5月12、13日、チームメイトと共に走ってきました第2回ASO ROUND TRAIL(以下ART)
先に言っておきます。この大会、世界に誇れるくらいに最高です。
ARTには世界最大の規模を誇る阿蘇山の外輪山をグルリと回るフルと後半部をコースとしたハーフの2つの部がある。
フルは距離109km、制限時間29時間、累積標高差5000m。
ハーフは距離43km、制限時間12時間、累積標高差2800m。
後半部がキツイコース設定。
私がチャレンジしたフルの部の参戦記を綴ってみたい。
ARTを知ったのは雑誌RUN-TRAILの記事だった。美しい写真を見て一目で魅了された。あるFacebook友達がこれしか出なくていいという言葉が印象に残っていた。これは出るしかない。絶対に走りたいと思っていた。
昨年の12月1日、エントリー開始早々に締め切りになった。幸運にもエントリーできた。
私が所属するトレイルランニングチーム、ランオアダイ(以下ROD)からは私と愛知のアニキとアキちゃんの夫妻ペア、3人がエントリー。ぺーサーを務めるマリコ様、ウタちゃんの2人を含め、結局、RODから5人が参加することになった。久しぶりのチームメイトとの再会が楽しみだった。
前日の11日に装備チェック・受付・コースガイダンスを済まし、宿に着いたのは夕方だった。同宿者は東京、大阪、愛知からの男女混成で12名。半分はチームメイト含めて顔馴染み、半分はACROのメンバーなど初めての方だった。
翌日の全体スケジュール確認後、居酒屋での懇親会、コンビニへの買い出し、宿に戻り温泉、装備や着替えの準備、就寝と慌しく予定をこなす。まるで学生時代の合宿のような気分を味わえた。これも地方開催レースの醍醐味のひとつ。
いつものことだが、レース前は興奮していて全く眠れなかった。睡眠不足のまま当日朝を迎えた。
当日の12日、午前5時45分、車2台で宿を発つ。30分程でスタート会場の大阿蘇環境センター未来館に到着。ドロップバッグを預け、トイレを済ませ、スタートゲート前に立った。 開会式にはサプライズゲストのくまモンが登場し盛り上がった。
集合写真を撮ったりしていたら直ぐに時間がきた。午前7時、スタート。
それぞれ目標ペースが違うためスタート直後からばらけた。600名以上の参加だから直ぐに誰が何処にいるか分からなくなった。
ペーサー組は、スタートを見送り、車で先回りしてサポートできるエイドステーション(以下AS)をまわることになっている。サポートができるASは、AS1、AS3、AS4の3つのみ。仲間のサポートは心強く、ありがたい。
まずは、18.7km先のウォーターステーションのWS1 折戸地区コミュニティセンターを目指す。外輪山への約400mを登るとまず最初の絶景が待っていた。
23.9km地点のAS1はな阿蘇美には10時42分着。関門時間12時に対して1時間18分の貯金。快調な滑り出しだった。
当日の天気予報は晴れ、最高気温は25度以上の夏日。早くも暑さを感じていた。5月の夏日はまだ十分に暑さ慣れしていない身体には堪えた。
仲間からの差し入れの冷えた炭酸が火照った身体には最高に美味い。ASで提供された「だご汁」は阿蘇の郷土料理で、腹持ちする団子や野菜がはいった味噌ベースのお汁、これも最高に美味しかった。
続々と混成チームのメンバーがASに到着する。以降、AS毎に仲間が集い、あるいは、区間で並走したりを繰り返すことになる。個人でレースにストイックに向き合う所と皆でワイワイやる所とが交互に訪れる。ますますレースが楽しくなってきた。
AS1を出る。前半のハイライトは大観峰の激登り。これを凌ぎ切る。振り返れば大絶景。大観峰から阿蘇五岳を望む。聞いていたように阿蘇五岳の連なりが御釈迦様が横たわる姿に見える。
大観峰でも仲間が待っていてくれた。短い会話であるが明るく元気な言葉が、前向きな気持ちにさせてくれる。そう、このレースは決して一人で走ってるわけではない。皆んなが応援してくれる。それが前に向かう勇気となり、推進力となる。
大観峰以降は、緩やかな牧場を走る。広大な牧場の景色はここは日本ではないかのようだ。夢のような景色。この草原が世界農業遺産の舞台でもある。
しかし、容赦なく照りつける強い日差しを遮るものはなく、じわりじわりと体力を奪っていく。AS2へのロード区間で急にバテ始めた。軽い頭痛とふらつき。軽い熱中症の症状だ。日焼け止め、アームカバーに首には濡らした手ぬぐい、日差し、日焼け対策は万全のはずだったのに。
38.2km地点のAS2国造神社に到着。スタートして6時間半が経過。丁度、ASを出ていくエマちゃんに、「どうした?大丈夫?水を被って!」と声を掛けられる。ASに着いてすぐ水を被って、休憩所の日陰で横になった。ASにはおにぎりなどがあったが食欲はなかった。おばあちゃん達が作ったという漬物のうち、梅干しを一つだけいただき、ASを出る直前に二度目の水を被る。
軽い熱中症になるのは昨年の野辺山ウルトラマラソン以来、2度目。頭によぎり始めるDNFの3文字。力無く歩いていたら、アキちゃんが追いついてきた。女神様が現れた!後ろに付いて、しばらく引っ張ってもらうことにした。アキちゃんはONTAKE100kmを完走するなど、超長距離レースの実力をメキメキ付けている。きっといつか彼女も100マイラーにもなるのだろうかと考えながら背中を追った。
気温も下がり始めたからか徐々に回復してきた。歩いていたら関門時間が厳しくなる。アキちゃんとロード区間は少しだけプッシュする。お互いに前後しながらリズムよく走る。ACROの古谷さん、大橋さんにも追いつき、AS3すずらん公園休憩所に15時57分到着。関門時間17時に対して1時間3分の貯金。関門が一番厳しいAS3をクリアした。
ここでも仲間の手厚いサポートを受ける。ASの蕎麦を食べるが食欲はない。汁をお湯で薄めて飲んだ。差し入れのフルーツを頂き、あとで食べるためにバナナをバッグに入れた。15分程度でアキちゃんと一緒にASを出た。
これでようやく50.7km。半分も来ていない。109kmはやはり長い。外輪山の稜線上から見えていた行く先はあまりに遠く広大で、絶望感を抱かせるほどに大きな大きな阿蘇だった。今後どんな展開が待っているのだろうか?俺は辛苦を乗り越えることができるのだろうか?弱気になりがちな心を奮い立たせて後半戦に向かう。
後半に続く。