5月20日(土)〜21日(日)の一泊二日のスケジュールで奈良県にて開催された「Kobo Trail」と言うレースに出場しました。
ことの始まりはお客様からお誘いをいただいた事なんですが、実は『Kobo Trail」には、以前より興味があり、2021年にエントリーした経緯があるんです(コロナ禍で中止となってしまいましたが…)
先にレースの結果から話をすると、年末から続く腰痛による完全なトレーニング不足で満足のいく走りは出来ませんでしたが、どうにか無事に完走することが出来ました。
こんな状態の私がよちよち走ったレース詳細を書いたところで何も面白くないので、今回はいわゆる「レース参戦記」ではなく「レース紹介」的な内容で書き進めて行きたいと思います。
「Kobo Trail 」は若き日の弘法大師(=空海の諡号)が山岳修行として「吉野より南へ一日、西へ二日」歩き、高野山に至ったとされる「弘法大師の道」が舞台となります。
「弘法大師の道」は2010年に「弘法大師 吉野・高野の道プロジェクト」が発足し、空海の弟子が書いた「性霊集」を基に調査が始まり、2014年に全行程の踏査が終了し、吉野山 金峰山寺から高野山 金剛峯寺を結ぶ聖なる旅路として蘇りました。
↑レース前日には参加者全員で金峰山寺蔵王堂にて夕座勤行で安全祈願
「弘法大師の道」が「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界文化遺産に認定されている事やコースの一部が修験道の修行場として現在も神聖化されている大峯奥駈道を含む事から、その貴重な修行場の山を保存するために、参加人数が150名に限られたとても小規模なレースです。また、参加ランナーは修行場を通行する事から全員が白を基調としたウェアの着用が義務付けられております。
↑スタート直後、雲海に浮かぶ金峰山寺
これ程、神聖で貴重なルートを走らせてもらえるレースってそうそうありません。
それだけでも十分に魅力的なのですが、「Kobo Trail」の良いところは「弘法大師の道」を一日で走ろうとするとワンウェイコースが故、荷物が増え、途中にエスケイプルートや水場もほとんどなく上級者しかコンプリート出来ませんが、レースであればスタート地点から荷物をゴール地点まで運搬してくれ、おまけにエイドまで設営してくれるので、私レベルのランナーでもワンデイコンプリートが可能になります。これだけでもレース代を払う価値は十分にあると思いませんか?
しかもエントリー代は一泊二食付き宿泊代込みで¥21,000(民宿タイプ)と格安な値段設定となってます。
「ランナーにとって楽=運営者にとって大変」と言った事を考えると主催の奈良県をはじめとする自治体や協賛されている地元企業の「参加者に喜んでもらい、地元を盛り上げる」と言ったホスピタリティには本当に感謝しかありません。
コロナ禍で様々な事が変わりました。トレイルランニングを取り巻く環境も例外ではありません。
長い間、レースの中止が続いた事で、自然発生的にレース形式のイベントが増えて、新しいカルチャーとしてシーンが盛り上がっています。その事自体はとても嬉しい事ですが、その影響もあってか「レース離れ」と言う問題をレース主催者より最近、よく耳にするようになりました。
そう言う私自身も最近は仕事の関係やレース以外の楽しみが増えて、昔に比べるとレースを走る機会はめっきり減っていますが、今回の私の様に自分のスタイルや興味が持てるレースを見つけたら積極的にエントリーしてみてください。新たな発見や出会いがあり、レースを走る事が一周回って逆に新鮮に感じられるかもしれません。
何にエントリーして、どのレースを走るかはその人の自由ですが、歴史や物語を繋ぎ旅する「Kobo Trail」は走行距離:56km / 累積標高:4,000超で険しいアップダウンが連続するかなりハードなレースですが、ご興味ある方は心技体を整えた上で是非、来年以降エントリーしてみてください。かなりお勧めののレースとなっております。
最後になりましたが、「Kobo Trail」開催にご尽力いただいた全ての方々、一緒にレースを苦し楽しんだ全てのランナーの皆様に心より感謝を申し上げ終わりとさせていただきます。本当にありがとうございました&お疲れ様でした。
【Record】
・distance:56km
・cumulative altitude:4000m
・time:12h48m15s
・position:58/110
今まで走った中距離レースの中でも間違いなく上位に位置するタフなレースだったが、
決してそれだけではない素晴らしいレースだっただけに格別なゴールだった。