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足音を奏でて。

ONTAKE100物語。

written by 小山田 隆二 July 23, 2017

もう無理だ。くそっ、、くそっ、、どうにもならねぇ、、

………

皆様お元気でしょうか?
梅雨らしくない梅雨も明けすっかり夏日和となりましたね。

夏の始まりと言えば、、そう。

ONTAKE100。

一昨年に100k、昨年は100mile と連続で参加させて頂いてるレースです。

と、実は2011年に初めて100kを走ったのがこの大会で当時はまだエントリーもすぐ埋まらず数ヶ月考える時間があった感じでした。たしかこの2011年のレースから100mile 部門ができてたぶんその時は十数人の枠だったと思います。

ボクも初めての100kでどうにもならないくらいフラフラでしたが同じ時間帯に走ってた100mile の選手はボク以上にフラフラで言葉も掛けることすらできない状況でした。

100mileなんて想像がつかない。絶対に無理だ、、、

……

あれから年月が経ち昨年100mileを走った。完全に打ちのめされた。辛さしか残らないレースになってしまった。

準備不足というか実力を越えた何かが足りない気がしました。

ONTAKEを楽しく走り終えたい。

そんな気持ちで今年もエントリーさせて頂きました。

Boomerungの仲間の池ちゃんと2人で王滝村に向かう。池ちゃんは初100k。ボクのわかる範囲でいろんなアドバイスを送る。

スタート会場の松原スポーツ公園に到着してからすぐに受付を済ませ一度車内で仮眠をとる。

スタート3時間前にうどんやおにぎりを食べ準備を進めた。

時間はあっという間に来る。何気に今年初レース。若干の緊張あり。その緊張に気づいたガヤが煽る(笑)

20時。最後尾からスタート。

このONTAKE独特のスタートがシビれます。

MUJIN100から3週間のスパン。100mileの連投が自分にどう響いてくるのかもある意味楽しみではあります。

序盤はいつものダラダラペース(笑)これはしょーがない。

第1ループから本線へ戻る。30k地点ぐらいでお腹が痛くなる。マジか、、、歩きを入れながら少しずつ進むと最初のウォーターステーションに到着。

そこには最近王滝村大使になったsalomonのエース大瀬がいた。

キャップ遅いですね。ごめんね。

キャップ疲れてますね。ごめんね。

いつものノリで声をかけてくれてボクもそれに応える。

ここからは下り基調なので走りやすいから行っちゃって下さい!

おー!ありがとー!

大瀬に元気をもらい出発。

よしっ!気持ちを入れ直し進む。そして進む。進む。進む、、、、結構進んで大変なことに気づく。

登るだけで下りが1mmもない。

大瀬の感覚だとこれは下りなのか、、、いやいや登りだわ、いや、王滝村ではこれが下、、いやいや登りだわ、世界基準の登りだわ。

バカタレ、大瀬のバカタレ。ウンチ。大瀬のウンチ。

そんな独り言を言いながら第1関門大エイドに到着。ここから魔の第2ループが始まります。

魔とはいわゆる真っ暗な恐ろしいトンネルを通らなければならないというミッション付きのルート。

昨年は1人で通って気絶しそうだったので今年は誰かと一緒に行こう。

第1関門までのタイムが昨年より押してしまってる。急ごう。その急ぐ気持ちが空回りして転倒、、、痛ったたたた、、1回転捻り。捻り王子の白井健三さんどうですか?

林道をひたすら下るとアスファルトへ繋がる。このアスファルトもかなり長い、そして例のトンネルが出てくる。

今回は凄くいいペースの方が前を走ってるので時間も削れそうなので歩かずこのペースについて行こうと決める。でも長い、とにかく長い、そして暗い。

しばらくするとその方がペースダウン。

えーーー、何事???いこーよ、いこーーよーーー

心の中で叫びます。

いやーー、抜いちゃった、、

…その前の選手に追いつく作戦にチェンジ。走る。とにかく走る。アドバンテージを作りたいということ以上に複数であのトンネルに臨みたいという気持ちが怖いくらい強い。

過去が遠くなるくらい長いロードを走ると、、

出た。トンネルに着いてしまいましたよ。ボクの前にはだーーれもいません。後ろを振り返ってもだーーれもいません。

…ただ止まりたくもない、、というかもうノンストップでトンネル突入です。

真っ暗なちょっと小ぶりのトンネルは知らなかった昨年よりも数段恐ろしく感じました。

走るボクはちょっとした歌を歌いながら走る。

はーーやくーーでたいよねーー♪ハイハイハイはやーーくーーでたいのさーーーハイハイハイ♪もういいかい?もういいよーーもういいよーーマジいいよーーー

……

抜けた。トンネル抜けた。トンネルだけペーサーつけれる制度を申請いたします。

長いロードを終え少しずつ明るくなってきた。本コースへ戻るための登り返し。相変わらず人との間隔は長い。もうそろそろ合流だなー、なんて思ってたら前方に久々の選手発見。近づいてみると見たことのある身なり。

あっ!マンジューだ!おーーい!

呼ぶと振り返りマンジューも笑顔でそれに応えた。

マンジューこと小林君は昨年のKOUMI100で年代別1位になった猛者。ミチガマにも何度も来てくれてるナイスガイ。いや、この時点でナイスガイという表現をしてますがここから彼のウルトラナイスガイぶりを知ることになる。

その時にマンジューが撮ってくれた写真。すでに疲労感満載。

ここからボクとマンジューの旅が始まる。

第1関門からのループにより同じ場所が第2関門となります。

マンジューと第2関門に到着。

ボクはジェルのみの補給なので水だけをボトルに補充し進み始める。100kの選手もたくさんいてエイドは賑やかです。

この先の84k地点のウォーターステーションまでは普通に進む。

このウォーターステーションで100k出場の池ちゃんに会う。そんな池ちゃんはトイレ渋滞にハマってた、、無事にゴールしようと握手を交わす。

そしてここでマンジューとまたまた合流。第3関門に向かう。

マンジューはボクと同じくサッカー上がり。サッカーの話で盛り上がった。世代は違うけど共通な話題は盛り上がる。そんな話からいろんな事を根こそぎ聞いた。

そんな時第4次低調期がボクを襲う。まだ90kそこそこなのに既に第4次。

マンジューには迷惑をかけられない。

マンジュー、マジで先に行って。俺はゆっくり行くから。

するとマンジューが、、いやいや、僕もいっぱいいっぱいなんで一緒に行きましょう。

って。そして、、

じゃあリュージさん、あそこまで走りましょうか。

ボクを引っ張ろうとしている。

そしてマンジューについて行く。彼の走りは優しく軽い。

目標地点まで来たらまた歩きいろんな話をする。

話をすると気が紛れていいっすね!

明るく彼が言う。

凄いわ。精神力というか他人に凄く気を使う。ボクと会ってから入り混る100kの選手にほぼ声をかけていく。

とんでもない男にボクは出会った。

ようやく第3関門に到着。関門時間を残り45分切ってました。

マンジューとも話す。

ここまで来たら一緒にゴールしよう。

第4関門まで16k、少しでもアドバンテージが作れるよう先を急ぐ。

エイドを出て約1kぐらい来たところ。 

マンジューに異変が起きる。

…

吐いてしまった…

おい!大丈夫か!!!ボクも必死で背中を摩る。もう1度吐く。背中を摩り続ける。
マンジュー休もう。休んだほうがいい。

すると彼が、、

大丈夫っす、リュージさん先に行ってください。

いや、、大丈夫だよ、とにかく休もう。

…

マジで行ってください!!!俺絶対追いつくから!!まだ諦めてないから!!!

…

…

マンジューの本気の叫びに応える。

わかった。ゆっくり進んで行くから。

今まで引っ張ってもらったのに本当に複雑な気持ちでマンジューと別れた。

少しずつ気持ちを切り替えて前に進む。マンジューが追いついた時にじぶんが潰れていたら話にならない。

カーブを曲がるたび、曲がる前に後ろを振り返る。

来てくれ……

…

第4関門に到着。別名ソーメンエイド。

ボクはジェルのみで固形は取らないので食べませんが100kも100mile も少しずつゴールが見えてきているので賑やかなエイドです。

この時点で貯金が1時間半。そして地獄の第3ループは今回はなく数年前から用意されていた新ルートを進むことに。ループではないのでメンタル的に楽だというのが事前の情報。

この時は「行けた」そんな気持ちで旅の続きに出た。

新ルートと言えど林道で雰囲気も変わらない。アスファルトと林道の組み合わせをひたすら登る。

実はここの登りの途中からとその後の十数キロの下りの記憶がまったくない。

ただエイドを出た時の「行けた」という思いは目の前の果てしないガレた林道にかき消されたのはなんとなく憶えてる。

そして長い下りを終え平地になった。ここからは記憶はあります。

とにかくキツイ。平地もキツイ。心をえぐり取られる寸前な感じ。

80mileを越え普段はレースには写真なんか撮らないのに無意識、いや意識的に何かを残そうとザックからスマホを取り出す。


橋と滝。

こんな写真撮るのはもう末期です。

ラスボスとの噂がある真弓峠に上がる前のWSに大瀬がいた。

キャップ!残りたったの30kです!

バカタレ。

カメラを向け、王滝村どうっすか?

王滝村に罪はなし。

カメラを向け着いてくる。あれ?走らないんですか?

これ走ってるんだけど。

こんなような会話を大瀬とした。大瀬も人生の岐路に立ちこの王滝村での生活を選んだ。盛り上げる気持ちが全面に出てる。かなりの人が大瀬に元気をもらったのではないかな。

ありがとう。

そしてここからが今年のONTAKE100mile の核心部。

ひたすら登り。ボクも数歩走って、また歩いてを繰り返します。

スタートから続く林道。本気で頭がおかしくなりそう。選手同士も会話はすべて「長いですね」だ。

足全体がガクガクし、前に進まない。

どのくらいカーブを曲がったのだろう。このまま天国に行くのかな。

100mile レースで初めてというくらいネガティヴな事しか思わなくなってきている。

次のカーブを曲がって何も変わらなかったら諦めよう。もう時間も間に合わない。

ただ、みんなになんて言おうかな、、リタイアしたなんて言ったらみんな気を使うよな。明るく伝えよう。レースに出させてくれた家族やSUNDAY石川さんや準備を手伝ってくれた松井さんやいつも応援してくれる仲間、、、引っ張ってくれたマンジュー……

自分の力量に合ってないレースに潰されていく聞いたことない音が聞こえる。

カーブを曲がる……

…また…同じ光景が…

…

もう無理だ。くそっ、、くそっ、、どうにもならねぇ、、

完全に心が閉じました。

みんなごめん。やめる。無理だった。

この場所ではやめられないのでスタッフがいるとこまで進もう。

景色もだいぶ変わり憔悴しきってるとスタッフらしきおじさんが見えた。

着いた…

話かけようとすると…

次の小エイドまで下りのみ40分、ゴールまで残り15k!!

行けっ!と言わんばかりの元気な声でおじさんが言う。

…40分……

15k…

時計を見る。

…

まだ終わってない!いける!!

脳が反応する前に走り出す。けど酷い走り、、、でも行くしかない!スイッチが入る音がした。

足の裏から膝やら腿やら尋常じゃないくらい痛い。痛すぎる。

痛みに反応するな、脳みそ騙せ。

痛くない、痛くない。

ポジティブな気持ちが出てきた。ガレた下り坂を半泣きで飛ばす。

すると…

最終エイド到着。

昨年よりもかなり手前に設置されたエイド。

残り10k。来た。走ろう。とにかく走ろう。何も考えるな。もう一度走れること、走らせてもらってることに幸せを感じろ。メンタルから整理を始める。

元々の最終エイド場所を過ぎた。残り約6k。100mile の方々はもちろん100kの方々とも健闘を讃えながら走る。

振り返る。

マンジューは来ない。あの元気な声で呼んでくれる期待をした。

松原スポーツ公園に入る。もう19時を過ぎているのでだいぶ暗い。

ゴールが見えた。

ゴール直前、100kを完走した池ちゃんが迎えてくれた。


ゴール。

着いた…

そしてマンジューの姿が、、

どうやらソーメンエイドでドロップしたと。

相当調子悪かったんだ。

リュージさん、おめでとうございます!!マジ嬉しいです!!

自分がマンジューの立場だったらそんなこと素直に言えるのか。たぶん悔しすぎて無理だ。いや、マンジューも本当に悔しいと思う。だけど彼はハートが強い。本当の強さを感じる。強いから自然に人に優しくできる。

ボクにとっての今回のONTAKE100はこれがすべてでした。ボクもマンジューのようなマインドでこれからは走りたい。

レース自体は本当にすべてがギリギリでしたがいろんな感情が入り乱れ、たくさんの事を教えてもらった特別なものになった。

人間諦めたら終わりではない。諦めてるのは自分の心だけで、終わってしまう条件が揃わないと完全に終わらない。積み重ねがあるとワンチャンスでもう一度スイッチを入れることができる。

諦めたら終わりなんてことは表面的な綺麗事。

試合終了のホイッスルがすべて。

とにかくみなさんのおかげで11本目の100mile コンプリート。

もう気持ちは次へ行ってます。

楽しく12本目の100mile へ臨む。




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小山田 隆二

小山田 隆二

道がまっすぐ店長/スリーピークス八ヶ岳トレイル コースディレクター

山梨県富士吉田市出身。富士山の麓で生まれ育ちましたが山には一切興味なしのサッカーバカゾーな青春。サッカーを愛しサッカーに溺れサッカーで死んでいくんだなと思いきや一枚の写真からトレイルランニングに魅せられます。
今ではサッカーと肩を並べるくらい大好きなトレイルランニングを通じていろんな出来事や出会い、そして思うことをMMAブログで伝えられたらと思います。

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