何かが起きる 白山ジオトレイル・レポート1

 

ロードもわりと多い(撮影:田上雅之さん)

ロードもわりと多い(撮影:田上雅之さん

ずいぶんブランクがありますが、気にせずに白山ジオトレイルについて書きましょう。

毎年、台風直撃や病院搬送、クマ出没のほかにも、選手ばかりかスタッフも低体温症に見舞われたり、滑落しかけたりと、1週間の間に何かが起こる。それがこのステージレース。真夏の山々の緑よりも色彩の濃い、鮮やかな日々が過ごせる。

荷物が重くなるのを覚悟で無線機を持ち込む御仁や、あえてバーナー持参で調理する剛の者、尾てい骨にヒビが入ったまま完走する女人、完走させるために激をとばすスイーパーなど、極めてコク味の強いメンバーが今年も集まってきた。コクが強すぎて、人によっては苦いかもしれない。

そんな濃厚さは持ち合わせていなので、僕は初日から淡々と走ることに。スタートから先頭に立って進んでいく。ところが、スタートして10分とたたずに町中でコースロスト。なんと最初のチェックポイント(CP)をショートカットしてしまう。

今年は、市街地にはマーキングをせずに地図を読んで走ることになっていて、コース上には目印となるテープがない。なら地図を見ればいいのだが、走り始めて楽しくなっていたのか、地図を見ずに去年のコースを走ってしまい、あえなくショートカットしていた。ふたつ目のCPまで走り、スタッフからその事実を告げられた。

思いがけないミスで精神的なダメージを負いかけた。過去2回出場しているうえに、地元石川県で土地勘があるのにコースを間違えたのだから無理もない。

そして、それ以上に第1CPを完全に忘却していたことがショックだった。何も考えないにもほどがある。

ちなみにスタート直後にCPがあるのは、大会名にもなっている「白山」にゆかりのある神社7カ所を巡りながら走っていくから。その白山七社を訪ねて参拝するのも大会の醍醐味なのだ。山を走りつつ、地域の歴史と文化に触れられるので、この神社巡りを楽しみにしていたにも関わらずの失態である。

戻って神社を通過しなおそうとしたところ、タイムペナルティー+ゴール後にロストした地点まで戻って神社で参拝すればよいとスタッフに伝えられた。

越前裁きなみの寛大さである。

地元出身で3度目の出場とくれば、コースの大半は分かっているのだから、むしろ僕なんかは有利すぎたのだ。そう考えると、タイムペナルティーというよりも補正のようなものだ。

逆境を都合よく捉えて、CP2からトレイルへ。

この日は高所でも標高600〜700mくらい。細かくアップダウンを繰り返していくコースレイアウトだ。走れるトレイルなので身軽なら楽しいが、初日は食料のつまった荷物が重くて、そうも言っていられない。加えて低山ばかりなので気温が下がらず、夏の蒸し暑さがこたえる。

白山の積雪がない時期で登山客と台風が少ないとなると、開催時期が8月の下旬になるのは仕方ない。仕方ないにしても暑い。

暑さでモチベーションが下がりそうになると「タイムペナルティーがあるから後続を引き離すべし」とセルフ喝を入れる。タイムペナルティーは発奮材料にもなり、意外と使い勝手がいい。

汗でドロドロになりながらゴール。初日早々のコースロストという誰も予想していなかった出来事はスタッフの間にも伝わっており、失笑を買う。

ゴール後のキャンプ地では、バプニングがもうひと山待っていた。序盤2位を走っていた選手が上位ながらも順位を下げて到着。なにやらフラフラしていて挙動が怪しい。

水もろくに飲まずに、横になって休みだした。熱中症っぽい。

去年の大会で自分が熱中症にやられ、ひどい目に遭っていたので、すぐにドクターやスタッフを呼んで介護。大量の氷で体を冷やして事なきを得たものの、やはり何かが起こる大会を印象づけられた初日であった。と結んでみたものの、ロストはただのケアレスミスなので締まらない……。


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