前回の記事にリンクしたUTA100のフィニッシュ動画は、先にフィニッシュした高広さんが撮影してくれた。よく見れば、ぼくはiPhoneを持って歩いている。そのiPhoneで撮影した動画がこちら↑。
フィニッシュする前から、ランナーを応援する人々を撮りたいと考えていた。ぼくなんて「後ろから何番目ですか?」くらいの順位なのに、そんなことは関係なく、多くの方たちが声援を送ってくれる。洗練されたシャモニーとはまた違った雰囲気で、アットホームな雰囲気。
なぜ、再び100kに挑戦したのだろう?
自分の中で「これ!」という確固たる理由はみつからない。逆にいえば、様々な小さな理由が重なった。
ひとつは、もう一度UTAに出たかったこと。昨年50kに出て、日本とは異なるオーストリアならではのおおらかなトレイルカルチャーとブルーマウンテンズ国立公園の景観に魅了された。
UTAはUltra Trail World Tour(UTWT)に含まれるメジャーレースだけど、実際にはローカルレースの雰囲気が色濃く残っている。スタッフさんは笑顔で優しい。友達、カップル、お父さんお母さん、おじいさんおばあさんが「おらが町のレース」に出て、ご家族や友人、もしかしたらご近所さんまでみんなで応援する。そのアットホームでハッピーな雰囲気は最高だ。
そして制限時間も長く、ぼくでもあきらめなければ完走できるのではと思ったことも理由のひとつ。昨年はUTA50、0CCを余力を持って完走できたので、その先の景色を見てみたかった。
ぼくは距離に対する憧れがない。自分の中で楽しくトレイルランニングに取り組めればいいと思っている。今回100kを完走してあらためて思ったことが、ロングはロングの、ミドルはミドルの、ショートはショートの面白さと難しさがトレイルランニングはあるということ。
ぼくにとって100kレースの難しさは、完走するためにずっとセーブし続けなければならないこと。完走すれば旅としての感動は大きいけど、50kの出し切る爽快感はない。実際今回はアクセル全開にしたところはなく、もし全開にしていたら完走できなかったかもしれない。個人的にはやっぱり50k程度が楽しめる。
とはいえ、もう100kに挑戦しないか、というわけでもない。また走りたいレースがあれば、再び挑戦するかもしれない。トレイルランニングは様々な楽しみ方ができるから、明確な答を出す必要もない。その時の気分にまかせて。
レース翌日はシドニーで打ち上げ。今回のメンバーはチームでも練習仲間でもないけど、旅は道連れ世は情け、みんなのおかげで今回も楽しいトレイルトリップとなった。
ぼくの周りの激走モンブラン世代は、年々トレイルから姿を消していく。ぼくはイチトレイルランナーでしかないが、ぼくら世代がいろいろな楽しみ方をすることが、微力ながらトレイルランニングが長く楽しめるアクティビティとして根付くお手伝いになればよいと思っている。それがトレイルカルチャーにつながっていくと信じて。
今回の旅を経験して思ったのは、トレイルランニングはぼくにとって競技でも遊びでもなく、フィロソフィーみたいなもの。人生で学んだすべてが反映される。