先日、蚊取り線香さんのハセツネ1.5のサポートに都民の森まで行った。
ハセツネ1.5とは、ロングレースの練習に二晩寝ないでハセツネコースを一周半するというもの。武蔵五日市から逆走し、一周後に再び武蔵五日市から金比羅尾根を登り、馬頭刈尾根から下山というルート(100kくらいらしい)。
そもそもkyowさんによると、昔「ハセツネW(ダブル)」という企画があったらしいのだが、大体一周半で挫折しまうらしくw それをふまえての1.5なのかもしれない。
ぼくも一周はサポートとして参加しようと思ったのだが、STY以降身体の芯の疲れがとれず(完走していないのにw)、一周も厳しそうなので、都民の森でのサポートに切り替えた。コーラやら水やらカップラーメンを人数分背負って、都民の森から鞘口峠まで登る。20分程度だったが、けっこう鍛えられました。ボッカ練の成果だな。
今回はMMAでの企画ではないので、個人的なサポート。このマニアックな企画に予想以上のランナーが参加されていたのにはビックリ。鞘口峠エイドは参加者のみなさまには喜んでいただけたようでなによりです。補給後、三頭山に向けて出発していった。
ちなみに二周目に突入したのは数名とのことで、蚊取り線香さんは足を数カ所骨折しての100kだった。PTLは万全のコンディションで挑んで欲しいところ。
思えば蚊取り線香さんはアナーキーだ。今のトレイルランの流れとかトレンドは一切関係ない。蚊取り線香さんにあるのは、自分が経験してきたアルピニストとしての知識と実績、そこから創意工夫で生まれたロングファストトレッキング術だ。普通ハセツネWとか1.5とか思いつかないしw
それでも山屋のルールを押し付けるわけでもなく、ロングトレイルレースに応用できる必要な知識を教えてくれる。 そしてそれは、少なくてもぼくの周りでは蚊取り線香さん以外に教えてくれる方はいない。頑なまでの山屋のこだわりと、トレイルランという新しいアクティビティを受け入れる柔軟性をお持ちなのだ。
蚊取り線香塾の面白いところは、もともとはロングレース対策の練習なのに、山の魅力が伝わってくることだ。ハセツネコースを使えば、奥多摩の綺麗な景色を堪能することが出来る。実際のハセツネだと夜間レースなので、景色を味わうことは出来ない。そもそも、ぼくが出た時は綺麗な月が出ていたのだが、それに気づいていたランナーは少なかった。景色なんて気にしないのだろう。
ボッカ練なんて「トレイルランじゃないじゃん!」て思うけど、重い荷物を背負って黙々と山を登り、山頂でみんなで食事をしたのはしみじみ楽しかった。足の置き方で疲労を軽減するという技術的な面ももちろんあるけど、それよりも何よりも、山を好きになることはトレイルランへの貢献だ。
昨日、ハセツネ1.5に参加された方から、FBの友達申請をいただいた。その際のメッセージのやりとりで、
「個人的にはトレイルラン=レースというタイプでもないので、幅広く楽しみたいと思っていたところ蚊取り線香さんと知り合い、いろいろと自分自身が楽しんでいます。」
と書いたところ、
「私もこれまでレースでいかに速くなるかばかり考えていましたが、蚊取り線香塾に参加して、もっとのんびり山と向き合うのも良いなと思いました。」
というご返事をいただいた。なんだか少しいいことをしたような気になった。
蚊取り線香さんというアナーキーな元アルピニストと、Mountain Martial Artsというトレイルでは新興ともいえるライフスタイルブランド。水と油のようだけど、その化学反応を誰よりも楽しんでいるのはぼくに違いない。