ウエスタンステイツにエントリーするには
100マイル完走
100km15時間以内完走
50マイル11時間以内完走
など設定されたタイムをクリアしなければならない。TDSは26時間以内なのだが去年のTDSしか知らない私にとってかなり厳しいラインだと感じる。
だから今回のAMERICAN RIVER 50mile を11時間以内で完走するのは自分にとって大変なはずだ。
4/4
レース前日は走らないのでこの日の午前中が最後のジョグの予定。が、雨。部屋で持参した朝食を取りぼーっと過ごす。
午後雨が上がったのでナンバーの引き取りへ。電車とバスで45分ほど。FLEET FEET という地味なスポーツチェーン店。
主催はNorCalUltras。岩佐さんも走ったWAY TOO COOL 50Kなども運営。
アメリカのレースではよくあるのだがレースのエイドがスポーツショップやランニングチームによって運営されている。このFLEET FEETも1カ所運営。以下はHPに掲載された運営責任者リスト。
参加賞はpatagoniaのcap1。ゴールすればジャケットだ!元取るぞ。Tシャツにある通りCLIF BAR協賛なのでエイドのフードは充実しているようで、嬉しいのがGUのジェルがあること。荷物軽量化でUltra Spireのウエストポーチで出陣だ。
4/5
当日を見込んで朝は2時起き。
ドロップバッグ2ヶ所分の用意をしてしまう。
着替えてリフレッシュ&予想外のガレや疲労に備えてinov8 trailroc245とSPORTIVA QUANTUMを用意。11時間歩かずに走り続けるようなレースは初体験で胃が心配。ミックスナッツとPRO BAR MEALを用意。
午後はステーキローディング。霞が関のお店は高くて行けないけどこっちでは半額ぐらいやで。
サクラメントは初めてなのでちょいと散策。オールドサクラメント地域はディズニーランド風。さっさと帰って寝る。
4/6
いつも通り2時起き。和食を2セット。体調はすこぶるいい。とてもいい。鏑木さん風にダラダラ過ごす。スタート地点は歩いていける距離。スイッチはまだ入れない。
5:15 ホテル出発。暗闇の中をとぼとぼ歩く。持病の「気からくる病」発症で足の甲が痛み始める。焦る。
スタート地点到着。1000人規模のレースなので熱気がすごい。
足の痛みを受けて2つ目のドロップバッグにいれていたフカフカMAXのスポルティバのクアンタムを1つ目のドロップバッグに移す。結局これに救われる。
★写真はゴール後までなし★
土手の上に並んでスタートを待つ。暗すぎて見えないが前へ陣取る。高速レースなのにHOKAばっかり。大げさでなく7割以上では?BORN to RUN読んでんのか?俺のMIZUNOについてこれんのか?HOKA軍団を抜かしていたらかなり前に。自分と同じUltra Spireのベルトのみのランナーを見つけ走力同等と見込んで後ろにピタリ。
6:00スタート!真っ暗なのにライトなし。ちょっと怖いがきちんと走り始める。気がつくとキロ5分。
暗闇の中土手の下の方に見える道をランナーが走って来た。さすがジョギング大国と思ったら先頭ランナーの折り返しだった。
自分もすぐに折り返す。絶好調。間違いない。明らかに100番以内にいるし全く無理がない。今日はオレの日だと確信する。一応5分30秒に落とす。
10km走っても全く違和感なし。練習もギアも完璧。8時間45分でゴールする計算だが絶対イケル。むしろ日本人らしい謙虚な目標だ。最初のエイド13km地点へいざ!
エイドの面白い所はオフィシャルも私設もF1状態だということ。前のランナーが突如ウエストポーチを外して沿道のサポートの友人に渡し、すぐ先にいる別のサポートの人から満タンのポーチを受け取っている。で、自分にもオフィシャルエイドのスタッフがエイド手前で大声で「ボトルよこせ!何入れる?」と叫んでフラスコを受け取り猛ダッシュでエイドへ走ってくれる。自分のエイド到着と同時に満タンで返してくれるのだ。
30kmぐらいまで特筆することはないぐらい順調だった。強いて言えばすぐ近くを走っているオカマっぽい走りの青年が既にグロッキーだということだけだ。
しかし、このオカマ君が両膝に手をついて立ち止まった姿から先。記憶があいまい。私にトラブルその1だ。
コースの状況は動画などでかなり綿密に情報を仕入れていたつもりだがサブスリー向け薄底ランシューでは到底耐えられない程路面が荒れてきた。かなりかなり痛い。急遽痛い。
それなりのスピードで走っているのでピンポン球ぐらいの石はよけきれないで踏みつける。痛い。足裏だけでなく足首と股関節が痺れてくる。キロ6分に落とす。HOKAな皆様にぐんぐん抜かれる。羨ましい。
幸いにも43kmのドロップバッグにフカフカ1号ことSPORTIVA QUANTUMが待ってる。スタート前に急遽前倒し投入を決めたものだ。あのスタート前の足の甲の痛みは神様からの予言だったんだ。ありがとう!でもどうせならもっと痛みをくれればスタートから履いたのに(´・_・`)
それにしても痛い。そもそも故障したんじゃないかと思うぐらい痛い。申し訳ないがMIZUNOに腹が立ってきた。このレースで引退予定だが今すぐ引退して頂きたい。
なんてことを考えていたら天罰が下った。次のエイド手前でスタッフにフラスコのキャップをとって預けたあと、自分で持っていたキャップをエイド到着時にゴミ箱に捨ててしまったのだ。ジェルのゴミと一緒に…トラブルその2だ。
手には飲み口のない満タンフラスコ。どうすんのよ!リタイアでしょこれ!
1m四方の巨大ゴミ箱に頭を突っ込んで掻き分ける。白い紙コップだらけで透明なフラスコの飲み口など見当たらない。このガレ場でMIZUNOのランシューを履き、フラスコをボトル代わりに使うよくわからない東洋人がゴミ箱に頭を突っ込んでいる。左肩の日本国旗が泣いてるよ。で、俺も半泣きだよ。
15分ぐらいで発見出来た。テンションガタ落ち。
40km地点をちょうど4時間で通過。9時間30分ペースだ。が、何だかしょんぼり。
43kmの大エイドに4時間15分ぐらいで到着した気がする。自分のSUUNTOとオフィシャル時計がずれててまたしょんぼり。
念願のシューズチェンジ。さらに、ここで着替えたZAIMOKUZAシャツはfinetrak製で快適なはず。だが2つのトラブルと足の痺れで出発を渋る。結局何もせずに15分以上滞在して出発した。
シューズはいい感じ。幸いにもシングルトラックでランナーに挟まれたのでテンション低いがペースは維持。ラストの300mの上りに25分かかると予想しても9時間50分でゴールか。キリ良く10時間を目標に変更するがギリギリなので緊張するぜ。
昼過ぎからめちゃくちゃ暑くなってきた。ちょっとぼーっとする暑さだ。周りのペースもそれなりに速いのでついていくが普段なら家に帰ってる暑さ。上りは東京タワー練を思い出し走り続けるがたまによろける。周りも辛そうだ。頑張ろう。
60km過ぎ。熱中症気味の所に信じられない光景が。シングルトラックの向こうからランナーが数人こっちに向かって来る。ミスコースか…同じパックの選手は「OMG!」と叫ぶ。僕は心で叫ぶ。
こっちのパックには元気なペーサーもいるし、結構きちんとしたマーキングもあったのになぜ?いつ?みんなで「あり得ないだろ」と顔を見合わせて立ち止まる。戻る決意も固まらない。みるみるテンションガタ落ち。
こちらに向かってくる選手が大きく手を振ってる。炎天下の中絶望感。とりあえず戻ってくる彼らに「ほんまかいな?」と伝えなければならない。その時、こっちの1人がまた「OMG!」と叫ぶ。あっ、俺も気づいた…。ゼッケンが若干違う…。めちゃくちゃ似ているけど若干違う!別のレースだ!「ハーイ!50マイル走ってるんでしょ?グッジョブ!」
神様、余計なことせんといてください。
救われた感で元気になった…なんてことはなくもうヘロヘロ。水を口にしても頭がシャキッとしない。脱水なのは間違いない。ただあと少し。死ぬ距離じゃない。
70kmエイド。計算上は10時間ジャスト。頑張れオレ。
つぎのエイドまでの4kmを順調にいかねば。最後の上りで予想外のブレーキもありうる。
カリフォルニアって暑い。塩熱サプリ飲み続けてきたけど水分を受けつけてない気がする。視界が曇って何度かコケる。距離と時間が気になって時計をチラ見するとコケる。
意識をはっきりさせるために水を口にし続ける。あっさり水切れる。
残り3km遠い。自分の体と相談する。「むしろ急げ!」立ってるだけで体内の水がなくなる気がした。ギリギリいける。はず。
10秒に1回ぐらい時計を見る。あと2km、あと1km。こんな状態でエイドついても復活すんのか?と思いつつ、レースはともかく死んじゃうよという思いダッシュ。あと300m、200m、100m。
曲がり角見えた!完全に思い込みだけどその向こうが開けていてエイドのオーラ感じる。助かっ……あれ?エイドない。
エイドがないだけじゃない。延々と続く湘南国際村みたいな上りが見える。なぜ?
最後の大ミスだ。エイドまで4kmじゃなくて4マイルだった。ここまで全くミスなくkmに換算してきたのにここにきて。いや、ここだから?
プッツリ。もう走れません。歩きます。
残り6kmで9時間10分。歩いて10時間30分ぐらいでゴールか。上出来だ。
とぼとぼ。
残り4kmの最後のエイド到着。水をかぶる。歩くと1時間かかる。この炎天下をあと1時間かかる。もうトレランいいや…。9時間32分で出発。
とぼとぼ。
すぽるちばのソーケン選手から「なんで10時間切れなかったの?プッシュしてないからだよ」となじられる自分の姿が頭に浮かぶ。奮起?しないよ。
とぼとぼ。
残り3km。神様が再び意地悪する。突如坂が緩くなる。キロ8分に上がる。あらら、10時間1桁?何だよ。
残り2.5km。意味不明な光景が。道が真っ平に。おい。高低表ウソ?
まさか。このタイミングであの練習の成果を発揮する時が来るとは。
解説しよう。私はこの2年ほど、ロングの練習の最後の1.5kmほど全力で走ることにしている。何のため?それはUTMBでシャモニーの街に下りたあとのロードで順位を11位から10位に上げて表彰台を獲得するためだ。ちなみに妄想の中で10位を争い、抜き去る相手は鏑木さん。
ここだ。練習通りだ!
小学生ダッシュはまだだ。これは300mが限界。骨盤を立ててあくまでマラソンフォーム。まずはキロ4分モードだ。やはり練習とは違ってそこまでは上がらない。キロ6分ぐらい。
ここで思い出したのが山岳さん(小川壮太選手)の顔。「体を1本の棒のようにして倒れこむと勝手に進む」って言ってた。もう初めて実践しちゃうよ。できる限りの前傾姿勢。前にこけそうになるから足が出る。ホントにこんなんでいいの?
時計チラリ。残り1.2kmであと8分ぐらい。イケルかも。が、ここで思い出した。43kmエイドで自分の時計がオフィシャル時計とずれてた。どっちが進んでるんだっけ?わからん。やばい。
残り500mであと5分。キロ4分台出てる。イケルか。
「あと2分でゴールだ!」本当かよ!な応援の声。
100m進んで再び「あと2分でゴールだ!」の応援の声。世界共通のがっかり応援の定番。
見えた!ゴールだ!申し訳ないがハイタッチ無視。ゴールの時計まだ見えないから。
おい!あれゴールじゃねぇ!紛らわしい屋台村の入り口だ(´・_・`)
スタッフがコースから逸れて行きそうになる私を大声で誘導する。
最後はUTMBみたいな両サイド観客。申し訳ないがハイタッチ無視。
最後の角曲がると時計が「9:5?:??」(記憶ない)
間に合った!ようやくハイタッチに応える。ゴ〜ル!
すぽるちばポーズしようとしてコケる。片足で立てない。で、お辞儀ポーズ。ウケた。
【学び】
(1)ランシューは痛い
(2)トレランは辛い
(3)辛い時の小川壮太
Sandiego100mile はちょっと日和っちゃうぐらい今回は疲れた。トレラン嫌になったぐらい。「ブログにまとめていい思い出化しよう。」と思ったらこれ完成版1回全滅してるんで本当に嫌になった。
【発見】
(1)HOKA大人気。ちなみにHOKAはフランスのメーカー。次点はBrooksのスコットジュレックモデル。ヨーロッパ系皆無。Asicsの方が多いぐらい。
(2)そんなHOKAユーザーもレース後はベアフット。ALTRA,Luna Sandal多数。
(3)ザックはUDだらけ。UDのAKモデルもSJモデルも街で普通に売ってので普及率高い。NATHANのUTMBモデルは175ドルもするからかいない。
(4)靴もザックもサロモンほとんどいない。
【レース後記】
(1)レース後はアメリカンな感じのハンバーガー食べ放題。食えないよ。
●こっちが本物のゴール。私が着てるのが完走ジャケット。patagoniaのHoudiniです(^^)
(2)サンフランシスコに移動してジャイアンツvsカージナルス観戦。去年のワールドチャンピオン。アメリカ人はセレモニー好きね。
(3)Sanfrancisco Runnning Company来訪。やっぱりトレランのあとはあーだこーだ言い合うのがないと辛いだけだと実感。
●パールイズミのトレラングッズ充実。オーナーのBrettとはSandiego100での再会を約束。
(4)サンフランシスコで一番有名なベジタリアンレストランGreens来訪。食物繊維を避けていたんで無性に野菜たべたくなった。まさかこの店にミータリアンだった自分がくる日が来るなんて。野菜美味い。
次は2013年6月8日のSandiego100mile endurance run.今回より平均で10度以上の高温。やめようかな。
では。明日は1日飛行機の中です。