今週末は、上州武尊スカイビュー・ウルトラトレイルですね。Number Do別冊「トレイルランニングレース名鑑」はすでにチェックしていただきましたでしょうか(笑)(ライターとして携わりました)
山田洋氏による『ロングレースの「難易度」を考える』というコラムにて、「キツイ」と言われるレースをいくつかピックアップしてマッピングしているんですが、上州武尊120が飛びぬけたところに記されていました。
昨年から120km部門を新設し、いきなり強烈なウルトラレースとしてデビューしたこのレース。昨年、何を思ったか、信越五岳の抽選に外れ、代わりのメインレースとしてエントリーしました。第一回で情報も少なく、制限時間が発表されたのはわずか1週間前、参考タイムもなければコースの様子もエイドの様子もわからない。しかもチームから出る人もいない。ものすごい不安の中で挑んだので、少しでも去年の私の経験が今年出る方の参考になればと思います。
ただしわたしはびりっけつランナー。経験もスピードもほとんどなく、制限時間をたっぷり使ってゴールしたので、速い方の参考にはならないと思います(笑)
まず、わたしの条件を先に書いておきます。
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1)制限時間いっぱいを使って完走する
⇒30時間超の行動時間
2)つまり、エイドでゆっくりしている暇はない。
むしろ飛び込んで飛び出るくらいの勢い。
⇒つまり、ある程度自分で補給食を担ぐ
※もし去年と同じなら「エイドを出たところで関門」なので要注意!
3)サポートなしの1人参加。基本的に“予備”も含めてすべて用意する。
4)エイドのものが全然無くなっても完走できるように準備する
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<エイドの印象>
去年は第一回大会だったので、それを経て今年はエイドも色々と変わるかもしれません。全体の印象としては、「ものすご~~く充実しているわけではないけれど、そこそこ用意されている方だとは思う。」という感じでした。なにより全体の一番後ろの方を走っている私は、エイドに着いたらアレやコレがなくなっていた、という“大会あるある”が何度かありました。
前半は自分の補給食もあり、胃も元気。アメやチョコ、フルーツをいただいて、スポーツドリンクかコーラもあった気がします。問題はどんどん先頭との差が開いて行く後半で、しかも選手のエイド滞在時間が長くなり、つまり1人でいくつも食べたりもする。目の前でおにぎりがなくなってしまう、チョコなどのお菓子しかない、なんてこともありました。また、色んな種類が用意されていても、チョコ・アメ・エナジーバー系だったりして、おにぎりやパンをがっつり食べて復活したい・・・という時も。去年の減り具合をみて今年はもう少し充実するかもしれません。
このレースは、想像もしていなかったパートが実はめちゃちゃ長くて、どんどんエネルギーを消費していく、なんていうトラップもあるので、エイドに頼って携行補給食が少なすぎるとエネルギー切れする可能性は多いにあると思います。
<わたしの去年の例>
そんなわけで、わたしが準備したものは主に4つの種類に分かれます。
Ⅰ.ジェル
Ⅱ.固形物
Ⅲ.ドロップバッグのある場所で食べるもの
Ⅳ.サプリメント?系
Ⅴ.飲み物
これらをエイド区間ごとにジップロックに分けて、基本的にはそれをすべて補給する。そして、ドロップバッグポイント前後で持ち分けました。
Ⅰ.ジェル
どろっとした系ジェルが苦手なので、ゼリーに近いジェルを選んで30本。どんな状況でもだいたい飲めるという自信のあるメダリストを最も多く用意しました。カフェイン系も考えたけれど、苦手なものや飲み慣れていないものは全却下。
Ⅱ.固形物
ジェルだけで走り切れるトップランナーではないわたし。のそのそ歩いて上がる登りや、逆にジェルが受け付けなくなったときのためにも固形物がほしい。体力の消耗度合によるけれど、一応は1時間に1回(ジェル1本分)。ジェル、ジェル、固形物、ジェル、ジェル、固形物、といった感じで間に固形物を挟む。
RAW-BITEは好きだけど、上州武尊ではなんだか重すぎて結局1本も食べませんでした。シャレオツだけど重いだけだった・・・(笑) 逆にあってよかったはチョコメロンパン。一部のエイド(後半のA6くらいだったかな・・・)にはチョコパンやあんパンもあったけれど、わたしが遅すぎたのか、案外エイドで出会えないことも多かった。最後の方では固形物が喉に通らなくて、このパンをお湯に浸して食べたりもして結構重宝しました。(ふよふよにして食べるのが苦手な人にはおすすめできないけれどw)
謎のじゃがいもは、石川弘樹さんが信越で「じゃがいもがいい!」と猛プッシュしていたので、たまたま北海道物産展で売っていたものを買ってみた。(モサモサするのでこの時以来食べていないw)
Ⅲ.ドロップバッグのある場所で食べるもの
これまで信越五岳やSTYではチームサポートが手厚くて、「何が食べたい?」「あれあるよ、これあるよ」と色々出してもらえたりもしました。あ~なんて贅沢だったんだろう。わたしは比較的胃が強い方で吐いたりしたことはないけれど、どうもジェルが続く&お腹が冷えると、お腹を下しやすいOPP(オナカピーピー)問題があります。朝からジェルを飲み続け、さらに寒くなり始める夜は私の敵で、とたんにぐったりしたりもする。
その対策として、大きいエイドならきっとお湯があるはずだと賭けて、ドロップバッグにフリーズドライのにゅうめんとお味噌汁のカップ、前日に買ったおにぎりを2つを忍ばせておきました。予想通り、ドロップバッグのあるエイドでコーヒーやお味噌汁用のお湯を分けてもらえました。お味噌汁のカップにお湯を入れて、おにぎりをぶち込んで「ねこまんま」にして食べました。温かい固形物はめちゃめちゃパワーが出て、この後、怒涛の巻き返しをしたのです。最後の方でまた関門に追われたけれど(笑)
ドロップバッグは何でも入れられるわけで、しかも、使わなかったものはそのままゴールまで持って行ってくれる。だから、とにかく「食べたくなるかもしれないもの」を色々入れておくのもいいかもしれない。もちろん、チームサポートがあれば、仲間にお願いしておけば安心ですね。
Ⅳ.サプリメント?系
・塩熱サプリ 30分~60分に1回計算・・・(飲みすぎw)
・VESPA 苦手なので3つくらい
・MEDALIST(粉末) 3つくらい
・芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 攣り防止 2本
・ユンケル(ドロップバッグに)
Ⅴ.飲み物
・麦茶
基本的には麦茶が好きなので、スタート時ハイドレに1.5Lの麦茶。途中のロードで水がカラッカラになり、熱中症になったりもしました。今年ちょうどコースが変わった部分で、剣ヶ峰を下りてから武尊山頂までがとにかく長い登りで、途中でさすがに2Lくらい背負った気がします。夜は寒くて水よりもお湯を消費。
・保温ボトル(夢重力という名前のボトル)
最近のレースでは絶対に持っていく軽量保温ボトル。冷たいものを入れてもいいわけで、プラのボトル替わりに持って行きました。これがめちゃくちゃ活躍。お腹が冷えた時、ちょっと気持ち悪くなったとき、固形物が喉を通りにくくなったとき。ちょっとずつお湯を飲んで胃を温めるとみるみる復活。エイドによってはお味噌汁やめんつゆ(私が到着した時にはつゆだけだったw)を提供していて、それをお湯で薄めてボトルに入れて塩分補給にしたりもしました。7月なら9月より暑いかと思いきや、どうやら今年は天気が悪そうなので、お湯作戦、おすすめです。
・コーラ
ドロップバッグにはコーラ2本、アクエリアス1本を。着いた時にぐびぐび飲みたいかもしれないし、持っていきたいかもしれない。結局コーラは1本持ってエイドを出た気がする。後半の気分転換にすごく助かった!
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とにかくめちゃくちゃ時間をかけて走る、しかも結構心配性なので、過剰すぎるだろ~と思う人はたくさんいると思います(笑) もちろん摂らなかったものもあるし、やっぱあってよかった!と思うものもあります。もっと荷物を軽くすれば楽だから早く走れるよ!という声も良く聞きます。それもきっと正しいのだと思います。短いレースならできるだけエイド食を活用しようと試みる時もあります。ただ、情報がない中でも、とにかく何としてでも、不安要素はできるだけ形で賄って、絶対に完走したかったのです。経験が浅いわたしなりの試行錯誤でした。
最後に、120kのスタート会場近くにコンビニっぽいものが1軒だけありますが、ご想像のとおり、飲み物も食べ物も結構買い尽くされていました。それ以外にあれこれ買えるところはほぼなかったような気がします。当日の飲み物含めて、会場に向かう前に買ってくるのが良いと思います。
コースも気温も天候も違う今年。
どのくらい参考になるかわからないですが、自分の記録がてらってことで。
<昨年のレポート>
あの山の記憶―YNMC120k 【vol.1】【vol.2】【vol.3】
※今年はコース等色々変更となっているので要注意。