(続き/前回はコチラ「可能性は0ではない」)
A9はなんとか乗り切ったものの、まだまだ制限時間との闘いは続く。
A9(麓)→A10(本栖湖)/竜ヶ岳
A9でエディとジョリーさんが「急がないと次が厳しい」「ここからのパートは走らないとマズい」とアドバイスをくれた。たしかに竜ヶ岳の登り降りと考えると、4時間はけっこう厳しいタイムだ。
23時10分頃に麓を出発。しかしまたまたベスパの補給を忘れていたので、一度止まって補給。ついでに防寒のためにOMMのカムレイカを履き、ヘッデンのライトを交換する。こういう時間も後から考えると少しづつ負担になっていた。
さて、進めど進めど竜ヶ岳に取りつけない。ひたすら野道を進むが、ここはジョリーさんのアドバイス通り走るべきだった。脚は残っていなかったが。。。
結局5k程度の野原の後に竜ヶ岳に突入。長者に比べれば登りも少々ゆるめ。ツラいはツラいものの、「天子であんなに攣って動かなかった脚が動くのはサラミさんやエディのおかげ」と感謝の気持ちで進む。あと家で待つねこのこととか、なにしろ楽しいことを考える。
端足峠であらためて地図を確認。今回は竜ヶ岳を降りきってからエイドまでロード区間がある。地図上だと2〜3k程度で、ぼくの足なら2時30分までに降りきれば間に合いそうだ。竜ヶ岳の下りは走れることを知っているので、2時までに登りきればなんとかなりそう。先を急ぐ。
しかし登りきったのが2時10分。予定より10分押しだ。とにかく下りは走る、走る、「可能性は0ではない」と叫びながら走る!周りの方、不気味でごめんなさいw
街灯が見えて来た。時間は2時40分。変わらず予定より10分遅れ。ロード区間が2kなら間に合う。ロードに出てスタッフの方にエイドまでの距離を聞く。「あと3kでーす」
ガビーン!
3kを20分。キロ6分か。。。終わった脚では正直なところ厳しい。しかし、スタッフの方が嘘をついているかもしれない。2.5kかもしれない。可能性は0ではない!
しかし、数コーナー進んだ後に見えた本栖湖ごし、遠くに見えるエイドの灯りを見て、スタッフの方の言った「あと3k」が正しいことがわかった。疑ってごめんなさい。やはり制限時間内に着きそうにない。残念ながら終戦であることを認めざるおえなかった。
A10本栖湖エイドについたのが3時10分。ぼくのSTYは61k、15時間10分で終わった。結局は第一関門でずれこんだ10分を最後までつめることが出来ず、ロングレースでも10分(というか1分)が大切であることをあらためて学んだ。
課題はわかっている。ここまでの消耗を考えれば、本栖湖をクリアしたとしてもゴールまでたどり着けたかはわからない。序盤、竜ヶ岳の取りつき、本栖湖エイドまでなど、STYのコースは走るということはとても重要であり、ファストトレッキングだけでは完走が難しい。そしてぼくは走り込み不足だった。
リタイア後は昨年同様(涙)、サポート隊と合流。脚が痛かったので、ゴールではなく広場でみんなが戻るのを待っていた。
心折れ部はぼく以外(涙)、UTMF/STYに参戦したメンバーが全員完走。初めてのロングトレイル、初めての100マイル挑戦のメンバーが多かったが、みんなトラブルを抱えながらも最後まであきらめず進んでいた。普段はバラバラでまとまりのないチームだけど、いつも思うのは心折れ部最高!みんな素晴らしい!
今年は周りでもご家族を連れてくるラン友の参加者が多かった。UTMB/CCCはかなりの完走者が家族とゴールしていたので、UTMF/STYもヨーロッパ文化に近づいているのだろうか。
それはトレイルランニングというカテゴリーがマニアックな趣味ではなく、家族に誇れるカテゴリーに育ちつつあることの証明であるようにも思える。近くに座っていたラン友のお父さんお母さんが娘から聞いたであろうトレイルランの話を楽しそうにしているのを見て、なんだかうれしくなってしまった。
ぼくはMMAを通じて、トレイルランの楽しさを多くの方に伝えたいと思っている。しかし、年々盛り上がるトレイルランは、半面競技的な喜びを優先するユーザーが増え、モラル&マナー問題を起こしている。それに対するアンチテーゼとしてライフスタイルを意識するばかりに、ぼくはもしかしたら競技性の喜びすら忘れてしまっていたのかもしれない。
レースはレースで大きな魅力がある。目標をたて、練習をして、高いハードルをクリアする。人生に共通する喜びだ。自分自身は今回のレースをクリアできなかったけど、トレイルランニングの国際的大会のUTMF/STYが国内で開催され、参加できることを一トレイルランニングファンとしてもうれしく思う。
完走されたみなさま、本当におめでとうございます!完走できなかったみなさま、次また頑張りましょう!そして主催者、ボランティアスタッフ、サポーターのみなさま、本当におつかれさまでした&ありがとうございました。
声をかけていただいたみなさま、そして多くのラン友、仕事仲間に会えて本当に楽しかったです。来年もまたここに来るぞ!(何で参加するかはちょっと考えます)
2 コメント
以前から楽しく拝見させております。
関西岩峰会のエムラです。
前半の関門を過ぎるのがタイト過ぎると
後半で取り戻すのが難しいコースでしたね。
天子の渋滞を避けるにはやはり最初のロードで稼ぐしかなかったというのは当日わかるんですよね。(笑)
私もあまり追い込まずに楽しみたい派なんですが、
ある程度の走力がないと楽しむことも出来ないんだなと今回初めてSTYに出てみて思いました。
エムラ様 コメントありがとうございます!STYは第一関門さえクリアすれば大丈夫と思っていたのですが、結局はずっと時間に追われ続けて完全に読みが甘かったです。実力不足は充分理解しているのですが、林道、野道、夜の天子と(正直)面白みの少ないコースでモチベーションを保つのは完走という目標だとあらためて思いました。とりあえず走り込みます。(まだ脚が少々痛いのですがw)