ウィルダネス メディカル アソシエーツ(WMA) ジャパン のプロモーションビデオ(リンク)
2日間、20時間のカリキュラム(WFAベーシック資格)のトレーニングを受けてきました。最後には学科、実技とも80点以上の認定が必要になります。
(写真は一時利用に限られるため、アクセスがオープンであるブログには制限がありますのでご容赦ください。様子は上のリンクの動画をご覧ください)
ウィルダネス(Wilderness)の元の意味は、北アメリカ大陸をヨーロッパ人が東から開拓していき、その開拓が及ばなかった土地を、ウィルダネスと称しました。現在では、国立公園や、国立森林公園など、特別に管理保全されたエリアを指して、ウィルダネスと称しています。このファーストエイドで使用するウィルダネスという言葉の意味を理解すると、私たちトレイルランナーに必要なものであることが確信できます。
一般の都市部で、119番通報から、救急車が到着するまでの平均が8分、病院に着くまでが約30分だそうです。普段受けられる、会社、地方自治体での救急法の講習はこの時間軸が原則なのですが、私たちが行動する山の中はどうでしょう?山小屋の前ならば、ヘリ到着まで数十分、病院搬送までも時間はかからないでしょう。つまりそこは都市部と変わらず、「未開の地」ではないわけです。ただし、一旦トレイルに入れば、救命士に引き継ぐまでどれくらいの時間がかり、医師による治療が受けられるのは何時間後か、そしてその搬送方法が限られること、それを考えての救急法なのです。つまり、今、なにが致命的なリスクなのかを評価し、処置の優先順位を決める際に、上記の時間軸が大きく関わってくるところにあります。その点が都市部で受けられる救急法の講習と異なる点であり、私たちトレイルランナーが理解し、身につけておくべきものだと思うのです。
座学は外傷や疾病といった一般的な知識のみならず、呼吸器系、循環器系といった専門的な知識も学びます。なぜそこまで必要なのかは、実技演習をするとわかるのですが、身体の構造と反応の仕組みを理解することで、はじめてとるべき手法と順番が決定できるわけです。ただ単純に、方法論として丸暗記しても、実技では全く役に立たないということがよくわかりました。使わないことを願うスキルと知識ではありますが、本当に受講してよかったと思います。
座学の冒頭には法律論も学びます。ウィルダネスメディカルアソシエイツではベーシックのWFAでさえ、2つの医療プロコトルが含まれ、それは日本の法律において、どのような位置づけで、なにが問題となるのかも理解しなければなりません。プロの救命士でさえ、限定的な医療行為が行えるようになったのは、最近のことであるのは医療従事者の方ならご存知かと思います。
野外実技はヘッドライトを使って夜間にも行われました。屋内で座って脈拍をとることは誰にでもできると思うのですが、雨の中、野外の傾斜地でヘッドライトの明かりで、自分のストップウオッチを使い、さっと脈拍をとることができるでしょうか。そんな基本的なことでさえ経験をしていないと、あわあわと慌ててしまい上手にできないものなのです。またこのWMAはTJARのサポートに協力しており、2日目の演習シナリオにTJARの選手が倒れているというものがありましが、ちょうど私は演技者の役割でしたので、リアルな演技ができたと思います(笑)
よく私も使うのですが、「トレイルを共有する」というフレーズを最近よく聞きます。共有するのは楽しいことだけでなく、その背後にあるリスクと、事故が起きた時に助け合うことも、ということを気づかせてくれたのも1つの収穫でした。ハイカー、トレイルランナー、クライマー(全員が登山者)の隔てなく、目の前にある「命」はつなぎたいと思うのは当然ですね。
今日もHappy & Safe Trail !