「それでも君とクラリスで走りたいのです。」
<TREK Domane AL2の無印リムブレーキを105レベルに替える際の注意点>
*この投稿をご参考に作業される方は自己責任でお願いいたします。(まず、そんな人はいない)
ブレーキシューの減りが気になりだしました。街乗り中心で、ストップ&ゴーが多い都会では減りが早いようです。こういう話ができるのもあと数年なのでしょうか?ロードバイクの新製品マーケットはディスクブレーキがほとんどです。スキーが鉛筆からカービング、テニスラケットがウッドからグラファイト、ラージサイズへと変化したように。
「う~ん、まだいける?」と思いきや、これはアウトですね。正面から見ると、本来横に走っているはずのグルーブ(溝)がない!
当然ブレーキシューって替えられるよね?調べてみると、そもそもこのブレーキはクラリスではないのです。クラリスならシマノからシューパーツが販売されているわけですが、このブレーキはどうやらTREK社のオリジナルのようです。ネットのユーザーレビューにはテクトロン社製が付いているとの情報もありますが、そのロゴもなく、確信は得られません。
訴訟社会のアメリカを生き抜いているTREK社が、変なブレーキを付けるわけがないと信じています。事実、ハードブレーキの際は、リアタイヤがロックするほど制動力はあります。ただ、よく考えてみると…
クライミングに例えるなら、認証機関のマークがなく、どこのメーカーだかわからない、耐用キロニュートンの数値表示もないカラビナに命あずけられますか?ということです。
TREKのことは信じているけれど、どうも落ち着かないのです。
それと、TREKストアに行って互換性のあるシューを質問するより(多分ボントレガーブランド)「ブレーキ本体(キャリパー)から全部替えてしまえ」 と考えました。
それで、コレ。
「えええ―――!105(イチマルゴ、上位機種)ですやん!クラリスじゃないのかい!」
そうです。すいません。このブログのサブタイトルに反してクラリスより上位の機種(全体では中の上ぐらい)を選びました。あるYou Tuberが言っていましたが、「ブレーキとヘルメットをケチったら○ぬ」というのは、ちょっとリスクのある山遊びもやってきた私にとってはとても刺さるフレーズでした。ただ、購入して半年、ワイヤーはそのまま使用しようとしましたが..びよー ん!
「あらま、失敗(泣き)」
そもそもエンドキャップが固く閉じてあり、それを抜くときに、束となっている1本が解けてしまいました。フロントも同じく失敗。ワイヤーも替える必要がでてきました。これも今までより上位品種、シリコンコーティングのワイヤーを選びました。これはよさそうです。
AL2 リムはエントリーモデルですので、ワイヤーは内装式のバイクフレームではありません。ハンドルに巻いてあるバーテープ(滑り止め、振動吸収)も交換する必要がでてきました。再利用も可能ですが、ちょっと気分を変えて、柄の入った、先端だけにゴールドカラーの入ったものをチョイス。
キャリパーのセンター出し、シューのトゥイン調整(ここでは難しい話なので省略)はいくつかのYou Tubeを見て完成。我ながら調整は上手くできたと思います。
さて、実走した感想はと言いますと、
「おおおー、全然違うじゃん!早く言ってよ!」
当然、ちびっていた古いブレーキシューや伸びて遊び幅が大きくなっていたワイヤーでのブレーキング感覚と単純な比較はできませんが、明らかに違います。効き始めの感覚はレバーの遊び幅の設定にもよりますが、効き始めてからが違いました。古いブレーキはそこからさらに強く握って止めていたのですが、新しいブレーキはそのままの力で握っていても、硬いものでガッチリつかんで、止まってくれる感覚です。キャリパーの剛性なのか、ワイヤーの摩擦が小さいからか、おそらくはその両方でしょう。そしてなにより、乗っていて、ぱっと視線を下に移したときの見た目の剛性感、頼もしさが、これまでのブレーキキャリパーとは全く違うのです。この心理的要因は大きいと思います。命預けるわけですからね。
さて、これにて、終了!一件落着!と思いきや、これからが本題なのです。
下の写真でお気づきになる方はロードバイクに限らず、自転車歴の長い方ですね。そう、ブレーキシューがタイヤ側に近すぎるのです。このシューとタイヤの間隔を1mm以上取らないと、タイヤに当たってしまう現象が発生します。つまり、自分はロングアーチと言われるキャリパー(本体)が必要なフレームに、一般的な51mm前後のショートアーチタイプを付けてしまったのです。エントリーロードバイクは通勤通学も視野に入れているので、フェンダー(泥よけ)がオプションで追加できるモデルがあります。そういったモデルはロングアーチのブレーキが必要なケースが多いようです。調整穴の一番下に取付れば、静止状態ではタイヤに当たっていないので、違和感を感じなかったのですが、この状態でダウンヒルでブレーキングすると、フロントタイヤに荷重がかかった際に、タイヤがたわみ、ブレーキシューがわずかにタイヤに当たるようです。実際にタイヤが傷んでしまいました。いつパンクしてもおかしくない状態です。
ロングアーチのキャリパーを探すと、105(イチマルゴ)相当と表記された写真のモデルが検索されましたが、廃盤であり、市場には出回っていないようです。運よく在庫を探し出しても、シルバーしかなく、フレームに合ったブラックはないようです。フレームと色があっていなくても、それもカスタム感があっていいかなと探しても、在庫なし。ブレーキキャリパーの中古はなんとなく気が向きません。
現行で流通しているロングアーチのキャリパーは下のモデルだそうです。Shimanoの公式 Web siteでは、どのグレード相当という言い方もされていませんでした。そもそもアーチが長い分、剛性が落ちるのだから、その表現自体がメーカーとして適切でもないでしょう。ただ、価格はお手頃で、自分がこの後に選択した、パーツを買うよりも安く、機能的にもその方がよいと思います。ただ、一度105(イチマルゴ)のしっかりとしたデザインを見ると、この視覚的な安心感を生かしたくなりました。
そこで、選んだのが、オスセット10mmのシューカートリッジのパーツ、つまりシークレットブーツのようなものといったらわかるでしょうか。アーチが短い分、カートリッジの取り付け部分でいわゆる上げ底をします。
そもそものキャリパー交換が、「出所のわからないものは嫌だ。」というのが動機でしたので、一応調べました。サイクルパーツを生産販売している日本の会社であり、(生産は台湾)ホイール商品には定評があるようです。
さてどうでしょう。調整の段階から予感はしていました。やはりこのパーツの剛性が弱く、せっかくの105のキャリパーの剛性を生かせないのです。具体的には、完成車に付いていた無印ブレーキと同じように、効き始めからさらに握りこんでいかないといけないのです。よく言えばスピード調整幅があると言えないこともないわけですが、ブレーキの目的は止まることが第一義である以上、あの、がっちりと掴んで離さない剛性感のブレーキングが欲しいのです。
上のパーツは合成樹脂でした。だから握りこんでも、グニュっとなる。力が逃げる。「こういうものを金属で作れないかな。そんなニッチな需要に金型作って、採算取れないだろうから無理だろうな。」とぼんやり調べたらありました。削り出しのアルミ金属で、しかもオフセットが5mmです。正直、前記の10mmオフセットは長すぎて、調整穴を最短で使用しても、今度は逆にシューがホイール内側へはみ出さないか心配でした。もちろんパーツの剛性は短い方が硬くなります。そして金属、出どころはBOMA(リンク)というカーボンフレームを生産している日本のメーカーであり、プロライダーもサポートしているようです。「偉い、貴社は偉いです。多分、こんなパーツ作っても儲からんでしょう。だってその値段でロングアーチキャリパー買えますやん(笑)」こういう企業が好きです。私もせっかく購入した105(イチマルゴ)を不燃ごみに出さずに済みました。メルカリという手はあったな(笑)。
そして届きました。
握った感じも良い。そして実走した感覚は..
「おおおー、結構いい感じ、早く言ってよ!」
パーツ無しの剛性感までとはいかないものの、フロントのガッチリ感もそこそこあって、私のスピードレベルでは十分に安心感を確保できるものでした。
メーカーの完成車というのは、ターゲットに対して基本フレームをベースに、パーツ構成や、スペック(寸法)を決めていくわけで、どこか、なにかを1つだけアップグレードすることは、設計者が考えたバランスも崩すことなのでしょう。今回のような、なんらかのドタバタ劇を誘発するリスクを多分に含んでいるのも事実です。まあそれが楽しいのですけど。今はネットでなんでも検索できる時代ではありますが、誤った情報も含まれています。やはり信頼できるプロショップに相談しながらやるのが正しいのだと思います。
それでは皆さん、Good ride!