北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY27:2023年8月20日(日)
暑寒海浜キャンプ場 発→旧増毛駅→風待食堂 観光案内所→道の駅おびら鰊番屋→旧花田家番屋→オロロン鳥モニュメント→みさき台公園キャンプ場(泊)
DAY27移動距離98km
累積移動距離2,097km
雨の撤収から始まる朝
未明から降り出した雨。濡れたキャンプ用品の撤収作業は、旅の中でも特に気が重い時間だった。テンションが上がらないまま、びしょ濡れの荷物を抱えて出発。
『駅 STATION』の舞台を巡る
まずは、前日に見きれなかった増毛の名所を再訪。「旧増毛駅」と「風待食堂(現・観光案内所)」を見学した。
ここは、高倉健主演の映画『駅 STATION』(第5回日本アカデミー賞 最優秀作品賞など受賞)の舞台。
劇中に流れる八代亜紀の「舟唄」と、増毛の町の静かな風景が見事に重なっていたのを思い出す。
建物の佇まいに、映画の一場面がまざまざと蘇ってくる。
最北端の国指定重要文化財「旧花田家番屋」
続いて立ち寄ったのは、小平町にある「旧花田家番屋」。
明治時代、ニシン漁の隆盛を支えた巨大な番屋(漁師の作業・住居施設)で、現存する中で日本最北の国指定重要文化財にあたる。
その規模と構造の重厚さに、かつての繁栄ぶりがひしひしと伝わってきた。
北海道の名付け親・松浦武四郎像
道の駅「おびら鰊番屋」の向かい側にあるにしん文化歴史公園では、アーチ状のモニュメントのそばに立つ松浦武四郎像に出会う。
武四郎は、江戸末期に6度にわたり蝦夷地を探査し、アイヌの人々と協力しながら地図を作成。「北海道」という地名を命名した人物でもある。
旅の途中で彼の存在に触れられたことに、少し運命めいたものを感じた。
濡れたテントとカビの発見
10時頃に雨が上がった。昼食の合間に、濡れたテントや雨具を公園のベンチで天日干し。
その時、バッグの中に黒カビが生えていたことに気づいた。
雨の侵入と中の高温多湿が原因だった。前日の防水チェックと乾燥の甘さを反省。
とりあえず乾かすだけにとどめ、本格的なメンテナンスは翌日の稚内で行うことにした。
オロロン鳥の巨大モニュメント
羽幌町を通過中、ひときわ目立つ巨大モニュメントに目を奪われた。
それは、天売島を繁殖地とする「オロロン鳥(正式名:ウミガラス)」の像だった。
見た目はペンギンに似ているが、カラスの仲間で飛ぶこともできる。「オロロン」と鳴くことからその名が付けられているという。どこか愛嬌のある姿が印象的だった。
海沿いを北上し、疲労困憊で沈没
本日の宿泊は、「みさき台公園キャンプ場」。すぐそばの日帰り温泉「さんべつ温泉ホテル岬の湯」で汗を流した。
この日は、日本海沿いのオロロンラインをひたすら北上。
追い越していく車のスピードに怯え、眺めを楽しむ余裕もなかった。想像以上のアップダウンにも苦戦し、体力を削られた。
夕食は簡単に済ませ、ほぼ限界状態で即寝。カビ事件もあっただけに、心身ともにヘビーな一日だった。