テーマがMMAブログらしくないかな? と思いつつも自分の周囲はOMMにエントリーする人も多く、ナビゲーション競技もトレイルランナーの間に浸透してきているはず。ナビ競技は年間を通してこれぐらい(リンク)行われており、グループでファンランをしながら楽しめる街ロゲから、ソロでシビアな地図読みとオフトレイル走力が要求される学生主催のオリエンテーリング(一般もエントリー可)、そして長時間行動とその効率、それを支える確実なナビゲーションスキルが要求されるロングロゲイニング、ロングオリエンテーリングまでが存在する。ランナーの間ではOMMが注目されてはいるが、天子山塊や朝霧高原の森林オフトレイルも競技エリアとなる富士山麓12時間ロゲイニング(リンク)、そして深夜0:00にスタートするアドベンチャー感満点の菅平ロゲイニングチャレンジ(リンク)は参加者の高いレベルと、そのセッティングの壮大さはOMMのそれと引けをとらないものだと思っています。
今回はその富士山麓12時間ロゲに参加してきました。結果は前回の優勝チームやアドベンチャーレースの世界選手権に出場するチームを抑えて、混合クラスで準優勝という上出来すぎる結果です。競技エリアの西端が天子山塊の稜線であり、ここ数回のUTMFでは通過しない毛無山までが競技エリアとなっています。この大縦走は第1回のUTMFで、自分も、そしてパートナーも経験しており、それが優位に働いたともいえます。それでも上位間の順位はむしろ下山してからのナビゲーション勝負になっており、混合といえどもレベルの高いものだったと思っています。次回、2年後のエントリーが今から楽しみです。
私自身の初めての経験として、ナイトナビゲーションがありました。日没から競技終了21:00までの数時間とはいえ、この時間帯でどれだけ拾えるかが順位に大きく影響しますのでとても重要です。一般的には、トレイルやロードから外れたところにあるフラグのSIチップ記録によるポイントを避け、ロード上、あるいはその脇にある写真通過証明によるポイントを中心にルートプランを組むのがよいかとは思いますが、自分たちはあえてフラグによるポイントを取りにいきました。(薮コギ好き)
トレイルから外れてCPへ向かうアタックポイントを正確に決定できれば、下の写真にあるように、リフレクティブプリントの部分が光るので、十分対応できるとオリエンティアの方から聞いていました。薮の植生の濃さ次第ではどうにもならない場合も想定できるので、常に正しいとは限らないとは思います。また、写真通過証明の場合、地形として特徴のある三角点や人口建造物は見つけやすいのは言うまでもありません。
OMMにエントリーしている方の参考になるように、オフトレイルのナビゲーション例を1つご紹介します。そして、夜間であるがゆえのミスをしていますが、リカバリーしてCPをパンチ、そして脱出しています。OMMに夜間のナビゲーションはありませんが、自分も含めてオフトレイルのナビゲーション経験の浅い方の「あるあるミス」であり、それをパートナーとどう補完し合っていくかが競技のポイントだと思います。
下の地図のスクリーンショットは、自分たちのログを国土地理院の1/25kに落とし込んだものです。等高線間隔10m、縮尺も競技で使用されたものとほぼ同じです。ただ、競技に使用された地図では、+のポイント手前に「ひらけた土地」の色分けがされていたので、森との植生界をアタックポイント(+地点)に設定しました。赤い丸印がフラグ位置です。このCPの前に、夜間に2つのオフトレイルのフラグCPを取っており、その2つはライトで映し出される範囲の地形をトレースできれば比較的容易に見つかるCPでした。その気の緩みから+のポイントで、コンパスによる方向維持を怠ってしまいました。この時も目の前にある尾根を距離130m(地図上5mm)、高さ20m (等高線2本分)登ればピークがあり、簡単に見つかるはずと。ところが、植生界に沿って顕著な踏み跡があり、それにつられて少し奥に入ってから、尾根を登り始めています。この時パートナーは「もっと右ではないか? 」と忠告してくれていますが、登りやすいひとつ西の尾根をスタスタと登ってしまいました。当然そこにピークはなく、少し平になり、もう一度登り傾斜が続いています。そもそも俯瞰図的に見れば、南西の892mから北東の941mに向かって大きな斜面であり、それもイメージできていませんでした。そして昼間であればよく見えるであろう東側の沢地形を見逃しています。夜間はライトで見えている範囲が限られているからというのは事実ではあるけれども、基本を怠った言い訳とも言えます。パートナーは「今ちょうど等高線2本分のぼったぐらいですよね」とブレーキをかけてくれました。最初の忠告を思い出し、東へ移動しながらライトの出力をあげ、注意深く見ると、沢地形があり、その先に薄っすらと尾根地形が確認できました。さらに近づきながらライトを丁寧に当てると、フラグのリフレクティブが光りました。脱出は踏み跡や微地形に流されず、コンパスで方向を維持して最短距離で脱出できたと思います。オリエンテーリング歴の長い方ならば、OMMレベルの設定ならば、ナビゲーションという点に限って言えばほぼノーミスで切り抜けられるはずですが、トレイルランニングをベースに活動している方にとってはそうもいかないはずです。慌てずにパートナーと力を合わせて乗り切って欲しいと思います。そして自分がそうであったように、OMMをきっかけに、この競技人口が増加し、海外ではスタンダードとなっている24時間ロゲイニング(村越先生談)がいつの日か日本で開催されて欲しいと願っています。