いよいよUTMBウィーク。今年も日本から多くのトレイルランナーのみなさまがシャモニーに向かわれたと思います。走る方、サポート&応援する方、よい時間を過ごされますように。
さて、今年からUTMBにMCCという40kのレースが増えた。海外トレイル情報に詳しいDogsorCaravanによると
「UTMB®︎の大会日程初日となる8月27日月曜日に午前8時にスイスの町・マルティニ Martignyをスタート。UTMB®︎やCCC®︎、OCCとは異なるコースでシャモニーに向かう40km 2,300mD+のレース。このレースは大会をサポートしている皆さんとの絆を深めることが目的で、大会ボランティア、モンブラン周辺地域の在住者、大会パートナーの関係者からエントリーを受け付けます。(中略)世界的なトレイルランニング大会となったUTMB®︎が地域との結びつきを深めようとしている点が注目されます。」
とのこと。ということで、すでにレースは終わっていて、早速YoutubeのUTMBオフィシャルに映像がアップされていた。
UTMBは世界最高峰のトレイルランニングレースと言われるが、メインレースのUTMB(170km、10000mD+)に加えて、CCC(101km、6100mD+)、TDS(121km、7300mD+)、PTL(300km、25000mD+)、OCC(55km、3500mD+)と全5カテゴリーが開催され、それに今年からMCCが加わったことになる。
ぼくは昨年OCCに参加したが、100マイルを走る実力がないランナーもコースの絶景の一部を楽しめたり、UTMBウィークのシャモニの熱狂を感じることができる。また、トップランナーもUTMBを頂点という概念を持たず、例年カテゴリーを変えてエントリーしたりしている。トップランナーも、市民ランナーも、幅広く、奥深く喜びを感じられる大会の構成になっていると個人的には思っている。
さて、日本最高峰のトレイルランニングレースといえば、UTMF。こちらは2019年度大会はSTYが開催されないと先日発表されたばかり。100マイル枠は増えてUTMFに参加できるランナーは増えたとはいえ、STYを目標とされていたランナーもいると思うので、悲喜交々かもしれない。
国内トレイル情報に詳しいDogsorCaravanによると、理由としては
「以前から大会期間中にUTMFとSTYを開催することには選手の安全確保や大会の運営上、大きな無理があった」(大会実行委員長・鏑木毅さん)
「大会の安全管理チームの限られたリソースがUTMFとSTYに分散することにリスクがあるほか、コース誘導などのスタッフの業務が長時間にわたってしまうことが負担となっていた」(事務局長・千葉達雄さん)
とのこと。ぼくもエイドを担当させていただいているし、運営事務局の大変さはなんとなく感じている。でも、ランナーとしては複雑な気持ちだ。
何度か書いているけど、2012年のSTYがぼくにとって初めてのウルトラトレイルであり、ぼくみたいな鈍足ランナーでも(当時は時間制限も緩く)なんとか完走することができた。UTMF/STYという大会の持つメジャー感、同じコースを走る100マイラーたちの雄姿。鮮烈な体験と記憶となり、より一層トレイルランニングにはまるきっかけとなった。
国内に100マイルという最高峰のレースがあることは、本当に素晴らしいことだと思う。しかし、100マイルレースだけになると「100マイルを目指すランナー」たちだけの大会になってしまわないだろうか。(もしかしたらそれがよいと思っているのかもしれないけど)
大会運営は本当に大変だと思う。でも、日本でもMCCに出ているランナーたちのような笑顔を見てみたいとも思う。UTA(Ultra Trail Australia)でも、一部のアスリートだけではなく、多くの市民ランナーたちがトレイルランニングを楽しんでいた。世間とトレイルランニングとの接点が広いといったら言い過ぎだろうか。
「頂点だから選ばれたランナーだけが集えばいいじゃない」というご意見があるとしたら、それはごもっともだと思うけど、頂点のレースの熱気を感じて目指し始めるランナーもいるし、様々な事情で100マイルに挑戦できないランナーもいる。多くの方に日本のトレイルランニングの頂点を体感していただくことは未来への投資のようにも思えるし、「UTMF」というブランドはそれだけの魅力を間違いなくもっている。
なんだか書いていて申し訳ない気分になってくる。当事者ではないのに書きたいことだけ書いているのは本当に申し訳ないです。ただ、こうした意見というか感想を持つ人もいるということでご了承ください(また声をかけていただければエイド運営は全力で担当させていただきます)。
UTMBやUTMFは最高峰と呼ばれる大会だからこそ、大きな影響力をもっている。両大会が持つトレイルランニングの未来へのビジョンや志が、よりよきトレイルランニングシーンの活性化につながりますように。
来年はまたシャモニーに行きたいな。