2日目の朝。
あまりにぐっすり寝てしまっていて、太陽の明るさで自然に目が覚める。テント外に出ると、寒くない!そして今日もめちゃくちゃいい天気。2日目は南小室小屋のテント場に荷物を置いて、鳳凰三山を地蔵岳まで行って戻る稜線トレラン。ハイク&ランっていい!
昨日とは打って変わってトレランザックに水分と補給食、チェーンスパイクを入れて軽装備。風の通る稜線では温かくて甘いものが美味しいと思って、ボトルにチャイティーを作って出発しました。TIGER魔法瓶のステンレスミニボトルが軽くてお気に入り。0.2Lで0.11kg。
さて、南小室小屋からしばらくは雪道。最初の登り始めは結構な急登。雪を踏み抜かないように気をつけながら、進む。1時間もたたないうちに 『もうすぐだよ!いっきに開けるから、目をつぶって行った方がいいかも!(笑)』 という声。もう稜線だ!
きゃぁぁあああすごぉおおお!
わぁああ!きゃぁああ!さいこ~~~!
あまりの快晴に絶叫。
とにかく気持ちよ過ぎる稜線、ワクワクする岩、思わずすぐ立ち止まって写真を撮る。なかなか進みません(笑)もちろん目に焼き付ける、身体で感じるものだけど、写真って撮りたくなっちゃう!これが『走れる稜線の鳳凰三山』か、と感動。気持ちいい! 気持ち良くて走るけど、ちょっとした登りですぐ息があがる。そうか、3000m近いんだった。心臓ばくばく。高地トレーニングってこういうことか。なのに、みんなめちゃくちゃ速い!
ひとつめのピーク、薬師岳。後ろには北岳。週末なのに、ほぼ誰もいない。貸切!
稜線を経て、2つ目のピーク、観音岳から地蔵岳のオベリスクを眺める。
ちなみに、この景色の後ろに見えるように、要所要所で雪が残っていて、かなり急な下りもありました。どうやら雪でルートが変わってしまっていて歩きにくく、しかも雪がゆるいのでアイゼンもあまり利かずへっぴり腰で下りました。
サーフィンかスノーボードかのようにうまく中腰で滑って降りるみんなのマネ・・・をしようとしたけど、だめでした(笑) どでーん。お尻で滑る。キャ~!って、あたしは子供か。でもそれはそれで、まさかの晴天の下の雪遊びで楽しかった。
オベリスク手前の広い場所が、とても気持ち良くて、ひと休憩。
地蔵岳というだけあって、お地蔵さまがいっぱい。昔、子宝に恵まれない夫婦がここで一体を借りて持ち帰り、子宝に恵まれたら借りたお地蔵さまと、お礼のお地蔵さまの二体を持って、元に戻すという習わしがあったのだという説があるようです。
そしていよいよオベリスクへ。
急な岩場を登る。私は比較的、山の高いところは好きなので全然平気なのですが、高いところが苦手な人はちょっと緊張するかも。高い岩場をもりもり登る。そして、来た方向から見ていたオベリスクの裏側に回ると・・・
こんな隙間があり、そこをスルスルと中に入っていきます。そうすると表にギリギリ出ることができ、最後の岩のてっぺんに上る部分があります。ただし、ロープが垂れているものの何度か切れて怪我をした人もいるという話もあり、手足で登るにはクライミングの技術が必要ということで、安全第一。ここまでで終了。でも途中まで行けて嬉しい!
満足したら、ここが折り返し地点。写真を撮ったり、雪に苦戦したことで、想像以上に時間が過ぎてしまい、帰りはできるだけ走って走って戻ります。
た~のしい!やっぱり走るとあっという間でした。ピストンでも楽しめる、きっと何度来ても楽しめる、そんな場所。(※天気が良い前提で・・・)
テント場の南御室小屋に戻ると、なんとラーメンを作ってもらっちゃいました。南御室小屋からの地蔵岳ピストンは、残雪の影響もあるかと思うけれど、私が想像していた以上にエネルギーを消費したようでずいぶんとお腹が減りました。今度からもうすこし補給食を持って行こう!いやそれにしてもラーメンが最高に美味しかった!
南御室小屋からは、再びパッキングして夜叉神まで下ります。
せっかくOMM Classic 32L初使用なので、下りで走ってみたりもしました。揺れも少なく、本当に走りやすい。他の登山用ザックは安定感はあるもののやっぱり左右に振られる感覚があったけれど、それもなく。32Lではかなりコンパクトにしなきゃならないけれど、逆に持ちすぎなくていいのかも。この夏はしばらくこれで工夫していきたいと思います。
無事、明るいうちに下山。とくにトラブルなく、個人的には足のトラブルもなく、下山が寂しすぎるほどの充実した2日間でした。はじめてだったけれど、すっかりテント泊ハイク+トレランのスタイルに魅了されました。もう1週間たつけれど、いまだに写真を見返してにんまり。最高の夏山シーズンのスタートになりました!
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東京近郊に住んでいるため、やはり普段は低山でトレイルランニングをしています。もちろん低山の面白さもあり、それぞれの山が大好きなのですが、もっと “ 山 ” の楽しみを広げたい。色んな山、いろんな景色をこの目で、この足で見にいきたい。さらには、装備も地図読みや色んな知識や自分のこだわりを増やすという楽しみもある。山にはもっともっといろんな遊び方がある。そうやってより一層山が好きになっていくことがまた、トレイルランニングを今以上に色んな角度から楽しめることに繋がるのだと感じました。
“登りがキツイ” “追い込んだ練習” “苦しみが楽しみ” 大会になると特にそんな印象もあるトレイルランニングですが、「山を楽しむ」「山が好き」それには変わりなく、単純に山で遊べる喜びを感じられたら、大会でも苦しい瞬間にもっと違う感情になれるんじゃないかな、なんて。STYで、楽しくてたまらなかったのは、それかもしれない。これからの大会も「行きたい山の大会にエントリーする」なんていう選び方もいいかも!
最高の景色をぼーっと眺めながら、そんなことを考えたのでした。
今回、稜線から見た山は、これからひとつひとつ、ぜんぶ登っちゃおう。
be active be higher!
“どんどんやっちゃうよ、やるからには高いところを目指すんだ!”