私がUTMBを走る前の日。まずは昨年からOCCへ向けて準備していたヨッシーこと私の妻が走る番です。
距離55キロのOCCは、スイスのオルジエール(Orsieres)をスタートしたあと、シャンペ湖(Champex-Lac)からしばらくUTMBとほぼ同じルートを辿ってシャモニー(Chamonix)にゴールします。言ってみれば全行程170キロのUTMBの短距離版。
毎年私のサポートをしてきた妻は、厳しいコースに多少不安な表情を見せつつも、UTMBと重複するコースを走れるとあって少し胸熱な様子。
一方、私と日本から駆けつけた妻の両親は、妻に声援を送るためにレンタカーで要所要所を先回りします。
まずは妻を送りにオルジエールへ向かいます。村のはずれにある臨時駐車場に車を止めてスタート地点へ。
小さなオルジエールの村の真ん中がスタート地点。すこし早めに着いたので最初は人もまばらでしたが、スタート時間が近づくとともに三々五々集まってきました。
過去にUTMB、CCC、TDSを制し、今年のOCCで個人レース全制覇を目指すグザビエ・テブナール(Xavier Thévenard)がスタートラインでひときわ周りの注目を集めています。
朝8時15分、レーススタート。狭い路地を一斉にランナーが進んでいきます。
妻は制限時間をたっぷり使って走るランナー。比較的後ろの位置からスタートしたところ、最初の上りは下の写真のとおり、すこし渋滞もあった模様。
私と妻の両親は、ランナー全員がスタートしたのを見送ったあと、最短ルートが通行禁止になっているのでちょっと遠回りしてシャンペ湖に向かいます。
湖畔の道沿いに車を止めた直後にグザビエを含む先頭集団が目の前を通過。スタートから一時間もたってないはずなのに。速い!
妻はグザビエから遅れること一時間ちょっとで到着。まだまだ元気そう。まぁ、まだ序盤ですからね。
私達が次に向かったフォルクラッツ峠は、トリアン村の直前にある観戦ポイント。ちょっとしたカフェや建物もあるので、ランナーは一瞬エイドステーションに着いたと勘違いする場所です。
私達がフォルクラッツ峠に到着した頃にはすでにトップ集団は通過した後。ランナーは大きな山を一つ越え、時間が進むに連れて気温も上がってきたこともあり、すこしずつ疲れが見えてくる頃です。
牛のフンがなさそうなところに腰をおろしてのんびり待機。目の前を進むランナーに声援を送りながら妻を待ちます。
妻がやって来ました。結構笑顔で思ったほど疲労の色もなし。私と比べてかなり胃の弱い妻ですが「しっかり一時間おきにジェルも摂ってるので大丈夫」、私がいつもしょっぱいと感じているエイドステーションのスープも「マジうまかった」との弁。案外逞しいですな。
急いで車に戻り、車道の上にかかる歩道橋を走るランナーを見ながらトリアン村まですすみ、向かって右側にある駐車場に車を止めて村の中へ。
間もなく歩いて村に入ってきた妻は、すこし暑そうだけど、笑顔で「濡らした手ぬぐいを首に巻いているのが効いてて大丈夫」とのこと。しっかり水分等を補給してエイドステーションを出る妻を見送ります。
妻から「明日UTMBがあるんだから、もう応援はいいから帰りなさい!」と心強いお言葉をいただき、トリアンを出た妻を見送った後、私たちはヴァロルシーヌを飛ばしてシャモニーへ。
車で行けばトリアンからヴァロルシーヌまではたったの10分ですが、ランナーにとっては長い道のり。(私はヴァロルシーヌへは向かいませんでしたが、ヴァロルシーヌの駐車場はシャモニーへと向かう道を左に折れたあと、正面に駅を見て左側のゴンドラ付近にあります。)
その後、妻は大きな問題もなく景色を楽しみながら着実に進んでいたようです。いつもはヴァロルシーヌで私の姿が現れるのを待ちながら見上げている山の上から、今回は自分が村を見下ろすことができて、感慨もひとしおだった様子。
ここまでくればシャモニーまではもうすぐ。線路沿いを少し進んだ後、最後の山へと入ります。
このセクションはOCCとUTMBで少しコースが異なります。コースプロフィールを見る限りではUTMBよりやや難易度が低そうに見えましたが、後で聞くと、どのランナーもこのセクションでかなり苦労した様子。妻も同様で、曰く「上りも下りも急できつかったし、フレジェールのエイドステーションも思ったより遠かった」。
なんだかんだで、制限時間より二時間近く余裕をもって妻はシャモニーへと戻ってきました。最後の数百メートルは、お母さんがゴールラインで待つなか、伴走者として私とお父さんを従えてゴール!
「息を切らして大変そうなお父さんのためにペースを落としたら最後にひとり抜かれちゃったよ」と、余裕の談。
夫の若干の心配をよそに、しっかり食べ、きっちりペースを守り、妻のヨッシーは難なく完走を果たしましたとさ。めでたし、めでたし。
3 コメント
はじめまして。
2016 OCCに参加していた大友謙太朗と申します。
藤岡様は覚えていらっしゃらないかと思いますが、フォルクラッツ峠において見知らぬ日本人にも関わらず応援の声をかけて頂きありがとうございました。
スイスの山奥で、暑さと闘いながら進んでいたときに「がんばれ!」の一言に元気をもらいました。
こんな場所にまさか日本人がいるとは思いもよらなかったので驚いたのと同時に、鯉のぼりを持った方(奥様のお父様?)のことが帰国後も気になっていました。
藤岡様のブログを拝見し「OCCへの道、完結編」を読み進めるうちに、声をかけてくださったのが藤岡様とご家族様であるのではないかと思うようになり、最後のゴールシーンの動画を観たときに確信に変わりました。
声をかけて下さったこと、ブログにアップして下さったことに感謝申し上げると共に、藤岡様、奥様のこれからの益々のご活躍を願っております。
大友さん、コメントありがとうございます&完走おめでとうございます。
確か、フォルクラッツ峠で声をお掛けした時に、一瞬どこから私が声を掛けているかわからなくて、探してくれた方ですかね?
鯉のぼり、目立ってましたよね。現地でもいろんな方に写真を取られてたみたいです。
なかなか暑かったですが、景色を楽しむ上では絶好のコンディションでしたね。私も応援しながらのんびり楽しめました。(翌日のUTMBではそこまで余裕なかったですが。)
またどこかのトレイルでお会いすることもあると思いますが、その際はよろしくお願いします。アメリカのレースも是非!
藤岡さん
そうです(笑)、声をかけてくださった時に一瞬わからなくて探した者です。
鯉のぼりは日本人なら誰でも知っているので、素敵なアイテムをお持ちだなと思いました。
日本にいると、海外のレースはUTMBが有名すぎるのでそちらにばかり目がいってしまいますが、今後はアメリカのレースにも目を向けてみたいと思います!
こちらこそ、トレイルでお会いする機会があればよろしくお願い致します。