夏休み、台風が過ぎ去った最後の2日で東北まで新幹線に揺られ蔵王山に行った。バスで山頂近くまで行く事ができるというアクセスの簡単さと、東北地方の山らしく2000m以下の標高でも開けた景色を楽しむことができる。前記事で行くと宣言した山と早速違う所に来てしまったわけであるが、無性に蔵王の御釜を見てみたい気持ちが沸いてきたことが背中を押し、久々の山行きにはちょうどいいかなと思った。今回使った交通機関は次の通りである。
(今回使った交通機関)
東京〜白石蔵王駅 やまびこで約2時間
白石蔵王駅〜遠刈田温泉〜蔵王刈田山頂 バスで約1時間40分(遠刈田温泉はその中ほど)
山形駅〜蔵王温泉 バス40分
蔵王温泉〜地蔵岳山頂 ロープウェイ7分+10分
(今回は利用せず)
山形駅〜蔵王刈田山頂
東京〜山形駅 つばさで約2時間40分
初日、白石蔵王駅から山頂までバスで行き、山形側の蔵王温泉へと下るというのが計画であった。が、麓の白石蔵王から天気がよければ見えるはずの蔵王山が全く見えず。天気の回復に期待してバスに乗ったが、山を上るにつれて天気は悪化、山頂では突風で雨が打ち付けるように降っていた。連日の猛暑が続く麓と違い、頂上の気温は14℃ということであった。こんな天気の中で来てしまった普通の格好の人達がレストハウスの中に避難しており、誰も外には出て行かない。天気予報を確認し、1時間後くらいに雨雲が途切れそうに見えたので、とりあえずコースタイム50分の避難小屋まで行って様子を見る事に決めて出発した。
熊野岳(蔵王山)山頂
晴れていれば御釜を眺められるところが視界はほとんどない。登山道を示す木の棒を頼りに風雨の中を進み、避難小屋を見つけるなり駆け込む。天候の回復を待とうとしたが、一向に天気は回復せず、白石蔵王に戻る帰りのバスに間に合わない時間になる。蔵王温泉まで行くしかなくなったので、風雨の中で山頂を通りつつ、ガレ場を矢印と○印を頼りに下っていく。足元の石が濡れて滑りやすくなっており、転けたら骨折せずとも縫うような怪我になりそうなので慎重に進む。ある高度まで下がると急に視界が開けてきて、どうやら悪天候は頂上だけだったようだ。途中カモシカに遭遇するなどしながら無事に温泉街まで下山し、硫黄の強烈な蔵王温泉で汗を流す。かなり余裕を持って下山したし、もう少し避難小屋で待っていれば頂上の天候も回復していた可能性はあった。しかし、初めて来たコースではリスクが大きいと判断した。
麓の白樺林
御釜を見る事を目的にやって来たのに目的を達成出来ずに終わった初日、蔵王温泉から山形駅に移動して着いた時はまだ17時過ぎでそのまま日帰りで帰る事も余裕だった。が、せっかく山形まで来たのでとりあえず一泊をして翌朝にかけることにした。前日の反省も踏まえ、まずは御釜のライブカメラをチェックし、晴れている事を確認してから蔵王温泉行きのバスに乗った。帰りの時間の制約もあるため、ロープウェイを使って地蔵岳の山頂まで移動したが、前日に通ったルートを上から眺めるのもまた趣き深い。視界がほとんどなかった前日とは打って変わって開けた景色が広がっている。前日は20人もならない程度の人としか避難小屋の中も含めコース上で出会わなかったが、この日は晴れたのでたくさんの人で賑わう。当初目的であった御釜の眺めを十分満喫することができて山頂バス停を通り過ぎて大黒天まで下った所で白石蔵王行きのバスに乗る。
バスを途中の遠刈田温泉で下車したが、次のバスまでの1時間の間に共同浴場「壽の湯」に入り、昼食も済ますという慌ただしいスケジュールだったのが惜しい。頂上から下山できるバスは週末のみの1日2本(頂上12時および13時発)しかないが、遠刈田温泉からは白石蔵王行きのバスももっとあるし、仙台行きのバスもある。「神の湯」なる共同浴場もあり、いずれも330円なので両方とも入るという楽しみ方もできる。後の時間さえ許すのであれば、町の散策と湯巡りをゆっくりと行いたい町であった。蔵王山に訪れたこの2日間、悪天候も好天も、自力下りもロープウェイからの眺めも、終わってみれば旅も景色も色々な楽しみ方ができた週末であった。
壽の湯
熊野山(蔵王山頂上付近)、同じ場所も天気が違えばこれだけ違う