オトベ斑尾三部作―後編―

今週末は、ハセツネにKOUMIに・・・・・・きっとこれまでの自分の集大成として挑む人も多いことでしょう。はじめてトレイルを走ったあの時の気持ち、はじめてレースに出た時のあのドキドキ。はじめてフィニッシュテープを切った時の感動。足が痛くて涙をがまんしながら走った記憶。思ったような結果にならなくて悔しくてたまらなかった記憶。“走りきった”ことをほめられてたまらなく嬉しかった記憶。仲間が増えていく喜び。

初心。あなたの初心はどんな気持ちでしたか。

山が、トレイルランニングが、仲間が大好きで続けてきた、そんなようなことを決戦前にふと思い出すきっかけになったらいいなと思います。オトベの素直な文章から。

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2年かけて50Kのスタートラインに立った私のゼッケンナンバーは・・・

【435】

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残念ながらまじふつう

レースの目標タイムは特に設定しませんでした。周りにとらわれず、自分の感覚を信じて、つらすぎない状態で走ったり歩いたりを繰り返そう。トラブルさえなければ、絶対完走できる。とにかく楽しんで来よう、そう心に決めて、いざ出発です。

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スタートゲートをくぐると、最初はアスファルトの登り、トレイルとゲレンデをぐるっと迂回。途中でスタート&ゴール地点のゲレンデを横断。応援の人たちが列を作って送り出してくれる。応援される側になるのはなんだか気持ちよくこそばゆい。

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声援を抜けるとすぐにゲレンデの直登。急登を登り切ると、斑尾高原の景色が広がってくる。そして斑尾のトレイルへ入っていき、気持ちいいダウンヒルが続き1Aへ。1Aを過ぎると、平坦なトレイルが続く。

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しばらく行くと、列が止まっている。
どうやらコース上に蜂がでたらしく、レースが中断された。ちょうど前後に友達がいたので、談笑しながら待つこと30分。結局迂回することに。

ここから2Aまではそれはそれは長い林道をゆるやかに登っていく。たぶんきちんと走りこんだランナーには基本的に走れる区間。走りこんでない私にはかなりキツイ区間だ。つぎからつぎへと抜かれていく。

特に蜂で全員止まって同じ場所から再スタートを切ったわけだから、抜かれる人数も多い。けど、あせらない。ここで無理してもいいことなんて何もない。しょうがない、私苦手だもんこういう道、と割り切り、耐えながらゆっくり走ったり歩いたりを繰り返す。

あーもう飽きたなー、いつまで続くのかなー、ながいなー、つらいなー、
そう思っていると、また前で何人か止まっているのが見える。

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野尻湖だ!綺麗!

きれいな景色にテンションがあがったところで2Aへ。

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ここからは斑尾山への登りだ。最初はうねうねとスイッチバック、後半は急登。この大会では最もキツイ登り。といっても30分くらいで登頂できる。山頂そのものは残念ながら見晴らしはよくない。

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ここから少し気持ちの良い尾根を行き、そして、ゲレンデの激下りが始まる。最初はスイッチバック、すぐに、直滑降のような下り。

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このくだり結構えぐかった。調子のって爆走したら絶対足が終わるな、そう思って温存しながら下っていく。一気に斑尾山を下って3A。

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ここからはしばらく16kmのコースと同じ、ふかふかの気持ちいいトレイル。途中泥んこで足場が悪いところもいくつかあったが、気にせず突入していく。走ったり登ったり下ったり歩いたり。舗装路に出て、袴岳への登山道。今回はコース変更されたので山頂まではいけなかった。下りに入ると、また蛇行が始まる。

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綺麗な景色を理由につらくなってきた足をゆるめたりしながらも4Aへ。

4Aは待ちに待ったシャインマスカットエイド!ここでMountain hardwearの大阪ALBI店で働いてるミキティに遭遇。去年のUTMFも今年のCCCも完走している彼女。走力が違いすぎるので、ずっとずっと前を走ってると思っていた。その彼女が今、こっちを見ながら全力で微笑んでる。

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かわええ

どうやら蜂中断の時に蜂に2か所も刺された模様。一緒にエイドを出て苦手な林道登りをスタート。

え、走るんですか?

え、走んないの?

と、なぜかミキティの前を走ることに。
しばらく下って舗装路に出たタイミングでついていけなくなったけど、会えてよかった。全身ピンクのまぶしい笑顔に元気もらえた。

ここの舗装路の緩やかな登り、前を行く男性選手は全員ちんたら歩いて登り、女性選手は全員一生懸命走っていた。

強い男はいない、弱い女もいない

そんな美輪明宏の言葉をなぜか思い出す。
緩いトレイルを登って下って。辛いけど気持ちいい。

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そして希望湖へ

過去2年の斑尾では、濃霧でほとんど希望湖の景色は見えなかったから、今年は晴れてよかった。16kmだとこの希望湖の関門を右に折れるのだが50kmはここから毛無山を登っておりてくる。毛無山の登りは、たらたら続く登りで、本来なら得意な登り。ガシガシ登れるはずが、30km苦手なフラットをメインに走ってきた足だとけっこうキツかった。

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毛無山山頂

ここから気持ちよいブナ林のトレイルを下り、希望湖へと戻る

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綺麗な景色

そして突如現れる石川弘樹。「もう大きな登りは終了ですよ」そう声をかけてもらう。たまたま後ろから選手が来たので一緒に写真撮ってもらったんだけど、
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スタイルがよく、さわやかに微笑む弘樹。
の、隣にたたずむ乙部。
身体のバランスの悪さがもう何とも。死にたい。

そして5A。最後のエイド、残り7km。たくさんエイドで補給し、走り始める。ここからゴールまでの道のりは、16kmのコースと一緒なので、2回も走ったことあるコース。なんとなくわかる。わかるけど、わかるからなのか、ここの最後の7kmがほんとにほんとにほんとにつらかった。

正直ゴール制限まであと2時間近くあった。このあと急登も激下りもない。完走は間違いない。登りだったらあきらめがつく。下りだったら爆走できる。

けど、斑尾のラストは最後の最後の最後まで、登ったり下ったりフラットだったりを繰り返す。がんばれば走れるコースだけに、歩くのが悔しい。残り7kmなんだ、歩くな、と自分に言い聞かせても、どんなに気力をふりしぼっても、エマの顔を思い出しても、感動のゴールシーンを思い描いても、思うように走れない。足がとまる。とにかく長く感じる。行っても行っても距離が縮まらない。

辛い、苦しい、疲れた、もう歩こう、いや、走ろう、走れない、悔しい、そんなとにかくいろんな感情がぐるぐるし、処理できなくなった感情は自然と目から涙としこぼれでてきた。

せめて、ボトルに少しだけ残ってる麦茶飲み干して元気出そう・・・そう思ってボトルの蓋を開けようとしたら、両腕が攣りそうになった。・・・腕かよ!!泣きっ面に蜂とはまさにこの瞬間。
この最後の1時間は間違いなく私の人生で一番つらい1時間だったと思う。そうして戻ってきた斑尾の街。斑尾の景色に安堵し最後のロードを走っていると、街中にたくさんいるボランティアの方々地元の方々に「あと少しですよ、がんばって!」という言葉をかけられる。また感情が高ぶり、涙があふれてくる。

2年前、私はこの最後のロード区間、マジで追い込まれ過ぎて(鬼に)、このボランティアの方々の優しい言葉に

「2kmってぜんぜん少しじゃねぇし!」

「まじがんばってるし!むしろ死にそうだし!」

「とりあえず心臓が口から飛び出そうです!」

あの時は余裕がなさ過ぎて、私の心の中には禍々した感情がうずまいていた。けど、今年は大丈夫だった。ちゃんと感謝できた。よかった。みんな優しい。最高。がんばる。最後のロード、涙をぬぐいながら駆け下りる。

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最後の最後まで登らされる。もうすぐそこにゴールが近づいてきている。最後のゲレンデの下りは自然と笑顔がこぼれる。

そしてついにゴール。

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記録は7時間36分。早くも遅くもない記録だった。けど、最後笑顔でゴールできてよかった。

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 斑尾フォレストトレイル50km、辛かったけど楽しかった。

至極普通な感想ですが、それに尽きます。今回の完走率は93%。語られすぎてて改めて述べる必要なんてないかもしれないけど、斑尾の完走率が高く、初めてのロング(ミドル?)レースに適しているといわれるおすすめの理由をまとめてみました。

①   走りやすい
50kmは決して短くない距離だけれど、レース中大きな登りが1つ、中くらいの登りが2つしかない。一番高低差のある斑尾山の登りも、1時間もかからずに抜けられる。それ以外は緩やかなアップダウンの続く林道やフカフカのトレイル、綺麗なブナ林や湖畔を走り抜ける。標高も高くないので、山の経験があまりなくても、ロード練でカバーできるし、私のようにこつこつ走れなくても、登る筋肉(スタミナ?)つければ、必ず完走できるコース設定でした。

②   関門が厳しくない
6時半スタート、15時半がゴール関門。太陽が昇ってからスタートし、太陽が沈む前にゴールするので、ヘッドライトなどの装備はいらない。睡眠不足の心配も、道に迷う心配も、眠くなる心配もなし。50kmで9時間という時間設定は、レース出るまではけっこう厳しいように感じていたけれど、レース中にトラブルなく走り切れれば問題なくゴールテープを切れる時間設定でした。

③   エイドが充実している
50kmで5個のエイド。約10kmに1個の割合でエイドがあります。エイドにはコーラ、クエン酸コンク、水、マグマ、バナナ、梨、シャインマスカット、チップスターなどたくさんの食べ物があり、そしてたくさんのボランティアの方々がいる。食べ物がコンスタントに補給できる喜びもさることながら、人の声がたくさんする場所がコース上にたくさんあるというのは、それだけでとても癒しの存在で、「もういやだ」を「もうちょっとがんばろう」に変えてくれました。

「競うだけじゃないトレイルランニングの真の醍醐味を体感してほしい」という主催者側の思いが本当に詰め込まれていて、チャレンジする人が抱える不安をなるべくそぎ落とし、完走というご褒美を用意して無事に帰ってくるのを待っていてくれる、そんな素敵な大会でした。

エマちゃんはトレイルランニングにはまる人を、愛情をこめて変人といいました。
彼女はまごうことなき変人です。けれど、私はただの変人の友人です。斑尾に完走したくらいじゃ変人になんてなれないので、どうぞ安心してチャレンジしてきてほしいです。変人しか見てないだろうこのブログでこんなこと言って意味があるのか謎ですが、私が去年じゅんこさんの完走に勇気をもらえたように、少しでも新しいチャレンジをしようと思っている人が、勇気の1歩を踏み出すそのきっかけになったらうれしいなと思っています。

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だいじょうぶ。あなたも変人です。

いいかげんみとめなさい、わたしと同類だって。類は友を呼ぶんだから。

友よ、ほんとうに、おめでとう!
<archive>
オトベ斑尾三部作―プロローグ―(Emmaより)
http://mountain-ma.com/emma/2016/10/07/madarao16_1/
オトベ斑尾三部作―前篇―(オトベ著)
http://mountain-ma.com/emma/2016/10/07/madarao16_2/


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