今年のUTMF/STYは、悪天候に翻弄された大会となった。
ぼくはUTMFのA1精進湖からA2本栖湖までのスイーパーとA8二十曲峠エイドの運営担当。9月23日、金曜日の午前に東京を出発したが、UTMFは「スタート時間変更か中止の検討」という発表がある。結局河口湖に着くまでに「二時間遅れのスタート、49kのA3麓でフィニッシュ」という決定になっていた。
河口湖でスタートを見送り、一度本栖湖に車を置いてから精進湖へ移動。初のスイーパー業務にドキドキであるが、パートナーがスイーパー経験のあるまさみさんなので心強い。先輩、頼みます。
昨年はA1精進湖の運営担当だったが、序盤ののんびりムードだった昨年に比べて、ショートレースになったからか、精進湖に入ってくる選手の消耗が激しい。また外国人選手は状況を知りたがり、通訳さんは大忙し。
精進湖でスタンバっている間、多くの方に声をかけていただきました。ありがとうございます。
辺りがすっかり暗くなった19時30分頃、最終ランナーに続き精進湖を出る。いよいよスイーパー業務が始まる。
スイーパーといえば、二週間前の上州武尊でランナーとしてなみねむさんとキャットさんにお世話になったばかりだがw 今度は逆の立場でぼくらがランナーの安全を見守らないとならない。幸か不幸か、ぼくは鈍足ランナーで過去スイーパーさんにお会いしたことが3回くらいあるので、遅いランナーの気持ちが痛いほどわかる。
A1精進湖からA2本栖湖までは距離にして12k程度だが、烏帽子岳、パノラマ台と山の中を進む区間。以前一度逆走で走ったことがあるが、そんなに厳しいイメージはなかった。ところが雨でぬかるんだトレイルは登りも下りもドロドロでハンパなくスリッピー。後ほど誘導スタッフさんにお聞きしたところ、100人くらいは大丈夫だったけど、その後ぬかるみ始めたらしい。標高の数字以上に脚に負担がかかる。
標高は900から1200くらいへ。時折雨やガスが激しく、身体も冷える。途中で数人の体調不良ランナーがいて、救護スタッフが迎えに来る。足元も視界もコンディションは最悪。このルートでこのひどさなら、天子に入るとかありえない。なにかアクシデントがひとつでもあれば低体温や滑落の危険もありうる。本当にA3手前でのフィニッシュは正しい判断だと思いながら、山中を進む。
残り3k地点で最終ランナーが制限時間に間に合わないことが確実に。一旦A2に間に合わないランナーが数人出ると連絡する。
次のエイドまでの残り時間や距離は最終ランナーだってわかっているはず。どこかを痛めていたり、体力が想像以上に消耗しているなど、様々な理由で速く進むことができないことは自分自身で過去に経験している。スイーパーとしては、最終ランナーが前進している限り、見守るしかない。
数人の最終ランナーが4時間ほどかけてやっとエイドに到着。苦しい体調、厳しいコンディションの中で前進し続けたランナーに心から拍手を贈りたい。本当におつかれさまでした。また山の中で長い時間誘導をしていたスタッフさんの頑張りにもあたまが下がります。
トップの選手、ボリュームゾーンの選手、遅い選手。同じレースでもランナーや通過時間により状況は刻々と変わり、それでもすべての選手の安全確保に気を配らないとならない。そして、ぼくらスイーパーが自分自身の業務を全うすることが、選手たちの安全を守ることになる。幸い今回は自分の担当セクションで大きなトラブルはなかったが、なにかあった際に迅速に動けるのか、技術、体力、知識など、もっと身につけなければならないと実感。
それでも、今回はなにかひとつでも最後尾を進むランナーのお役に立てていたのであれば、うれしく思う。
UTMFは途中で中止になったが、翌日はSTYがある。二十曲峠エイドに備えて一旦ホテルに戻る。ホテルに着いた数時間後には、月が顔を出していたのだが。。。
(続く/next:「UTMF/STY 2016 (A8二十曲峠エイド)」)