ハワイから帰国したての若岡です。初開催のステージレース「Mauna to Mauna」は3位入賞でした。
大会前々日に大幅なコース変更が伝えられたり、スマホをなくしたり、異常気象で大雨、低体温、流血、キャンプ地も変更などアクシデント続出でした。スマホはただの忘れ物ですが。
そんな盛りだくさんなハワイ遠征を振り返り、余韻に浸っていたら、いつの間にか長文ができあがっていました(中国の回想がまだ終わっていないのに、うぅ)。僕個人としては、1週間もあるのに最終日まで17秒という僅差で3位を争ったことがハイライトです。というわけで以下が本文です↓
17秒あれば何ができるだろうか。
とりとめなく考えている間に時間が過ぎていく。考え事のできる時間ではない。ドリップコーヒーを入れることも、通話で用件を伝えることすらできやしない。できることといえば、せいぜいが100m走くらいだ。
そんなわずかな時間に朝からずっととらわれている。正確を期すならば、前々日の深夜からだ。
そのとき、僕は1週間にわたるランニングレース「Mauna to Mauna」の勝負所となるロングステージで79kmを走り終えたばかりだった。食料や寝袋などの荷物を背負って毎日スタート、ゴールを繰り返し、この日を終えて走行距離は200km近くに積み重なっていた。
時間は深夜11時。照明に照らされているもののゴールとはいえ、賑わいはない。この日の順位は3位、合計タイムによる総合成績も暫定で3位に浮上した。残すは50kmちょっとと、決して短い距離ではないが、そう長くもない。大会前から目標としていた表彰台が近づいてきた。
前年出場したレースは23秒差で4位に終わり、表彰台を逃してしまった。全力を尽くしたつもりだったが、日を追うごとにもっとやれていたんじゃないかと思い直すようになった。何かが足りなかったのだ。そのときの自分の限界なのだから、悔しくないつもりだった。受け入れないといけない。狙ってもとれなかったのだから仕方ないと。
1年越しで再びチャンスをつかみ、強く自覚した。あの時のわずかな差を悔やんでいたのだ。惜しかったでは何も残らない。限界まで走るのではなく、限界を超えなくてはいけなかった。そんな強さが欠けていた。結果を分かつのは、意志の強さだ。
走りながら考えていたことを反芻していると、夜の暗闇が切り裂かれた。強いヘッドライトがゴールに駆け込んできた。イタリアのルイージだった。僕と3位を争う長身のランナーである。道中で大きく引き離していたはずが、2分ほどの差に詰め寄られていた。
僕はなんとか総合成績で3位を保ったものの、ルイージとの差は17秒。残すは47kmと8kmの2ステージ。大きなタイムアドバンテージを奪うべく体を酷使しただけに、両脚に深いダメージが残るのは避けられない。苦しい状態で争っていくことになる。表彰台への道のりは今年も険しい。