オーストラリアで開催されたUltra Trail Australiaの50kレースに参戦してきた。
このレースはウェーブスタートで、ぼくは最後のグループ。周りを見渡せば、巨漢の方とか、友達とハイキング感覚ででている方とか様々。ランナー然としている方のほうが少ないくらい?
ご家族での応援も多く、スタート前は賑やか。女性や若い方の参加者も日本に比べると随分と目立つ。なんだかお祭りみたいだ。
なんといってもみなさんが笑顔なのが印象的だった。レース中も友達同士や同じペースで励ましあう姿をよく見た。本当に仲良くハイキングをしているように。
スタートしてしばらくすると、片脚のランナーがいた。サポートランナーが二人ついていて、最後まで走りきったようだ。そういえば一昨年に参加したvibram HK100では盲目のランナーがいた。
https://www.facebook.com/ultratrailaustralia/videos/1381505091938170/
オーストラリアのトレイルランニング大会に参加して思ったことは、「トレイルランニングって誰が為にあるのだろう」ということだった。
日本のトレイルランニングは「自分への挑戦」「修行」など、厳しいイメージが先行。「追い込め」「全力を出せ」「オールアウト」、激しい競技的な雰囲気でちょっと気楽に始められる感じではない。
そして参加者の感想も「あの景色よかったよね」より「タイム、順位」といった話が中心で、どんなトレイルだったのかわからないことも多い。
もちろん、そうした競技的な面を否定するつもりはない。練習して自分の限界を超えるというのはアクティビティとして真っ当な魅力ではある。しかし、トレイルランニングの楽しみ方はそれだけではないはず。
ぼくは2010年からトレイルランニングをやっているが、ぼくの知る限り、UTAほど笑顔の参加者が多いレースは見たことがなかった。ボランティア、そして応援している方たちも全力で楽しそうだ。
トレイルランニングって、本来楽しいもので、始めるのに高いハードルなんていらないのではないかと思う。
UTA50は距離50k、累積標高2000m、制限時間13時間。日本のレースに比べれば完走しやすい印象で、実際に追い込んだ練習をせずに、運動神経のないぼくでも完走できた。
だから、様々な方が参加できる。もしかしたら一年に一度、地元のレースだからという理由で参加されるランナーもいるかもしれないし、友達との思い出作りのためにも参加できる。UTAはアスリートだけが楽しむ大会ではないのだ(ちなみに100k、50k、22k、バーチカルと4つのカテゴリーがある)。
オーストラリア在住のトレイルランナーさんから以下のような話をお聞きした。
「例えば少年サッカーがあります。今の日本のことはわかりませんが、僕が子供の頃、少年野球が盛んでみんな地域の野球チームに入っていたのですが、いわゆるレギュラー以外はずっと補欠です。
こちらには補欠はありません。全員が出場するようにグレードがあらかじめ6〜7まで分かれていてその子供の技量によって所属のチームが分かれているのです。要は同じチームでも6軍まであって、6軍は他のチームの6軍同士でリーグ戦を戦うのです。つまりヘタッピでもとにかくプレーするというのが基本なのです。
1軍しかなかった僕からすると感動ものでした。子供たちも子供たちで誰もが1軍を目指しているわけではなく、1軍に選ばれたりするとプレッシャーもキツいし楽しんでプレーできないから3軍のままがいい、なんてヤツもいたりして。何かそういうベースを非常に感じるのですよ。日本は今でもみんな1軍を目指しているのでしょうか…。」
自分の限界に挑戦するのもいいけど、どんな方でも自分なりに楽しめるのがトレイルランニングの魅力。トレイルランニングはアクティビティや自然を楽しむ多くの方たちのためにある。あらためてそんなことに気づいたオーストラリアの旅。
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