北海道一周4,000km・49日間の自転車旅日記。
北の大地に広がる豊かな自然、歴史、文化、食との出会いを綴る。
【期間】2023年7月25日〜9月11日(49日間)
DAY40:2023年9月2日(土)
国設知床野営場 発→知床峠展望台→熊の湯→羅臼港→観光船→羅臼港→道の駅 知床・らうす→しべつ海の公園オートキャンプ場(泊)
DAY40移動距離78km
累積移動距離3,202km
熊出没注意の知床峠越え
テントは夜露と結露でびっしょり。濡れた幕体の撤収は気が重い。午前4時半、まだ薄暗い中、知床野営場を出発。
ウトロ港の近くを通過中、軽トラックの男性から声をかけられた。
「すぐ先の市街地にヒグマが出たから気をつけて」
昨日の知床五湖トレッキングで味わったばかりの熊への恐怖感が、さらに増していく。あたりを警戒しながら、なるべく車道の中央を急ぎ足で通過。
この日のメインは「知床横断道路」。ウトロと羅臼を結ぶ全長27kmの山岳ルートで、最高地点は標高738mの知床峠。
峠付近はヒグマの出没情報も多く、緊張感が高まる。早朝で車の往来も少ないため、熊避けにスマホの音楽を最大音量にして走る。
やがて登りきった知床峠では、眼前に堂々たる羅臼岳。そしてその先には国後島まで望むことができた。
知床連山の主峰・羅臼岳(標高1,660m)。いつかこの山にも挑戦してみたいと思った。
熊の湯でひと息
羅臼に入り、まずは町民に親しまれている無料露天風呂「熊の湯」へ。
風情ある岩風呂だが、とにかく湯温が高い。熱すぎて長湯はできなかったが、知床峠越えの疲れを癒すには十分だった。
ホエールウォッチングへ
この日のお楽しみは、羅臼港から出航する「ホエールウォッチングクルーズ」(所要:約3時間)。
狙い通り、マッコウクジラとイシイルカ、さらには天然記念物のオジロワシまで観察できた。
オホーツクの海に生きる巨大生物たちと、悠然と空を舞う猛禽類。知床の豊かな自然にあらためて感動する。
まさかの再び、熊の情報
キャンプ場まであと10kmというところで、再び熊の話題。
対向車のおばさんがウインドウを下げて声をかけてきた。
「この先で熊が出て、海岸のほうに逃げたから気をつけて」
言われた直後のルートは、左側通行では熊との距離が近くなる可能性が高いため、安全策として右側車線へ移動。慎重にその区間を通過した。
熊に始まり熊に終わる一日
この日は、朝の出発直後から、夜の到着前まで熊の話題に翻弄された一日だった。
知床峠の緊張感、熊の湯の熱湯、ホエールウォッチングの感動、そして再びの熊情報――。精神的にも神経をすり減らすような、濃密な一日となった。