UTMFも後り41.3kmまできた。コースの核心部にはボスキャラの杓子山とラストには霜山が待っている。完走記も今回でラスト。

UTMF2022 完走記（1）はこちら
UTMF2022 完走記（2）はこちら
UTMF2022 完走記（3）はこちら

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U7山中湖きらら〜U8二十曲峠（累積距離130.2km）

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山中湖きららからFINISHの富士急ハイランドまでの残り41.3kmがUTMFの核心区間。レース後半の心身的にもツラいところにコースプロフィール上で最もキツイ区間が設定されている。

山中湖きらら〜明神山1291m〜切通峠〜高指山1174m〜山伏峠〜日向峰1446m、石割山は山頂を踏まずに二十曲峠1134mに設置されたU8二十曲峠エイドへ。峠と山頂と峠を経るアップダウンを繰り返す13.6kmの区間である。

山中湖きららを発ったのが、23日午後8時過ぎ。三国山ハイキングコース入口から登山道へ入った。明神山への標高差300mの登りは、何度か立ち止まって凌いだ。眼下の市街地の明かりが綺麗だった。

明神山から切通峠、高指山と緩やかなアップダウンを繰り返した。ここで再び眠気の大波がきた。登山道横の平らな場所を探して、寝転んで目を閉じた。僅かの時間でも眼を閉じるだけで眠気は紛れた。

コースを試走したことがあっても、夜間と日中では全く感覚が違う。夜間はコースの先が見えず、今何処にいるのか、先がどうなっているのかが分からず、心が折れそうになった。

石割山分岐から石割山が遠かった。日向峰を越えて、再び激しい眠気。脳が睡眠を取ることを激しく訴えていた。 堪らず寝転んで、目を閉じた。

暗闇に二十曲峠エイドと思われる灯りが見えてくるがなかなか着かない。凌ぎに凌いでようやく二十曲峠エイドに到着。

ここで会いたかったのは、マウンテンマーシャルアーツの渋井さん。以前同じ会社に勤めていた。トレイルランニングが縁で、僕がこのMMAのbloggerのひとりとなってすでに10年。渋井さんと少しだけ会話できた。

「UTMFを楽しんでいますか？」

疲労と眠気で意識が飛んでしまって、会話の内容は良く覚えていない。10年間出たくて出たくてしょうがなかったUTMF。時間を掛けて味わい尽くしているという意味合いのことを伝えたと思う。

エイド出発前、Messengerで私的サポートからのメッセージの確認と報告のタスクをこなした。

「二十曲峠と富士吉田アウトの時間は連絡ください！ガンバです！」
「1時15分、二十曲峠出ます。」

24日午前1時15分。スタートして33時間が経過。

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U8二十曲峠〜U9富士吉田（累積距離142.4km）

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区間距離は12.2km。ボスキャラは全コース中の最高峰の標高1597mの杓子山。

標高1134mの二十曲峠から杓子山までの標高差は463m。ロープを使って登る岩場を通る。ヘッドライトの灯りを頼りに急な岩場を手足を使って登っていく。前が詰まり渋滞ができた。足に力が入らない。膝がガクガクと鳴った。体力は限界に近い。杓子山の山頂はまだか？まだか？早くツラい登りから解放されたい。フラフラになりながら杓子山山頂に到着。

山頂からは急な下りが待っていた。ロープが掛けてあるがやたらと滑る。そして、飽きるほどに長い。山頂から標高差857mを下りに下った。登山道から林道に出た辺りで2日目の夜が明けた。

最終エイドのU9富士吉田には、24日午前5時34分に到着。

最終区間に向かうために防寒着やヘッドライトをバックパックにしまい。エイドで補給食を取った。名物の吉田うどんが用意されていたが食欲はなく、食べやすいバナナを取った。

Messengerで報告。
「5時50分最後のエイド出ます。」
富士吉田の関門時間は24日午前7時。1時間10分の余裕があった。完走が見えてきた。

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U9富士吉田〜FINISH富士急ハイランド（累積距離157.9km）

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最終の区間距離は15.5km。ラスボスは霜山1302mへの標高差560mの長い登り。

市街地を走りと歩きを繰り返して、ようやく霜山の登山口へ。ひたすらに長い登り。小雨が混じり霧が掛かる。眠気の波がきて、意識が飛んでしまう。何度か登山道から谷側に足を踏み外しそうになった。4kmほど登り続けてようやく霜山山頂。あとは天上山を残すが下るだけだ。長い下りで足の指のマメと膝が悲鳴を上げ始めた。後少しだけの辛抱だ。眠気は選手との会話で紛らわせた。

残り3kmの標識を見つけ、Messengerでモリジーに報告。
「後3kmです。」
「待ってますよ！おめでとうございます！」

フィニッシュゲート前では何人かのランニング仲間達から熱い声援を受けた。テンションは最高潮に達した。10年間のUTMFへの想いが込み上げてきて胸が熱くなった。ゴールテープを切った瞬間にテープを強く握りしめ拳を突き上げた。やり遂げた想いともうこれ以上走らなくてよいという安堵感に包まれた。

記録は41時間39分01秒。二昼夜を掛けた僕の遙かなる旅はようやく終わりを告げた。

UTMF165kは出走1808名、完走率は81.3%。コース短縮があり難易度も下がり、天候にも恵まれて、例年よりも完走率は高かったようだ。

もしも単独でレースに出場していたら、今回、完走できたのだろうか？レース前半、満身創痍で落ち込んでる時に気持ちを切り替えるきっかけは私的サポーターや道中に出会った友人や知人の励ましの言葉だった。レースは決してひとりで走っているわけではなかった。私的サポーターとサイドバイサイドで走っていたように感じることも幾度もあった。40時間以上一緒に走り続けてくれた私的サポーターのモリジーには心底感謝している。

レース中はこれまでの人生で一番応援された3日間であったことは間違いない。苦しくて苦しくてどうしようもなかった時もあったが、過ぎ去れば、まるで夢のような3日間でした。一生忘れることはない思い出が残った。夢の舞台を作り、支えていただいた沢山の関係者の皆様にはこの場を借りて、御礼申し上げたい。

完