2021年11月20日、21日とFunTrails Round 秩父&奥武蔵100K(FTR100K)のトレイルランニングレースを走ってきた。
何度となく繰り返されるアップダウンに脚が削られただけでなくメンタルも折られそうになった。さらに胃腸系トラブルにも見舞われ、ペースダウンしながら何とか完走まで堪え切ることができた。
苦しくて、楽しいレースだった。
FTR100Kは埼玉県南西部に位置する秩父市の山岳丘陵地帯の奥武蔵をコースとする距離106km、制限時間32時間、トレイル率80%のレース。高い山はなく標高1000mにも満たない低山を巡るコースであるが、アップダウンが効いていて累積標高差6,536mもある。
この2年間、僕がエントリーしたレースはコロナ感染拡大の影響ですべて中止。さらに仕事にも悩みを抱えていた。目標を見失ない、走ることに対するモチベーションは落ちていた。
コロナ禍のなか、何度も考えたある問いがある。
「自分にとって何が一番大切なのか?」
家族、健康、仕事、生活、自己実現、夢など、これらのプライオリティやバランスなんかを再考してきた。これらは答えのない問いなのかもしれないが、考え過ぎたのか心身に変調をきたしてしまった。体調のドン底は今年の5月頃だった。
直近の心身は安定していたが、万全とは言い難い状態で迎えた2年振りのレース。それも100km超えの超長距離。レース前は不安しかなかった。
不安の大きなものは、トレイルランニング自体を楽しめるのか、そして、超長距離の苦しみを乗り越えられるのかだ。特に困難な状況に陥った時に、容易に完走を諦めてしまうのではないかと思うと怖れを感じていた。
レース前半から胃腸の調子を崩し、完走に対して弱気になる自分と何度も向き合った。どんなに辛くても絶対に挫けず、完走するという気持ちを保ち続けるんだ。自分自身を鼓舞し続け、ようやく完走することができた。
今回、自分の中に沸き上がるワクワク、ドキドキする気持ちに変化はなかった。トレイルランニングの魅力は変わらなかったし、それを心から楽しいと感じる気持ちにも以前と変わりはなかった。
苦しさも楽しさも両方ともあるのが超長距離レースの魅力であるし、こんなにもワクワク、ドキドキした気持ちになるなんて、実に久し振りだった。苦しくて、楽しいレース。それが幸せなことなんだとつくづく思った。
最後に、ウィズコロナのなかでの大会運営は僕には想像だにできない苦労があることと思う。大会に関わったすべての方たちに感謝したい。