あれからもう1週間が経過した。
もうそんなに時がたったか、と本当にビックリする。
日本に帰ってきても、夢に出てくるのはモンブランばかり。
夢ではまだゴールしていなくて、モンテを登っていてる夢を多く見た。
起きてから嫁さんに
「まだオレゴールしてないよね?」
と話しかけて驚かれたりw
さて、前回は主にレース中の出来事について、僕が体験したことをそのまま(一部記憶違い等はあるかもしれないが)振り返ってみた。
今回は、来年への忘備録的な感じで纏めてみたいと思う。
謂わば、今後の自分への手紙だ。
1.UTMBについて
UTMBのコースについては、終日素晴らしい天候であったために、トレイルの条件としてはこれ以上ないものであった。コースは皆が言っているようにトレイルは硬め。ただ、思ったほどではなかった。お盆に北アルプスの縦走を実施したが、それに比べるとずいぶん柔らかいとさえ思えた。また、確かに山は大きく、疲れたり・怪我を抱えたまま入るのは躊躇するスケールではあるが、トレイルの難易度やのぼりのハードさなどは、これまた北アルプスのほうが辛いと感じた。ただし、天気が良いのに夜は寒かったので、悪天候であったら相当な困難が待ち受けるのは容易に想像できる。
あとは、UTMBは所謂トレイルランニングではなくて、トレイルスピードハイク的な位置づけになると思う。おそらく20時間台を狙うのであれば、かなりのぼりでもプッシュする必要はあるが、それ以降のタイムを狙うであれば登りはすべて歩いても問題ない(むしろ歩いたほうが良い)というのが実感。※ただし、平坦なところや、下りはそれなりに走る必要はある。
今回は自分自身初めての100マイルレースであったので、正直かなり手さぐりではあったが、序盤(特にクールマイユール)までは、心拍をかなり意識してスローにいってとてもよかったと思う。ただ、中盤以降(クールマイユールからアルヌーバ)は無駄に走ったりしたところがあったので、そこは何としても自重する必要があったなと反省している。
レースマネジメント(とくに入り方)はこれで良かったと思うが、中盤以降もさらに気を付ける点があるのでそこは今後の課題。
また、怪我をしてしまった時の感情のコントロールが非常に難しく感じた。
疲労でなかなか心拍があがらなくて、辛いというのはよく体験するが、耐え難い痛みを抱えながら夜の山を走る恐怖というのは今回初めてだった。
「痛みは耐え難いが、苦しみはオプショナル」(某有名作家の言葉)
とはよく言ったものだが、それでも痛みをなんとか自分なりに処理して(抱きかかえて)、前へ進むにはやはり執念しかないと思った。どれほどゴールしたいか。自分にとってそのゴールとはどんな意味があるのか?と問うてみたときに、なんとしてもゴールしたいという思いがあって、時間に余裕さえあればそれは可能なんだと。
2.補給について
補給については概ね成功したがもちろん反省点もある。
良かった点は、1時間おきに、ジェルやチョコなどなんらかの食べ物を食べ続けていた点。
ハセツネなどのミドルレンジ且つ高負荷なトレラン(所謂ランニングメインのトレラン)では、僕は40分に1回くらいでジェルなどを補給するのだが、今回はそもそも心拍を抑えているのでそれほどいらないとみていた。なので、ジェルはそれほどたくさん持っていかなかったけれど、羊羹などなにかしら1時間おきに食べていた(結局ジェルは8個くらい消費)。つまりは、自分の体を知って、このくらいの負荷であればこの程度のカロリーだなということが(感覚で)割とつかめてきたということに、今回非常に価値を感じている。
あとは、UTMBのエイドは基本的に同じものが並んでいる(スープやパスタは味がエイドによって異なるけれど)ので自分なりのエイドでのパターンを早めに確立することが重要だと思った。僕の場合は、まずオレンジやバナナなどを食べる。それから、ジップロックにチョコを詰めて、最後にスープにパンをつけて、パンをたくさん食べる。という感じになった。
後半は何も考えずに、ただひたすらそれを繰り返していた。
反省点としては、やはりジェルが一番効くのでジェルはフラスコに入れて持っていた方が良いかなということ。一つ一つ開けて、ジェルを接種するのはいろんな味が味わえてよいのだが、手がベトベトになったり、ポールを持っているので邪魔だったりとなんか後半とくにめんどくさかった。めんどくさいと、人間ついつい摂取を怠ってしまう。日本のトレランレースでは、フラスコを多用しているので、そっちのほうが自分には合っているなと思った。柿の種とかベビースターはザックの取り出しずらいところにあったせいか、あまり消費しなかった。。。
3.装備について
salomonの500mlのフラスクは大誤算。
途中で穴が開いて、本当に焦った。念のためクールマイユールに新品を置いていたが、その時点で壊れていなかったのでザックに入れなかった。やはり普通のボトルのほうが良いかも。
ザックについてだが、salomonの新しいADVANCED SKIN LAB12Lは時が経つにつれて正直微妙だと感じた。まず、メイン気室へサイドのチャックが中途半端なサイズなので、少し大きめのレインジャケットを入れるのが大変。あとは、サブポケットへアクセスするチャックが硬くて、途中腕が攣るかと思った。僕の体が硬いだけなのかもしれないけど、、
こういう長いレースはめんどくさいと思う動作はとことんしたくない。なので、補給食の取り出しなどのザックの導線は改めて重要だと思った。体の硬い僕は、ベストタイプのサイドポケットなどに補給食をいれるととるのに難儀なので、思い切ってベルトタイプのものと併用して、ベルトタイプのところにジェルなど良く摂取する補給食を入れようかなと思う。
たとえば、LafumaのSPEEDTRAIL 5とUltra spireのクアンタム(ゼッケンベルトを兼ねる)を組み合わせるなどするといいかなと個人的には思っている。
テーピングについては、携帯するのはキネシオと白両方もっていったほうがいいかなと思った。
筋肉系や捻挫両方のリスクを考えると両方必要だと実感した。今回はキネシオを持たなかったので筋肉系のトラブルに対して白テープで処置しなければならず、やはり両方必要だなと実感した。
4.デポについて
デポについては、たくさんデポしたけど使わないようなやつばかりだった。
クールマイユールはまだ80km弱なので、意外と元気だし、必要なものは限られている。
着替えやワセリン&テーピング、補給食などで十分。たくさんあると長居する原因にもなる。
今回はラーメンやらなんやら大量にデポしたが、まったく取得せずw
個人的には、デポで携帯していた重量系の雨具をバーサライトに取り換えても良かったかなと思うが、山なのでいつ天候が急変するとも限らないのでそこは熟慮が必要。
また、悪天候などを考えるとまた違った戦略も必要となるかもしれない。今回はやはり昨年の激寒を想定していたので、致し方なかったか。
5.エイドでの休み方について
基本エイドでは長居しないつもりが、、
Courmayeur・・・40分(15分)
La Fouly・・・15分(1分)
Champex-Lac・・・40分(10分)
Trient・・・20分(1分)
Vallorcine・・・30分(1分)
※カッコは予定していた滞在時間
となっていて、約2時間も予定と乖離がある。
つまり単純に言うと2時間は何の労力もなくタイムを短縮できたことになる。
現実問題そもそもの予定に無理があったとしても、これはちょっと休みすぎだなと反省。
これは是非とも次回に生かしたい。
また、サポートの重要性をイマイチこれまで認識していなかったが、めんどくさいことをいちいち自分で考えてやることは長いレースでは本当に大変で、サポートは、ほんとありがたい存在だと感じた。今回Champexでなっちゃんからサポートを受けたが、それによってほんとうに元気が出たし、動かなくても食べ物が出るってホントに素敵なことだったw
以上、長々と書いてきたが、来年以降もしUTMBに出られる方の一助となれば幸いだし、僕の今後へのアドバイスとして纏めてみました。