毎年恒例のシャモニー遠征。2009年の鏑木さんの挑戦を追ったドキュメンタリーを観た方々はとっくにUTMBを卒業された感があります。当時はシャモニーで会う日本人はほとんど知り合いでしたが、今回はほとんど知らない方々。そして中国からの参加者が多いこと多いこと。
というわけで2016年のエントリーが迫る今日この頃。いまさら感満載のTDS2015参戦記。
2015年8月23日(日曜)
午前8時30分の便で北京を経由して18:30にジュネーブ到着。
空港から4kmくらいタクシーに乗っただけで6000円くらいかかる。
コルナヴァン駅近くのアパートホテルに入り、ジュネーブに住む友人夫妻と美味しいチーズフォンデュと食べにいく。
※築400年という建物。ワイン入りのチーズフォンデュです。
8月24日(月曜)
朝から小雨。レマン湖の周りを麻美子さんがジョグ。湖畔には20ユーロのデポジットで4時間無料のレンタル自転車屋さんがあり、並走しました。
途中雨風強く、名物の噴水に近づいたら湖に落っこちそうでした。
AlPY BUSでシャモニーへ移動すべく、発着場所の空港へ。1時間前に到着したらすぐに乗せてくれた。1時間15分くらいでシャモニー到着。ホテルのすぐ近くまで行ってくれます。
ホテルはUTMBスタート・ゴールからすぐ近くのLa Croix Blanche.立地よし。部屋も広くてよかった。ただし部屋にWifiなし。
駅前の通りにあるOrangeという携帯ショップへSIMカードを買いにいく。レースに出るんだろ?と言われて、さささっと用意してくれた。ただし、Orangeでは最低限5ユーロ分のチャージしかされておらず、となりのTABAC(ミニ売店)で追加チャージする必要があった。しかも、イタリアでは電話とSMSは上手く使えたけれどデータ通信はどうしてもうまくいかず。
ちょっと街をふらふら。
受付のスポーツセンター付近でPTLに出るキャット山田チーム&サポートのなっちゃんに遭遇。がんばれ。
17:00にホテル前でPTLのスタートを見送る。自分だったらテンションガタ落ちの雨だが、彼らはそんなのを気にしない。
さっさと寝る。
8月25日(火曜)
翌日に備えて4時起き。なんだか食欲がない。納豆もあまり美味しく感じない。
天気はかなり良さそう。街から見上げる山々は怖い位きっちり見える。
シャモニーには何度も来ているけれど、今回初めてMIDIに行く。予約をしていたので8:00にロープウェー駅へ。ついでに駅近くのコインランドリーで洗濯も。
往復で57ユーロ。びっくりするくらいのスピードで頂上へ。寒い。高すぎて、どれくらいの高さなのかよくわからない。
雪山に出て行くアルピニストな皆さんの姿にちょっと感動。
こわいわー。
さっさと下山。
下山途中のロープウェーの乗換駅は2300mくらいの標高。ここまでは走って上ってくる人も多く、この日はフランス軍の大会が行われていた。
さっさと下山。
午前中の第2イベントはこれ。
新しく出来たスポーツセンターのトラック。山を背景にとても美しい。
なぜか1周300m。
ここで麻美子さんインターバルトレーニング。高地ということで息が苦しいそうです。
同じ時間にUTMBゼッケン1番のSage君もインターバルトレーニングをしていた。さすが2時間10分台のランナー。超速い。
午後はいよいよゼッケン受け取り。
早めに済まして、クールマイユールに移動しなくちゃ。
荷物チェックはトレランやったことなさそうなおじさん。このおじさんに機能面でチェックされると、より詳しいおじさんの所に行ってこまかい審査を受けないといけない。で、モンベルのぺらぺらバーサライトはもちろん追試へ。
それでもさくっと終わって一安心。
サポーター用のバス乗り放題チケット30ユーロもここで購入。
出口付近で、他の日本人選手発見。がんばりましょう!
16:30の公共バス(片道15ユーロ)でいざクールマイユールへ。
40分くらいで到着。当日の朝に無料オフィシャルバスがあるのですが、ぎりぎりまでホテルにいたいので前泊です。これが後ほど大ピンチを招く。
ホテルはスタート地点の目の前。
到着後はすこし散策の予定だったのだけど、スーパーがなかなかみつからなかった。
サポートで移送をお願いする荷物が意外と多くなってしまい、あたらしくザックを購入すべくpatagoniaクールマイユール店へ。手頃なものが見つかって一安心。
夜はさっさとうな丼を食べてねた。
8月26日(水曜)
麻美子さんは4時前に起きて、朝ご飯の準備をしてくれた。感謝。
パスタ、ひじき、ゴーヤチャンプル。これ以上ないメニューでばっちり。
5時30分ごろ、いったんドロップバッグだけ預けにホテルを出る。ついでにスタート地点と、スタート後に次のエイドまで連れて行ってくれるバスの発着所を確認する。久しぶりに岩佐さんに会う。前回、一緒にUTMBレポートをしたのが懐かしい。前回の事故を知っているだけに「無事の完走を!」とのお言葉を頂く。
今年からスタートが早まったのでまだ暗いのだけれど、凄い熱気。
しかし、レースは長丁場。興奮を抑えて5時50分ごろ再びホテルに戻る。
ぎりぎりまで休むぜ。
ん?
ホテルが閉まっている…..
ホテルの入り口ががっちり閉まっている….
一瞬で全身に悪寒が走る。
早朝なので外出は出来るがオートロックだ。
奥に見えるフロントは真っ暗。
そういえば早朝は対応出来ないのでということで、朝食も昨晩部屋に持ってきてくれていた。
部屋に戻れない……
ゼッケンもザックもねぇ…..
まさかの!まさかのDNSか!
麻美子は「なんで!」と半泣きの声。
わたしはとにかくホテルの周りをくまなくまわりどっかの窓は開いていないか捜す。大声で宿泊者を呼んでみるが、そもそもスタート地点目の前なのでかなりうるさいので誰も反応なし。
未だかつて聞いたことのないDNSをかますことになるのか…
従業員用の出入り口とかないのか?
深夜の出入り口とかあるだろ?
真っ暗闇のホテルの裏側を壁をどんどん殴りながら捜す。
ない。
ガラス割るか?
それはないな。
全身から力が抜け気味のそのとき、壁にインターホンを見つける!
押す!
壊れてる!反応なし。
「そもそもこのホテルだっけ?」
麻美子は完全に現実逃避なセリフ。
「あと3分!」スタッフのアナウンスで盛り上がってるランナー達。
俺はここまできてこんな強烈なネタを提供するのか…死にたいわ。
「DNSだわ〜」
と泣きが入ったその時、めちゃくちゃ小さい赤いランプを見つける。
近づくと扉になっている。カギは閉まってるけれど、ゆるめの設定!
ガシガシガシガシやる。刑事ドラマ的にいろいろやる!!バキっ!バコっ!
「あいた!あいたよ!」
すでにヒットポイントは半分くらいになっていた。
部屋にもどって超ダッシュでゼッケン着用、ザックを背負ってスタート。
今回のTDSの最大の山場を見事乗り越えた。ホテルの方、ごめんね。
では。次は本気で走る僕です。