“Give Back to Trails(トレイルに恩返し)”ということで、トレイル・ワークに参加してきた。
アメリカのトレイルランニング・レース、特に100マイルのレースでは、しばしばボランティアを参加条件にしている。ボランティアの内容としては、Western Statesのように、レースでのボランティアかトレイル・ワークのいずれでもOKの場合もあれば、Cascade CrestやH.U.R.T 100のようにトレイル・ワークのみを条件とする場合もある。
そこら中にトレイルがあるアメリカでは、いろいろな団体がトレイル・ワークを主催している。私の住んでいるワシントン州では、Washington Trail Association(通称WTA)というトレイル保全を目的とする非営利団体が毎週いろいろなところでトレイルワークを行っており、ウェブから簡単に参加の申し込みができる。パシフィック・クレスト・トレイルの保全団体もトレイル・ワークを主催しているし、トレイルランニング・レースの主催者が開催しているトレイル・ワークもある。
今回私と妻が参加したのは、WTAが主催するセントへレンズ山のトレイル・メンテナンス。去年、一昨年と走ったバックカントリー・ライズというレースのコースを含むトレイルのメンテナンスを、土日に渡って計16時間行ってきた。
トレイルワークは誰でも参加できる。最初に道具の使い方を教えてもらった後、メンテナンスを行うトレイルに向けて出発。作業内容はトレイルの状況によって異なる。
例えば茂りすぎた木の枝を剪定する作業は、今後どのように枝が伸びてくるかを考えながらやることで、数年間はトレイルに伸びた枝が入り込まないようにする。あるいはトレイルの見通しを良くして、ハイカーがトレイルを見やすくする。審美感というほどでもないが、ちょっとしたセンスも必要だ。
あるいは、本来トレイルではないところに繰り返し人が入り込んで出来てしまった小道を塞ぐ作業。良い眺望を探して、トレイルから外れてしまう人がいるために出来てしまうこうした道に今後人が入り込んでこないように、周りから石や木の枝をみんなでかき集めて敷き詰める。でもビーバー・トレイル(ビーバーの通り道)は塞がずに残してあげたりする。
また、草が生い茂って狭くなったトレイルを広げる作業はちょっとした力仕事。普段使わない上半身に効く運動だ。
今回トレイル・ワークに参加した約20人の中で、トレイル・ランナーは私と妻だけ。同じトレイルを使っているが、トレイル・ランニングというコミュニティに属していない人と話が出来る良い機会でもある。ランチやポットラックなどで話すと、彼・彼女たちはトレイル・ランニングのことはあまり興味がなくて、土壌だったり、他のトレイル・ワークだったり、動物や植生だったりといったことが話題になる。
今回のトレイル・ワークは2日に渡るもので、1日目の夜はセントへレンズ内の教育施設に無料で宿泊可。
ちなみに、今回参加したWTA主催のトレイルワークのルールは以下の通り。
1) Be safe!
2) Have fun!
3) Get some work done!
まずは安全に。でもって楽しんで、そしてちょっと仕事しましょう、という感じ。肩肘張って気合入れる必要ナシ。トレイルワークはそれ自体、結構楽しい。