MMAの渋井さんからのお題「2018年のベストギア」。
ウェアでもいいとのことなので、これを。
finetrack
ドラウト®ポリゴン3アッセントジャケット
325g
https://www.finetrack.com/shopping/products/detail-FMM0905/
雪山用のギアはこちらで紹介したので、
今回はインサレーションを選んでみました。
このfinetrackのは、通気性と保温性のバランスが素晴らしく、
かなり運動量を上げてもオーバーヒートせず、汗もかきにくく、
「行動着」として積極的に使えます。
右側には胸ポケットがあります。
普通サイズのスマホならちょうど入ります。
デジカメとかでも。
両サイドにはベンチレーションのジッパーがついてます。
ポイントは、上にも下にもジッパーがついているので、
ザックを担いでいても、下のジッパーを引き上げることで開けられます。
トレイルランナーの方にとって、「インサレーション」は馴染みが薄いかもしれません。
「インサレーション持ってますか?」と聞いたら、持っていないという方の方が多いかも。
insulation、直訳すると「断熱」です。
登山の雑誌やウェブサイトではかなり詳しく紹介されていますが、
トレイルランニングで稀に紹介される場合は、
「保温着」「中間着」のように言われることが多いかもしれません。
トレイルランナーの方は、インサレーションは必要ないと思っている方も多いかもしれません。
寒い時期、1レイヤー目は、長袖のベースレイヤーか半袖シャツにアームウォーマー
2レイヤー目は、ウィンドシェル
3レイヤー目は、レインウェア
寒ければダウンを羽織る、というところでしょうか。
この場合中間着は「ウィンドシェル」になるわけですが、
登山だとこれがインサレーションに変わります。
ここが、陸上出身の方が多いトレイルランニングと、登山の「思想」の違いだと思います。
ウィンドシェルはたしかに風を防ぐことができます。
とはいえ、透湿性はほぼ0なので、ムレます。
ムレることで一定の暖かさはあるのですが、
当然汗をかきやすいので、長時間着ていると不快であったり、汗冷えしやすいのが難点です。
だから、ウィンドシェルはあくまでも短時間の使用が前提で、
ウルトラレースやファストパッキングにはあまり向いていないということが言えると思います。
ウィンドシェルを着ずにベースレイヤーの上にレインウェアを着る人も多いと思いますが、
ウィンドシェルほどではなくともやはりムレたり、そもそも着心地が良くないというのがあります。
ウィンドシェル、レインウェアとも生地自体に保温性は無いというのもあります。
インサレーションは、日本語訳も様々なように、メーカーによって本当に色々なものがあります。
通気性抜群のものもあれば、アウターと兼用できる防風素材のもの、
透湿性のあるもの、いわゆるフリースやダウン、化繊ダウン、本当に様々です。
ただ、最近は「行動着」としてのものが多く、
特に発熱しやすいカラダの場所には通気性のある素材を使い、
他のところには保温性のある別の素材を使い分けるような、
ハイブリッドモデルも多くなっています。
一昔前はトレランではPatagoniaのキャプリーン4や、Primaroftのダウンのみだったと思います。
最近はfinetrackのファインポリゴンや、POLARTECのAlpha、Power Stretchのような様々な素材を使ったモデルが出てきています。
ここまででお気づきだと思うのですが、
登山のインサレーションは、「防風」とは正反対の「風を通す」考え方で作られているものが多いです。
だから生地自体が熱を保持する「保温(断熱)着」「中間着」であると同時に、「行動着」でもあるんです。
インサレーションの難点が一つあるとすれば、
かさばって少し重いということ。
断熱目的なので当然「ロフト」が必要なのと、
軽くてもウィンドシェルより100g以上は重いです。
トレランザックであれば、一回り大きなサイズが必要になるかもしれません。
短時間のカテゴリーなら、インサレーションは必要ないのかもしれません。
だけど、長時間動き続けるなら、
ぜひインサレーションの素晴らしさを知ってほしいです。
ガンガン動いてもムレずに快適そのもの、汗もかきにくく着替えの回数も少なくてすみます。
もちろん着心地もいいものが多いです。
先日のSPINEでは、マイナス10℃を想定して防風防寒重視でムレやすいシェル系のものを敢えて選んだのですが、
想定よりも暖かく、途中からこのfinetrackに変えたところ大当たりで、
1レイヤー:finetrackのアクティブスキン
2レイヤー:ホグロフスの長袖化繊ベースレイヤー
3レイヤー:これ
4レイヤー:ハードシェル(レインウェア)
で、ハイクアップで運動量が上がっても着替えずに快適に進むことができました。
雪山でも重宝しています。
自分の場合、これ、というインサレーションに2、3着出会うまでけっこう時間がかかりました。
シャツとランバン、レインウェア以外で、一番数を持っているのはインサレーションです。
インサレーションを選ぶコツというのはなかなか難しいのですが、
お店でたくさん試着させてもらったり、素材の特性を掴むのが近道だと思います。
今回紹介したモデルはトレイルランニングには少しオーバースペックですが、
まだインサレーションを持っていないトレイルランナーの方は、
防風はハードシェル(レインウェア)でするものとして、
通気性のあるインサレーションをぜひ一度試してみるのをオススメします。
山での行動着の考え方が変わりますよ。