5年連続になりましたこの記事、2023年のベストギア・ウェア。
あくまでも私の個人的な感想で、運動の激しいトレイルランニングというよりも、
ファストパッキングやユルいトレランに当てはまるものだとお考えくださると助かります。
また、2023年発売に限らず、私が2023年に使い始めたものをレビューしています。
■ロングスリーブ
MMA POLARTEC®︎ Power Wool Balaclava Hoodie 202g
https://tmrc.tokyo/products/mma-polartec%C2%AE%EF%B8%8E-power-wool-balaclava-hoodie-black-beauty
ここ3年ほどMMAさんのPower Woolロングスリーブ・ロングパンツを愛用しているのですが、
これこれ! というのが今シーズン出ました。
この「バラクラバ」風の、フーディモデル、ものすごく秀逸です。
(※バラクラバのように、鼻にピッタリとはくっつきません。)
マイナス2℃の環境で軽いトレラン・ファストパッキング程度の運動強度で試したところバッチリ。
首元が暖かく、頭部からの放熱も抑えられ、保温性はフード部分の無いものと比べるとかなり上です。
首元は、内側にネックウォーマーを組み合わせるとかなり暖かく、
ネックウォーマーが無くフード部分単体でも気温1ケタ台前半ぐらいなら十分。
だけど、ウール100%の生地よりは確実に行動時に向いていて、
暑すぎることなく、適度な通気性や調湿性もあり、動きながらのストレスが本当に少ないです。
ウールが入っているので行動していると多少は汗をかき、
Power Wool特有のポリエステルとの混紡により汗冷えもするのですが、
ものすごく寒い、ということはなく。動き続けているときほど快適に着られます。
ウール100%では乾かない場面でも、Power Woolなら自然と乾き始めます。
そしてサムホールもついているので、薄手のウールの手袋との組み合わせで保温性はバッチリ。
サムホールもジャストの位置にあり、生地が引っ張られたり余ったりすることもなくとにかく「自然」です。
フード部分も動きにほとんど干渉せず、本当に自然に着続けることができます。
秋冬の里山やロードでのベースレイヤーとしてだけでなく、
雪山でも重宝しそうなハイブリッドアイテムとして活躍しそうです。
■ストーブ
JETBOILスタッシュ 200g
https://www.jetboil.jp/menu53/contents1185
コロナ禍の2021年に発売された、ジェットボイルの「分離型」のこれ。
品薄状態がしばらく続き価格も高騰したことや、
ようやくファストパッキングに気軽に行ける状況となったことから今年導入。
沸騰時間やガス消費量の「数字」の検証は、他のサイトでも多く紹介されています。
ここでは、これを導入したことにより「変わったこと」の紹介を。
まず沸騰時間やガス消費量が一般的なストーブの約半分というのは、
「体感」「感覚」と一致している感じがします。
1日に8時間、10時間素早く行動してテン場に着くと、
疲れやホッとした感で、ゆっくりとした動きになるのですが、
これまではお湯を沸かしている間にユルユルと行っていた、
寝るための準備やウェアの整理の間に「もうお湯が沸いちゃった」となります。
なので、テントやシェルターを設営してからの「手順」「順序」が少し変わりました。
お腹のすいているときは、まずお湯を沸かしながらインスタント食品(ビバークレーションや完全メシ)の投入を準備したり、
カトラリー類の用意、行動食のゴミをまとめていたりするともう沸いています。
ビバークレーションならアツアツのお湯投入から1分たたずに食べられ、
完全メシでも5分で食事にありつけます。
以前は他のものをゆっくり時間をかけて食べたり、
寝床や翌日の準備も終わってボーっとしながらお湯が沸くのを待っていたのですが、
そういう「空白の」時間が無くなりました。
テン場に着くのが暗くなりかけていたら寝る準備を優先。
それでもあっという間にお湯・食事が用意できるので、
寝るまでの時間が短くなりました。
また、クッカーの厚みがあるので、保温性もそこそこあります。
氷点下の環境でも、お湯が沸いてインスタント食品を数分戻しただけだと、
まだクッカーがアツアツで、口をつけると「アチッ!」となることもあります。
中身が他の極薄のULクッカーに比べて明らかに冷めにくく、
熱いうちに「かきこもう」ということもなくなり、落ち着いて食事ができます。
特に、ファストパッキングのようにミニマルに泊まりでいくときや雪山縦走では、
ほぼ「お湯を沸かすだけ」「火加減を調整しての調理は無し」「雪を融かすだけ」のことも多いと思います。
軽量で、ガス缶のサイズも小さくでき、パッキングもしやすく、すぐにお湯が沸く。
「重量」だけでなく「トータル」で見て、ファストパッキングに最適なクッキングシステムだと実感しています。
■ショートスリーブ
RxL メリノウール ウルトラライト メッシュ Tシャツ 110g
https://shop.rxl.jp/pages/merino-tshirt
今年の春・秋のファストパッキング、冬のトレランで一番ハードユースしているのがこれです。
もうとにかく、総合力が半端なく高いです。
まず、暖かさと通気性の良さのバランスが秀逸です。
ウール100%のシャツは、行動しているとすぐに暑くなったり汗をかいて重くなるのですが、
これはほどよく暖かく、風が吹けば涼しく、「ちょうどよい」です。
また、ポリエステルのようにものすごく早く乾くということはないのですが、
風が吹く稜線であればすぐにドライになり、テン場についても汗による湿りは次第に消えていきます。
単体使用では気温10℃前後がほどよい感じで、
アンダーウェアとメリノウールのアームウォーマーをあわせると、
気温一けた台前半まで対応できる感じです。
(※ちなみに天竺編みモデルとアンダーウェア・アームウォーマーの組み合わせだと、
先日のツールド長野で氷点下2℃でも快適に動き続けることができました。)
そして、レーシーなウェアと変わらないぐらい軽く、
腕振りによる生地の引っ張りなどもないのと、
生地の特性上ザックのショルダーベルトとの相性もよく滑りにくいため、
長時間行動していてもストレスがものすごく少ないです。
(※レーシーなウェアほど滑りやすく、ザックとの相性があまりよくないことも多いので、
この部分はファストパッキングでは特に重要だと日々感じています。)
また、Power Woolとはまた生地の特性が少し違い、
Power Woolの方が暖かくなりやすく冷めやすい、汗もかきやすく汗冷えも感じやすい、
こちらの方が暖かくなりにくく冷めやすさはほどほど、汗はそこそこかくものの汗冷えはそれほどでもない、
というのが使い込んだ実感です。
Power Woolの方が雪山のようなシビアなコンディション向き、
こちらの方がよりファストパッキング向き、
な印象です。
コロナ禍が明け、2023年はアルプスやレースでもたくさんの知り合いの方とお会いすることができました。
そして、ハイカーの方の、山と道・HYPERLITE MOUNTAIN GEARのザック使用率がものすごく上がった気がします。
リニューアルしたギア・ウェアをようやくみなさん山で使い始めた1年のように感じました。
年末年始、山に登る方、街で過ごされる方もどうぞごゆっくりお過ごしください。