今回、僕たち二人は昨年の忘れ物を取りに行けるのだろうか?
僕たちの昨年の忘れ物とは信越五岳トレイルランニングレース2019の100mile完走のことだ。
2019年9月14日〜16日の三連休。昨年に続いて、このレースの100mileに挑戦するモリジーのペーサーとして参戦してきた。
昨年、モリジーと僕のペアは113km地点でDNF。たった11kmで僕はペーサーの役目を終えた。その時の参戦記は過去のMMA blogに記した通りだ。
今回も無理、完走出来ないだろう。それが会社同僚たちの下馬評だった。彼は直近まで出張で忙しく働いていたから大会に向けてコンディションが万全に整っていないのではないかという見方が多数だった。
もしも今回もDNFなら、彼は何年かかろうと何度でも挑戦するだろう。僕は頼まれる限り彼のペーサーを何度でも引き受ける覚悟を決めていた。彼のペーサーを務めることが僕の宿命のように感じていたからだ。
モリジーは僕の知る限り、絶対に完走すると言って大風呂敷を広げるタイプではない。内に秘めた固い意志を彼の言動から僕は感じとっていた。リベンジの炎を密かに胸の内に燃やし続けていた。昨年の参戦記を記した僕のblogを何度も読み返していることを本人から聞いていた。本気でリベンジを果たしたいのだろう。もしかしたら今回100mile完走をやり遂げるかもしれない。でも、僕の予想は良くても50%の完走確率だった。ペースメイクする僕の働きで少しでもその確率を高めて彼を完走に導かなければならない。そんなプレッシャーを感じながら僕は大会当日を迎えた。
当日は、正午過ぎに会場となる斑尾高原レストランハイジに二人で到着。またここに来てしまった。ハイジから見上げるピラミッドのような斑尾山を見上げながら、良いレースとなることを願った。受付を済まして、仮眠スペースに向かうモリジーと分かれた。僕の出番は早くても翌日の午後からだ。ペーサーの僕は110kmの部に出る仲間達と合流して別行動をとった。
18時30分、モリジーは572名のランナーと共に100mileという長い道のりの一歩を踏み出していった。