Henryが妻を無事ハワイ入りさせてくれたのだと思う。
我が家の愛猫Henryが癌だとわかったのは12月末。看病のために妻のハワイ行きは諦めざるを得ないと思っていたが、病気の進行が早くてあっという間に逝ってしまった。本当は苦しかったのかもしれないが、人好きのHenryはあまりそんな素振りは見せなかった。
1月19日に行われるH.U.R.T 100に向けて、妻はHenryの毛玉ボールと一緒にハワイ入りした。妻の両親も日本から駆けつけてくれた。今回のクルーの陣容は賑やかだ。
スタートからニックとトレボーのペースが速いので、ついていかずに自分のペースで進んでいたつもりだったが、一周目のラップが3時間40分を切っていた。普段からあまり時計を見ずに走っているので気づかなかったが、予定していた昨年並みの3時間55分位どころか、オーバーペース気味だった一昨年の3時間45分より更に速い。
二周目に入って早速バテたニックを抜き、先頭を走るお疲れ気味のトレボーにも追いついた。後ろについて声を掛けた。「俺たちちょっと入りが速すぎたね。これは後半タフなレースになるよ。」
熱帯雨林の天気は変わりやすく、コースもところにより雨。暑いハワイでは体温管理という意味では恵みの雨だが、路面コンディションとしてはここ数年では最も悪い部類となった。レース前は好天が続きトレイルも乾いていたので万能型のシューズ(Merrell All Out Peak)でスタートしたが、どんどんぬかるんでいくトレイルで足を滑らせた。数少ない走りやすいセクションで飛ばしていたら、急な右ターンで滑る地面にバランスを崩し、崖から落ちるも木に引っかかって止まった。木がなかったらどこまで落ちていたかはよくわからない。ともかくなんとか枝につかまりよじ登り、事なきを得た。
二周目が終わると予定より早めにぬかるみ用に準備していたシューズ(Salomon Sense Pro 3)に交換したが、すでに足が浮腫み始めていたのかサイズが小さく感じ、爪が痛い。結局両親指以外の全部の爪が死ぬことになる。
二周目の途中から先頭に立ち、そのまま想定より速いペースで暗くなる前に三周目を終えた。四周目からは夜のセクションだ。ヘッドランプ(Black Diamond Icon)に予備ヘッドランプを一個持ってスタートしたが暗く心もとない。次のエイドステーションで600ルーメンの強力ウェストランプ(UltrAspire Lumen 600)を妻から受け取った。
老眼には夜道は辛い。
三周目、四周目と進むにつれて追い上げ型のネイトが後ろからじりじりと詰めてきているのがわかった。彼とは何度も同じレースで走っている。50キロ程度のスピード勝負では私の方に分があるが、100マイルでは彼のほうが一枚上手だ。
それでもなんとか四周目をリードして終えたが、足がほとんど売り切れ状態。最後の悪あがきをしようとストックを投入して五周目を出発したと同時にネイトが四周目を終えてエイドに入ってきた。
もがきながら進むも虚しくネイトに抜かれ、少し意気消沈。最後のエイドステーションでは、途中で体力を温存していたトレボーにも抜かれた。足がなくなり、前のめりで転んで石に頭をぶつけて出血したりしながらも、とにかく前へと進む。ここまでよく攻めた、いいトライだったと自分に言い聞かせながら。
結局、一昨年と昨年に引き続き、吸い寄せられるように定位置の3位でフィニッシュ。
トップ3には自動的に翌年の出場権が与えられる。通常は名前順に割り振られるゼッケンだが、3年連続3位の栄誉を称えられ、来年は特別に3番が与えられることになった。
ちょっとした主催者の遊び心。
私と妻がハワイからシアトルに帰ってきた翌日、Henryの遺骨も家に帰ってきた。またみんな揃ったね。
3 コメント
おつかれさまでした!
村松さん、ありがとうございます!
[…] そういえば、1月のHURT 100や3月のChuckanut 50k以降は自分のレースのことについてブログに書いてなかった気がしますが、計画通り怪我なくコンスタントに月一ペースでレースに出てまし […]