週末を利用して、TDS前の最後の練習のために、八ヶ岳に行ってきました。
八ヶ岳全山縦走は、色んな方のBlogやヤマレコを見ていると、その多くが北から南へと南下しています。南下の場合、標高1550m地点からさらにゴンドラリフトに乗って登山口までアクセスできるけれど、観音平からスタートする場合、標高1560mから自分の足で標高を上げて行かなければならない。急坂は登るも下るも大変なので、どちらが難易度が高いかどうかはわからないけれど、今回は3つの条件がありました。
ひとつは、今回に限ってはTDSの練習であることを意識した強度にすること。もうひとつは、『深夜バスで早朝からスタートできる』というアクセスの利便性。そして最後に、高い山にはまだあまり慣れていない友人と2日目から合流するということ。そんなわけで、今回の私のプランは最南端の観音平(編笠山への登山口)から蓼科山へ北上することになりました。
友人との合流地点は2日目の朝7時に麦草峠。そこから逆算して、どこでどうコースタイムを巻くかあれこれと計算を繰り返し、自分の走力では根石岳山荘までが15時台にギリギリ到着できるラインだろうと判断。とにかく根石岳を目指しました。
*** DAY1 ***
早朝4時にバスで観音平に到着。
その場で朝ごはんを済ませ、明るくなり始めた頃に入山。
ここのところ、富士山や南アルプス縦走など標高の高い山々での練習をしていたのに、やはり朝は身体が動かない。お昼くらいには元気いっぱいになるのに、それまでがスロースタートという私のダメな癖。
編笠山に着くと、気持ちいいまでの晴天。前日には午後に激しい雷雨の夕立があったと聞いて、足を止めずにどんどんと行く。青年小屋を経て、権限岳へ。
このあたりは人が少なく、静かな雰囲気がすごくいい。青年小屋のお兄さんが「え~こんどはうちに泊まっていってよ」と明るく声をかけてくれ、権限小屋の方とも「このへんはいいでしょう、静かでね」と笑顔で言葉を交わした。
権限岳の先、旭岳からは、阿弥陀岳、赤岳、奥に横岳と硫黄岳。これから登る山々が一望できる。
全山縦走路で最もきわどいと感じたのは、横岳前後よりも何よりも、権限岳から赤岳間かもしれない。コースタイムではわずか3時間10分だけれど、ものすごく長く感じた場所。
「どこから来たの?」
「観音平からです」
「わぁ、じゃああの “こわ~い梯子” を下りて来たんだね!」
すれ違いで声を掛けられて話をすると、こんな風なことを3回くらい言われた。
それがこの梯子
数えてみたら61段。なが!私は高所恐怖症もなく高さはどうってことないけれど、要所要所で土台が外れていたのはさすがに、オイオイまじか~という感じ。
キレット小屋まで下りてからの赤岳への登り返しが結構激しい。もろい岩もあって、上の人がうっかり蹴ったらたちまちゴロゴロ転がり落ちてきそう。
写真ではどうも急勾配が伝わらないのは山あるある。足場はあるけど、これ、高所恐怖症の人には大変。
ねじり梯子
結構まだまだ遠い
そんなわけでTDSの練習には程遠い、岩だらけの四足登りで辿りついた赤岳山頂は、夏休みにも関わらず想像していたよりは空いていた。赤岳に来るのはこれが3回目。2年前の夏、一昨年の厳冬期、そして今回。
2年前のあの頃はちょっと膝をカクカクさせていた横岳も、どこでビビってたのか気付かないうちにいつのまにか通り過ぎてあっという間に硫黄岳へ。
硫黄岳への稜線
いつ見ても格好いい
さすがにやや疲れてきて、見晴らしのいい硫黄岳からその先を眺めると遥か遠くに根石岳が見える。遥か遥か遥か遠くに見える。
森の先の一番手前の少しなだらかなピークが根石岳。
だけど意外にもこれまで続いた森林限界から、樹林帯になったことで急にスピードアップ。ここぞとばかりストックの練習でモリモリ進んだら、根石手前で14時半頃。オーレン小屋から上がってきたベテランハイカーのおじいちゃんおばあちゃん団体に遭遇。
「どこから来たの?」
「観音平からです」
「おー、いいね。どこまで行くの?」
「もうすぐそこの、根石小屋までと思ってます」
「え~私たちこれから天狗岳まで行くよ!そのくらい歩けるなら黒百合まで行けるよ!」
元気いっぱいのハイカーさんたちに応援され(60歳を過ぎてトレランの大会にも出たことがあるという)、背中を押されるように一緒に天狗岳へ。ニコニコ笑顔で手を振って見送られながら、結局もうひと頑張り、黒百合ヒュッテへ向かうことに。だけどここからが意外にも長かった。巨石を渡り歩くようにして進む道は歩きにくく、なかなか巻けないコースタイムにちょっとドキドキしながら、なんとか15時半過ぎに黒百合ヒュッテに到着。
トータル11時間。
さすがにヘロヘロ。だけど生ビール片手に、応援されて黒百合ヒュッテ泊にしてよかったと心底思いつつ、快適な夜を過ごしました。
(後編につづく)
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