている。
次に足を運んだ「旧中村家住宅」は、江戸時代の近江商人によって建てられた商家。切妻造りの母屋は、問屋建築の典型とされている。
「旧檜山爾志郡役所」は、明治20年に建てられた和洋折衷の公共建築。現存する北海道唯一の郡役所建築で、当時の行政の息吹が感じられる空間だった。
「江差追分会館」では、江差の伝統民謡「江差追分」のライブを鑑賞。かつてニシン交易で栄えた町の人々の魂が息づく、情感豊かな唄だった。
そして、北海道最古の祭り「姥神大神宮渡御祭」の紹介コーナーも。「山車会館」では、13台ある山車のうち2台を間近に見学でき、祭りの熱気を一部体感することができた。
昼食には、江差らしい味を求めて「ニシン蕎麦」。しっかりと甘辛く煮たニシンが、蕎麦と見事に調和。サイドの「イカ天稲荷」も嬉しいご当地一品だった。
江差を経ってから先が遠かった
午後は再び海岸線へ。白くそびえ立つ断崖「滝瀬海岸シラフラ」では、20mの白い岸壁が幾重にも重なり、日本海の荒々しさと静けさを同時に感じる光景が広がっていた。
しかし、ここで思わぬトラブル。国道229号線の一部、乙部町館浦の岩盤崩壊によって通行止めに。やむなく、15kmの山間部を迂回する羽目に。脚にきた。
海沿いのルートに戻ってからは、「親子熊岩」など奇岩が続く風景を楽しみつつ、なんとか本日の宿「あわび山荘」へ。
もともと予定していた平浜海水浴場でのテント泊を急遽変更。空室があった温泉宿で素泊まりすることにした。
温泉にゆっくり浸かり、身体と心を解凍。疲れた身体にじんわり染み渡る湯が、今日一日の重みをやさしく包んでくれた。