結果としては100Kmとちょっとまで進んだ地点で自らドロップを決断しました。これまでの経験がこの5周回レ-スには役に立たなかった。当たり前だ。やってみればこれは別物。今回、完走した人は、この下につらつらと書いてある言い訳のような能書など言わず、走力とメンタルで押し切れる強いランナ-達だ。わずか27人、日本で初の周回100マイル完走者に称賛を!
コ-スの核心部分に5回アタックする
この単純で当たり前の事実を頭では理解していが、具体的に身体がどういう状況になって、どういう対応が必要(メンタルも含めて)なのか、全くわかっていなかった。これまでのラウンドやワンウエイならば、体調の波があっても、制限時間内に上手くやり過ごすこともできる。なぜなら、核心といわれる登り区間は大抵2-3ヶ所、それも違ったサーフェ-ス、距離であり、そこまでの距離が長ければ、ペ-スを調整してもう一度立て直すこともできる。今回の核心部分はシャクナゲ尾根と次のコルまでの615m up、一歩も走れないような苔むす岩と倒木のトレイルの登りに5回アタックしなければならないのだ。そしてその区間をつなぐインタ-バル(と呼ぶには長いアップダウン)は走ろうと思えば走れる林道と舗装路であり、選手の脚を容赦なく削っていく。私自身、二晩越えのレ-スはどうしても体調の波がでるけれども、一晩越えのレ-スならばマネ-ジできるつもりでいた。そういう油断があった。
なんどもすれちがう変則ル-プ
自分の走力ではレ-ス中、顔を合わせることのない仲間、トップ選手とすれ違う。仲間同志で励まし合うことができる、離れていても一緒に走っているという気持ちになれるのが嬉しい。
優勝した平澤選手と、すれちがい、そして私が周回遅れになるときに、二言三言、会話できたのが印象的でした。普通のレ-スではあり得ないこと。
ペ-サ-とボランティアに感謝
公募で来られていた幾人かの仲間も、地元の小海町の方と思われるスタッフも長時間、エイド、ポイント誘導をされていた。そして必ず声をかけてくれた。何度も通過するから顔を覚えてしまうくらい。昨年までの八ケ岳ス-パ-トレイルが中止になった経緯を考えれば、本当にありがたい。御味噌汁やお蕎麦もエイドにありました。ペ-サ-にはもっとペ-サ-としての楽しみを味わってもらいたかった。自分のペ-サ-の経験から、引っ張るのはやはり楽しいこと。今回はペ-サ-というより、スイ-パ-に近い役目をさせてしまったかな。それでも自分一人では冷静にならず、下りる判断ができなかったかもしれない。やはり感謝です。
旅? ゲーム? 競技?
自分のレ-スに対する志向(嗜好)が変わってきている。これは山岳縦走をやることで、逆にトレイルランニングのレ-スには、走る気持ち良さや、ゲーム性を求めるようになってきている。2晩目の幻覚や睡魔に耐えるのではなくもう少し走りたい。走れるレ-スは単純に走力が低い自分には不向きと思っていた(実際にそうだ)が、自分はトップランナ-でもなく、表彰台を狙うわけでもない。他人と比較しての評価ではなく、これからも自分が気持ちがいいかどうか、楽しいかどうでレースを選んでいくことになるだろう。それは人によって、志向(嗜好)はちがうので、なにが正解というものはない。まあ、できればみんなでワイワイと行けたほうがいい。今回、何故、トラックレ-スでもないのに、つまらない(と思われがちな)ぐるぐる系トレイルレ-スにエントリ-するの? と沢山の人に聞かれたけれども、単純に経験したことがなく、一晩で終わるから。そして作戦(ペース、補給など)を立てることがゲームとして楽しそうだったから。ラウンドやワンウエイが「旅」ならば、周回レ-スは「ゲーム」でありエンタメだと思う。ただ、「競技」として、がんじがらめに規則でしばってほしくはない。サポ-ト制度やペ-サ-(できればその場で交代可能な)はどんどん取り入れて、装備を軽くして走りたい。たくさんの人とレ-スを楽しみたい。一方、参加者全員に公平な「競技」を否定しているわけはありません。選手やプロが育成されていくにはそういった側面も必要であるのだけれども(スノ-ボ-ドやスキ-モ-グルが良い例)自分にとって、トレイルランニングは「遊び」(かなり真剣な)だから、競技として上段に構えられると、ちょっとなえる。そいつはロ-ドレ-スでやっていきたい。
エンタ-テイメント性を高めてほしい
周回の良さは1か所に人を集めることができること。今回、チ-ムというカテゴリ-が追加されたがエントリ-はなかったのかな? 単純に周回レ-スに対するアレルギ-や告知期間の短さからだろう。この時期は人気レ-スがたくさん集中しており、複数人数のスケジュ-ルが合うというのは無理だったのだと思うが、来年はもっと多くの人に、それぞれ違った方法で楽しんでほしい。仲間とファンランも良し、ガチで100マイルもよし、それが同じル-プというレ-ス空間を共有できて、それを対面のすれちがいで感じることができるのは素晴らしいことだと思う。一部の、いわゆる変態(笑)の小規模集会に終わらせるのはもったいない。Start/Goal地点でなにかイベントも行うことで、レ-ス参加者はもちろん、それ以外の人も楽しめるといいだろう。町の特徴を生かせば、1日中賑やかにできるはず。OSJには壮大な「旅」よりも、新しいエンタ-テイメントとしてのアウトドアイベントの先駆者であってほしいと思うのです。これまでもそうであったように。