Kickstarterでのクラウドファンディング(インターネット上での資金調達)で資金を集め、先ごろ無事に完成した「Run Free – The true story of Caballo Blanco」がシアトルで上映されるということで、見に行ってきました。
カバイヨ・ブランコ(スペイン語で「白い馬」の意)ことマイカ・トゥルー/Micah Trueに迫ったドキュメンタリー・フィルムです。
日本でもベストセラーになったクリストファー・マクドゥーガル/Christopher McDougallの「Born to Run」で知られるようになったマイカは、コロラド州で開催されているLeadville 100に出場したメキシコの「走る民」ことララムリ(タラフマラ族)の走りに魅せられ、ララムリが住むコッパー・キャニオン/Copper Canyonsで多くの時間を過ごすようになりました。2003年にはララムリの文化や人並み外れた走力を保存するため、マイカは現地でコッパー・キャニオン・ウルトラ・マラソン/Copper Canyon Ultra Marathonというレースの開催に尽力しました。後々、このレースには海外からも多くの参加者が集まるようになります。このあたりの経緯は「Born to Run」にも書かれていますね。
2012年のコッパー・キャニオン・ウルトラ・マラソンの三週間後に、マイカはアメリカ・ニューメキシコ州の山中を走っている最中に行方不明になり、四日後に亡くなっているのが発見されました。後の検死によると特発性心筋症が原因だったようです。
映画では、このカバイヨ・ブランコことマイカの人物像を、彼自身や「Born to Run」の著者Christopher McDougall、その登場人物であるScott Jurek、Luis Escobar、”Barefoot” Ted McDonald、マイカのガールフレンドMaria Walton、その他の人々の話りと、コッパー・キャニオンでの映像を交えながら描いていきます。
個人的にちょっと印象に残ったのは、ストーリーの本筋とはあまり関係がない部分なのですが、マイカのランニングフォーム。見た瞬間、私のフォームに通じるところがあるなぁと頭の中で思っていたら、一緒に見ていた私の妻もおんなじ印象を持っていたようで、「走り方が似てるね、特に上半身の使い方が」と言われました。
「Born to Run」を読んでない方でも十分楽しめる内容ですが、読んだ方であれば、本に書かれた内容と重なる部分も多く、実際の映像をみることでさらに楽しむことができると思います。
フル・バージョンはVimeoでレンタルまたは購入が可能です。
余談ですが、上映会ではディレクターのSterling Norenと、映画に出演しているBarefoot Ted、Maria Waltonがゲストで来ていました。上映後のディレクターのSterling Norenの話では、彼がマイカと初めて会ったのは2009年、「Born to Run」が出版される三ヶ月前で、バイクでメキシコを旅をしていたところたまたまホステルで遭遇、自分がフィルムメーカーだということを話したところ、ちょうど数週間後に自分のレースがあるから映像を撮ってくれよと言われて撮影したとのこと。その次に会ったのが、マイカが急死する直前の2012年のレースということで、実際にマイカと会って撮影したのはその二回きりとのこと。冗談めかして、ハリウッドが映画化する前に「本当の物語」を形にしたかったと言っていました。
さらに余談ですが、2012年と2013年のコッパー・キャニオン・ウルトラ・マラソンのシーンでは、私も顔を知っている日本からの参加者がちらほら。誰が映っているかを探してみるのも楽しいかもしれません。