日本初開催、UK発Original Mountain Marathon(以下OMM、リンクはクリック)を終えて、いくつか備忘録と感想を、主に来年以後に参加を考えておられる方のためにシェアしたいと思います。私がエントリーしたカテゴリーはストレート(CPを取る順序がある程度決まっているオリエンテーリング方式)であり、スコア(取るCPと順序が任意で得点方式のロゲイニング方式)ではありませんのでその点を考慮してお読みください。
リザルトは初日、2日目とも時間内にコンプリートし、総合50位、複合カテゴリーで8位となりました。ストレート競技は150チーム中、制限時間内完走ができたのは、わずか54チームですから36%のサバイバルレース、トレランでは優秀な選手のペアも簡単には制限時間内に戻ってくることはできませんでした。ですから、この結果はとても誇りに思うのと同時に、レース主催者、ボランティア、そしてペアを組んでくれたパートナーに感謝したいと思います。
一方で知人らのルート選択や、位置確定の方法を聞くにつれ、もっとできたんじゃないか、という気持ちもどこかにあります。きっとこれがこの競技の魅力なんでしょうね。はまったんでしょうかね。コレは(笑)
<ナビゲ-ション能力について>
「地図読み」とよく言われるけれど、自分たちランナーや一般登山者に普段求められる能力は、登山道を外れないことが前提での地図読みです。その場合は自分の現在地の確定が主な目的ですが、競技となると、走りながらポイントへのアプローチを見つけるための距離感、ポイントそのものを見つけるための高度感(等高線何本分か)という要素はしっかりと求められます。それだけではなく、ルートを決定するために、豊富な地図記号からの情報と、実際に山を観察した情報による総合判断も必要です。それは多分、机上で勉強してどうにかなるものではなく、実際に山岳での実体験でしか獲得できないものなのだろうなと強く感じました。遠回りでも林道を走るか、破線ルートか、行けそうな尾根を直登か、はたまたコンパス直進か、山を観察した上での情報、〇〇とか、〇〇とか。この〇〇がなにかということは、その道のプロの実地講習をお勧めします。座学や本の知識ですと、頭でっかちになって、それがかえって先入観として働き、判断を遅らせたり、ミスをする要因にもなり得ると思います。(自分ですw) そういった地図からの情報と自分の目で見た情報の統合がナビゲーション能力というものなのでしょうね。自分は2日間でたくさんのミスをすることで、その引出しが少し増えた程度。きっとこれからも経験からでしか学べないものが多くあるのだと思う。帰り車の中では、他のペアがどのCPをどういうアプローチで取ったかという話は興味のあるものでした。反省会(という名の飲み会)が楽しみです。
<必要とされる走力について>
OMMの公式サイトには、ストレ-ト競技の場合、2日間で50km(直線距離)とされており、目安として50kmのトレイルランニングレースの完走歴があることとされています。しかしながら、これはあくまでも相応のナビゲ-ション能力があっての前提かと思われます。しかも6~7kgの装備を背負って走る走力、登る力であり、トレイルランニングでの走力とは少し異なります。自分たち100マイラ-の二人が、登りは歩きですが、フラットと下りはそこそこ走って、初日は制限時間30分前になんとかフィニッシュしています。制限時間内完走に必要とされる走力は、ナビゲ-ション能力で大きく変わります。
<装備について>
ここはきっとすばらしい記事をランブラ-さん(リンク)が書いてくれると思うので簡潔に(笑)
幕やシュラフ、寝るときの衣類、といったビバ-ク環境は自分に最適なもの( 身体の大きさ、寝る姿勢、対寒能力) を選んでください。昔は山岳テントから入り、徐々に軽量化していったものですが、トレイルランナ-ですと逆にストックシェルタ-から入るパタ-ンも多いようです。それもまったく構わないと思うのですが、軽量化を意識してTJARの報告書を丸ごとコピーしても、それが自分にとって最適かどうかはかなり怪しいわけです。もちろん私も参考にはしています。1つのアイテムを軽量化したときに、なにを犠牲にしたかをしっかりと認識することが重要ですし、ペア競技ですので、二人のスピード感の一致も大切で、そこが装備ウエイトにも現れると思います。今回、パートナーと話していたのは、第一回大会だから制限時間内コンプリートをしたい、それはすごく価値がある。かといってガチガチに順位を追うつもりはない。というものでしたが、どの程度が完走レベルなのかがつかめず、感覚的に一致したのはスタートを切ってから、「こんなもんだよね」という会話の中で理解し合えたように思える。また食料に関しては、消費した日中の行動食は少なめでした。ペ-スが比較的ゆっくりなので、トレランレ-スほどのエネルギ-量は必要なく、脂肪燃焼のために血糖値を維持することを意識した量でよかったのだと思います。このあたりは個人差があるので参考程度に。また大会規定を満たす(ゴール後に1日分の予備食糧の保持)必要があるのは言うまでもありません。一方で、夜や朝はしっかりとクッカ-で調理して、ガッツリ食べることで元気に2日目のスタ-トを切りましょう。ここがメインイベントという人も多いので、どうせなら楽しんでしまいましょう!
<ペアリング>
最後に書きますが、実はここが一番大切な要素なんだと思います。性別、年齢差を問わず、互いにリスペクトできること。それにつきると思います。走力や経験値の差が小さいことが理想ですが、なかなかそうもいかない現実もあるでしょう。そういった時に、この点が重要になると思います。レース中に周りがびっくりするような喧嘩をしてしまっているペアを見かけました(笑) 自分のパートナーには本当に感謝しています。ストレートですと、競技時間は2日で合計18時間、それ以上になっても、リタイア送迎はありませんので、安全に2人で自力下山しなければなりません。読図やルート選択の違いから口論になることもあるかもしれません。でもそれをプラスのベクトルに向かわせるのは、走力でもナビゲーション力でもなく、コミュニケーション力ですね。自分にその力があるなどと傲慢なことは言えませんが、少なくても周りを不快にするようなことはなかったと思っていますし、自分のパ-トナ-もそうしてくれました。一方の調子が落ちたら、一方が引っ張り、2人でネガティブな方向に向かう負のスパイラルにならないよう、時にはどちらかがやせ我慢でもいいから強がることも必要でしょう。トレランレ-スのペーサーと選手のように一方的に頼るという関係ではないわけです。ですから、時間内コンプリートできたペアも、できなかったペアでも、共有できた時間を大切にしてほしいと願ってやみません。
<番外編、直登ボーイズ>
初日に自分たちが安全策で林道を上がってくると、突然、とんでもないところから出没するペアが一組いた。後ろにいるなあ、と思っていたら、次のCP では既に折り返して戻ってきていたり。自分たちがつけたあだ名は直登ボーイズ!!(それほど若くはなかったが私よりは確実に年下です)、結局、最後のCPでも出くわしたので、そんなにタイム差はなかったのですが、彼らの楽しんでいる表情がとても印象的でした。おそらく、彼らはタイムを意識すれば、林道の方が早いと知っていても、ガンガン直登、行けると判断したら行く。それを2人のポリシ-にしているように見受けられました。青竹2本をストックにして、ガツガツ登って行きます。BDのカ-ボンポ-ルなんかではなく、青竹というのもカッコいい。こういう楽しみ方もあるよなあと感心した次第。自分たちも少し影響されたかな(笑)