7月6日(日)は第16回北丹沢12時間山岳耐久レースに参加してきました。
その“愛称” はキタタン。
キタタンに出ると言うとたいてい「え~キタタン出るんだ~」「まじか~絶対出たくないな~」と愛のあるコメントをいただくことが多いですが、私のキタタン1年目もちょっと苦い思い出。昨年、両脚が腸脛靭帯炎で、信越までの治療期間だったため、これ以上痛めないようにと第一関門でリタイアしました。
この1年でリタイアした大会は、キタタンだけ。制限時間30分以上前に第一関門を通過しておきながら途中棄権する判断は「それでいい、いい判断だよ」と皆に言ってもらえたけれど、それでもやっぱり後々悔しくてたまらなかったのです。リタイアのしるし、番号の横にマジックで丸を書かれたゼッケンは今でも見えるところに置いてあります。
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そんなわけで、リベンジとなった今年のキタタン。
2日前にひいてしまった鼻風邪、その前に遭った事故での足首の痛み、当日朝に気付いたシューズの大きな穴やら色々気になることはあったけれど、なんだかさほど緊張感なく、仲間との楽しい前日入りでリラックスできていたような気がします。
シューズ(montrail Bajada)の穴はこんな風に縫って修復しました。
今年はIBUKIのみなさんのお世話になり、青根キャンプ場のバンガロー泊。会場やお風呂にめっちゃくちゃ近くていい!到着後屋台?でフランクフルトを食べたりなんかして。温泉に浸かってごはんも食べて、22時くらいかな?早々に就寝。翌日の準備をしながらなんだかすこし緊張してしまい、意外にも夜中なんども目が覚め、朝の4時から外に出たりして気分を落ち着けるなんてことに。わたしらしくないな。
来たよ~、来ましたよ。キタタン。昨年完走している人は6:30スタート。それ以外は7:00スタート。7:00スタートは渋滞やむなしなのです。
標高差1,143m、全行程44,24kmのレース。だけど、7:00スタートで渋滞することを考えると第一、第二関門が意外と厳しいのが特徴。第一関門をギリギリ通過しても、その後の第二関門が厳しい。シングルトラックも多くなかなか追い抜けない、全体を通してロードと林道率が高い。そんなコースを高低図をみながら最終チェック。
心折れ部7:00スタートの3人。だいたい真ん中くらいでスタート待機。
今回の自分なりの作戦は「最初のロードを絶対に歩かずに全部走って、かならずやってくる渋滞の“前の方”に入ること」。かならずある渋滞では自分のペースで走れないことをわかっていたので、渋滞の中でも前方に居れば、渋滞自体のペースも速い。最初でちょっと頑張って走っても、渋滞で少し足が復活するはず。
最近の試走が効いているのか、最初は突っ込んで走り、1つ目の山を抜けたところからの長いロードでは、一切ペースを崩さない6分/km台のおにいさんを見つけてべったりくっついて目標通り走り切りました。おにいさんありがとう!
第一関門までの標高780mの登り、その後の落石多発の下りではやはり足が止まるくらいの渋滞。止まるとすかさずストレッチをして、1人でも前に行ける機会があれば先を行く。最初から急ぎまくったのには理由があり、大会前にOMMレース相棒のくみこさんへ『もし追いついたら一緒に行きましょう!』と宣言していたのです。OMMまでに一緒に出るレースはキタタンだけ。くみこさんは昨年完走していて6:30スタート。30分の差をどこまで詰められるかとドキドキしながら、もし会えればそこから引っ張り合えるだろうと思って、とにかく約束のために急ぎました。
【第一関門】
『ピンクゼッケン(7:00スタートの色)早いね~!』と見知らぬ男性に言われて結構速く来れたのだと認識。水だけ補給してキュウリ片手にボリボリしながら次の登りへ。できるだけエイドで立ち止まらず、手に取ったらそのまま手に持って頬張りながら歩くようにしているもので、いつも大会で沿道から笑われます(笑) エイドの先はたいてい登りで走れないので、ちょうどいいんです。
九十九折れの登りに入ったところで、100mくらい上にくみこさん発見!
でも道が細くて追い抜けない。ゾロゾロと歩く集団に身を任せ、下りになったらダッシュ。「くみこさ~~~~~~~ん!」と叫んで抱擁(笑)
このあと、キタタンの本当の辛さは最初のロード登りでもなく姫次でもなく、第一関門と第二関門の間なんじゃないかと思うほど、辛いと感じた区間でした。
だけど楽しそう。
なにせ、10kmちかく林道を下るのです。とにかく長い。下り基調だけど傾斜は緩く砂利で足場も悪いので、結構しっかり走らなければスピードが出ない。思わず歩きたくなる。今年は例年に比べて涼しかったけれど、ここが灼熱だったら確実に体力を奪われる。二人で夏に予定している縦走の話や欲しいギアの話なんかで気を紛らわせながら、とにかく淡々と走りました。1人だと歩いてしまいそうな場所。長かった。
【第二関門】
そこそこいいペースで通過。応援できていたモモさんから命の水!コーラをいただいて復活。ラスボス姫次に挑みます。姫次の登りは『本当に長くて辛い』と聞いていたけれど、その意味がわかりました。傾斜はたいしてキツくないし、たまに走れるフラットがあったりして練習で来ればきっと楽しいコース。ただ、それまでに足を使い切ってしまうこと、毎年灼熱地獄で水が切れる人が多いこと、そして緩い登りだからこそなかなか終わらないこと、そんな理由で精神的ダメージが大きいのかもしれない。
ファイト♪
最初はくみこさんのペース、途中から交代して引っ張る形で登りました。ひとりだと、ただただ「あ~きつい」「あ~きつい」という言葉が頭を巡るような登りでも、引っ張ると決めればパワーが沸いてきて不思議な感覚でした。う~・・・と唸るくみこさんを「もうあと標高たった500m!」「あと400!」「あともうちょい!」なんて言いつつ、よく考えたら500mって結構あるけど(笑)そんなことは置いといて、絶対去年の記録を一緒に上回るべく、Mなわたしもこの日ばかりはSになりました(笑)
姫次ピークからの下りは、とにかく暴走族。まわりの選手も暴走族。(もちろん追い越しには配慮しつつ)勢いに任せてくだれる、最高のくだり!わ~い!キタタンって楽しい~!
ほら、楽しそうでしょ!
ふたりとも足がカクカクになりながらも、もう下るだけ。私はあわよくば7.5時間、少なくとも8時間切り、くみこさんも8時間切りできるかな?という時間だったのでとにかくダッシュ。ここ最近でいちばん速いスピードで下った気がします。下りだけでも20人くらい抜いて、ゴール手前へ。
応援にきていたジャキさんにも遭遇!会場が見えたところで、心折れ部やIBUKIのみんなが待っていてくれて、ハイタッチ!
めっちゃ楽しそう~!
最後は手をつないでゴール。一緒にがんばった喜び、最高でした。
くみこさんは『えまちゃんはもっと速くゴールできたのに』って言ってくれたけれど、そんなことはなく、今回実感したのは、最近の悩みだった【中盤のペースダウン】がなかったということ。それは間違いなく一緒に走ったからこそ気持ちの面で頑張れたのだと思うのです。しかもテンションが下がることなく、すごく楽しく走りきれたのです。
結局のところ、歩きたくなっちゃう気持ち、足を残したいなぁというような迷い、山や森を楽しむ気持ちから遠ざかってしまう意識、そういうことが原因で中盤に崩れるだけであって、意外にも身体はまだまだ残っているものだと知ることができました。
また、みんな キタタン=キツイ というイメージがあるようだけれど、たしかに今年は涼しかったためにその本当の醍醐味がなかったかもしれないけれど、結局はどんな風に楽しむかということだけで、私は2年目ですごく楽しいキタタンを経験できました。
44.24km 7:42:13
仲間が二人も表彰台に!登りながら、来年はもう出ないな~と思っていたけれど、いざ完走してみると7時間半という壁がもうすぐそこに見えた気がするので、来年は6時半スタートでチャレンジします!
4 コメント
はじめまして。ブログ楽しく読ませてもらってます。スタート地点から1つ目の山の辺りまでブログでみたことある人かなーと思いながら走ってました。私、青いルーファスのリュックでしたけど、おにいさんですかね??違うかな。
コメントありがとうございます。私がくっついていたおにいさん、でしょうか(笑)黒い柄のBuffをした方でした。もしそうだったらありがとうございました!すごく走り方も美しく、ペースも一定でした。立石建設のWSをスキップしてその方の前を行ったので、それ以降ではお会いしなかったのですが。。。
[…] 昨年、『“キタタン”って楽しいよ!』というレポートを書いたら、謎のアクセスを集め、「キタタン」というワードでgoogle検索をすると1ページ目、しかも4番目くらいに出てくるようになりました(笑)というわけで、今年も。というか、今年はなんといっても、キタタン大会史上なかなかの伝説レースとなったので、これはもう書くしかないでしょう! […]
[…] 登りの年と決め込んで、スリーピークス、キタタン、富士登山、安達太良山などにチャレンジしました。上州武尊は後方ながらも無事完走。大きな自身に繋がりました。 【あの山の記憶―YNMC120k vol.1 vol.2 vol.3 最後に】 […]