じろーさんのブログ(リンク)で三浦縦断トレイルへの疑問符が投げかけられましたが、私自身も参加したことがあり、いわんや公式の試走会をお手伝いしたこともあります。だからこそわかるのですが、ここで定員800人規模のレースが行われることは、やはり反対の立場を取らざるを得ません。そこで一旦、三浦だけでなく、日本のトレイルランニングレースを取り巻く環境全体を考えてみました。
自分のブログ(リンク)を読み返すと2014年の3月に下記リンクの石川弘樹氏のブログを紹介しています。この時はランナーのマナーに言及したものだったのですが、今回はもう1歩進めて、自分たちとレースの関わり方に言及したものとして読み返してみました。彼にしては珍しく長文ですが、ぜひ全文を読んでみてください。
http://beachishikawa.blog.shinobi.jp/Date/20110529/
(以下抜粋)
今日、トレイルランナーの人口が増え、レースも増え続けている中で問題も出てきているように思います。問題視されるようなレースが実際あるのは事実です。そんなレースでも多くの人々の想いがあり、そのレースを走りたいというランナーも沢山います。時に私が疑問を感じるのであれば、直接指摘しなければならないのかもしれませんが、そのような背景がある中では、こうした場でメッセージさせていただく中でどこか大会主催者や関係者に影響を与え、多くの選手には様々な内容に心から気が付いてもらえればと考えています。トレイルランニングがこれからの将来、自然の中での共存を健全と認められ、今まで以上に誰もが楽しめて、遊べるアウトドアスポーツとしての文化として認知されることを願います。そして皆が楽しみにしているレースも場所や規模を十分に考慮しフィールドの受け入れ側が快く向かえているような関係を築いたうえで開催し、各所でトレイルランニングのレースが有意義とされる環境ができあがることを目指していきたいものです。目先のことではなく、長い目で見たレース開催、運営方法を多くの大会におこなってもらえるような風潮となっていってもらえたら幸いです。これまで多くの自然とトレイルランニングと付き合ってきた、視てきたなかで伝えたい私の願いです。
Have fun.
いつまでも自然と人々と共に…
(抜粋以上)
石川弘樹氏が2011年の段階で、このように予見していたことが、現実として起こってしまった。三浦で、もっと、小さい規模で、例えば地元のランニングクラブや子供たちを中心に、トレイル整備を前提にした小さなレースを開催するようなことは、とても意味のあることだとは思います。北米の多くのレースはそういったクラブコミュニティーが主催で始まっている歴史があり、比較的小規模でもなんとか収支バランスが取れるのだと思います。欧州と比較してエントリーフィーが高いのはその要因もあるでしょう。一方、日本の場合、ある程度の規模の定員を満たさなければ、収支バランスも取れず、地元への経済的な還元も難しいのかもしれません。ボランティアの確保にも苦労されていると思います。私たちが主催者に協力できることは、トレイル整備やボランティアで大会をサポートしていくことで、トレイルへのインパクトを最小限に、そして小規模でも運営収支がバランスをとれるように協力することだと思うのです。自分もそれほど経験があるわけではありませんが、少しづつ増やしていくつもりです。個人的には日本を代表するUTMFやハセツネが、北米のレースエントリー資格にあるように、トレイル整備やボランティアをエントリー条件(どこのレースでも可)にしてもよいと思っています。すでに主催者も事前のトレイル整備や清掃活動を行っていますが、自分の主催するレースだけではなく、どこのレースでも要件を満たすようにすれば、参加者の意識も変わるのではないでしょうか。エントリー要件を満たすためのボランティアは本末転倒だという考え方もあるでしょうが、入り口としてはありだと思いますし、そこでどのようにしてトレイルランニングレースという他のスポーツイベントとは大きく異なるマイナースポーツ(競技人口、経済規模という点では)のイベントがどのように運営されているかを肌感覚で感じることができると思うのです。ITRAポイントをエントリー要件にする前に考えていただきたかったことです。そんなの理想だよ、と思われるかもしれません。でもそれが成立しないのであれば、私たちのトレイルランニングカルチャーはまだ成熟していないと言えるのではないでしょうか。欧州の岩場が多く硬いトレイルで、土砂流出も抑えられ、レースによるインパクトも低く、キャパシティーがあり、山岳文化として長い歴史があり、その用品メーカーからの金銭的支援もある。そういったものをいきなり真似しても難しいだろうと思います。欧州でもお金が絡むとTDGのように難しい局面を迎えることもある。やはりレースを運営する理念が明確で、小さな規模から積み上げていくようなレースを応援したいと思っています。レース主催者は地元に根付いた活動とその理念を忘れずに。地元の理解を得られれば、支援者も増えるでしょう。自分たちができることは少ないかもしれませんが、日本のトレイルランニングレース全体が、良い方向へと向かうことを願っています。