3週間後に迫った信越五岳トレイルランニングレース。私は100マイルの部に挑戦する会社同僚モリジーのペーサーで出場する。100マイルの部は19時30分スタート、制限時間32時間。100マイルレースの完走のためには、長時間夜を徹して身体を動かすことに慣れなければいけない。ということで、先週末、モリジーと共にロングのナイト練をしてきた。
奥多摩駅から東京都の最高峰、雲取山までの往復コース。標高343mの奥多摩駅から標高2017mの雲取山までの標高差は1674m、往復40kmの石尾根縦走路。山と高原地図のCTは、登り9時間35分、下り7時間35分。往復17時間10分と奥多摩屈指のロングコースだ。
8月25日(土)深夜12時33分、終電で奥多摩駅着。私たち以外にこんな時間から山に登るもの好きはいないだろうと思っていたら、3名程がザックを背負って改札を出ていく。こんな時間から何処に行くのだろうか?私たちも変人と見られていたのだろうか?改札内のコインロッカーに着替えを預けたりしてからスタート。奥多摩駅から雲取山までの間の水場は鷹ノ巣山避難小屋、七ツ石小屋、奥多摩小屋と3つの小屋付近にあるが水は2.0リッターを背負った。
夜間、大きな月が出ていた。樹林越しにライトのように月の明るい光が見え隠れしていて幻想的だった。夜明けを稜線上で見ることができた。富士山を始めとした奥多摩の山並みを遠くまで見通すことができた。夜通し歩き続けたことの大きなご褒美だった。
2019年3月末での閉鎖が発表された奥多摩小屋。施設の老朽化に伴い利用者の安全確保が困難なため取り壊すことになった。閉鎖に伴い、テント泊もトイレ利用もできなくなる。稜線上の眺めの良い場所にある小屋が閉鎖されるのは残念でならない。
雲取山山頂は前日に雲取山荘に宿泊したと思われるグループハイカーが多数で賑やかだった。
復路は樹林帯の中、時折、涼しい風が吹き、緩やかに下るトレイルが気持ち良かった。標高を下げてくると半端ない暑さ。下山後は、コンビニで即、缶ビール。火照る身体にキンキンに冷えたビールが沁み渡る。この感じを味わいたくて長時間の練習に耐えてきたようなものだ。奥多摩温泉もえぎの湯に向かうが、駅から10分と少し遠い。駅から歩き出してすぐに日帰り温泉の看板が目に入った。吸い込まれるように玉翠荘に入った。温泉は空いていて貸切。昭和的な施設は申し分なく正解だった。汗を流して着替えた後は、奥多摩のブルワリー、バテレでクラフトビールで乾杯。石尾根往復ナイト完走という達成感もあって、ビールは美味いことこの上なかった。徹夜明けと空腹のためたった2杯でいい感じに酔えた。
実は、装着していたコンタクトレンズが破れるというトラブルがスタート前にあった。目を擦った際に破損してしまったようだ。レースや縦走時ならば予備のコンタクトか眼鏡を携帯しているが、今回は忘れてしまった。片目しか見えず、少し遠近がぼやけたままでナイト練を敢行せざるを得なかった。ヘッドライトがあっても夜間はやはり足下が見えづらい。モリジーに相談して無理せずテクニカルな部分は歩くことにした。その分、時間はかかってしまったが身体の疲労は少なかった。徹夜で長時間身体を動かすことに慣れるという今回の目的は果たした。歩き主体の割には約11時間とまずまずのタイムだった。
石尾根縦走路は奥多摩屈指の走れるロングトレイルである。鴨沢から雲取山まで行ってから下りに使ってもいい。奥多摩駅から雲取山の往復は初めてだったが季節を変えてまた走りたいと思える素晴らしいトレイルだった。それから、奥多摩小屋のテン場。2019年3月末の閉鎖前にテン泊したいと思う。奥多摩小屋での最後の思い出を作るために。