今年もこの時期にこの山に。
昨年は分水嶺トレイルの大会に参加する形で、夜間行動をとり、一気に分水嶺を駆け抜けたのですが、今年はテント泊縦走という形で後半部分の山域を楽しんできました。今年から分水嶺トレイルの一部コース変更になり、瑞牆山から不動沢を下った後、「少し退屈」とされていた林道部分が短縮され、破線ルートで県境の分水界へと向かい、忠実に中央分水嶺を西へなぞるコースになるようです。そこは松平林道や他の主要林道ができる以前は、信州峠から小川山方面へ抜けるルートとして活用されていたと思われますが、現在の山と高原地図や、国土地理院地図にも記載されておらず、もちろんリボンや道標はありませんから、廃道古道ということになるのでしょうか。危険な箇所ではありませんが、地形図を読む読図力は必要になります。一部登山道としての跡がかすかにあり、人知れずひっそりと佇んでいます。自分たちが久しぶりに現れた人間だったかもしれません。昔の山と高原地図には記載があるようで、あるピークに「石っこつ」という名前がつけられています。自分はなにかの記念碑が風化して彫り文字が消えたのではないかと勘違いするような、不思議なオリベスク状の岩石でした。そこから西へ伸びる尾根は石がごろごろと転がり、頑丈で、それでいて歩きやすい風情のある尾根でした。林道ができて、車も通過できるようになり、便利になったことは間違いありませんが、それと引き換えになにかが失われたのかもしれません。それをこういう形でまた楽しむのもよいでしょう。