相方が友人からロードバイクを譲り受けることになりました。普段はクロスバイクで私のロードバイクと一緒に走っていますので、もうそろそろロードバイクが欲しいと探していた矢先のことでした。
CINELLI Experience 2011 ( or later year )
初代のオーナーがプロショップの奥様だったということと、2人目のオーナーも相方の友人で、とても丁寧に乗られていたおかげで、コンディションはよい状態です。そして調べれば調べるほど興味が湧いてくるブランドでした。SUPERCORSA(スーパーコルサ)という伝説的なレースバイクがあり、現在でもクラッシクフレームの愛好家に向けて美しいハンドメイドフレームが販売されています。
現在、自転車のイタリア御三家ブランドは、PINARELLO 、COLNAGO(コルナゴ)、DE ROSA(デローザ)、と言われますが、ツール・ド・フランスのようなグランツールと呼ばれる大きなレースのチームスポンサードをすることによって、最新テクノロジーをベースに新製品を開発する企業姿勢がうかがえます。一方、CINELLIはそういった伝統的なレースのサポートからは離れ、2018年までRed Hook Crit(レッド・フック・クリット)と呼ばれる公道でのピストバイクレース(固定ギア、ブレーキ無し)のチームTEAM CINELLI SMITHをサポートしていました。ただ、このレースはあまりにも過激であるが故か、コロナ禍での中断が痛手だったのか、2019年から開催されていません。エンターテイメントとカウンターカルチャーの匂いがする競技というのは、いつの時代も、どこの国でも肩身の狭い思いをするのでしょうか。そんなマーケティング手法や、アパレル、キャップのグラフィック、昔のカタログまでがアーカイブとしてネット上にあり、アートクリエーティブなバイクとしてのポジションを感じ取れます。
こんなところに遊び心のあるグラフィックが埋め込まれています。大量生産の効率重視生産ラインではやらない仕様です。生産管理泣かせのデザイナー優先仕様と言ってもいい。この当時の完成車はナローリムの15C、タイヤは23Cで、エントリー向けのジオメトリー(フレーム設計寸)を謳いながらも、乗り味は硬めのレース向け仕上げのようです。なにせ、フレームは親会社COLUMBUS社の7005系というレベルの高いアルミが使用されています。私が踏み込んだ時も、加速感は自分のTREK Domaneより機敏な反応をします。さらに、既にこの年代に将来タイヤのワイド化を見越してフレームは28Cまでのクリアランスと、リア側へのワイヤーは半内装式という美意識高め仕様でした。
<ちょっとカスタマイズ/ 基本的な考え>
CINELLIブランドのメッセージを生かしながらも、ホイールリム幅、タイヤ幅を広くして、乗り心地をいまっぽくしながら、ワイヤーなど見えないところに現代のパーツ性能を融合させてみました。タイヤ周りやホイールなど、走りの軽さに直結する部分は、少し余白を残すこと。それは、これから相方がどんなチャリンコ LIFEを送るかによって、さらなるカスタムなのか、3台目の購入なのかは時間をかけて考えればよいことでしょう。
コンポーネント シマノ5700系105- 10速について
オリジナルのカタログではカンパニューロが組まれていましたが、日本向仕様でしょうか、シマノです。つい先日、世の中では105の12速が発売されたそうですが、何枚あっても踏めるギアは1枚、そのまま使わせていただきます。
①まず洗車、なにがともあれ洗車、ただしマンション暮らしで大胆に水洗いできませんので、ここはプロの洗車を活用することに。簡易コーティングもあり、白の光沢がよみがえったようです。SENSYA(リンク)を予約して持ち込み、店舗までの自走で、変速系、ブレーキ系の動作確認。
そして、ピカピカになりました。
②変速駆動系→ スプロケの分解清掃、チェーン清掃のみ。よくメンテされていて、きれいに変速が決まるので、本音はなにもいじりたくなかったのですが、ワイヤーに錆がでているので、ワイヤー交換を決意。インナーワイヤー、アウターワイヤーとも表面を電着加工の施してあるシマノ OPTISLICKワイヤーと交換、もう一度ディレイラーの可動域調整とワイヤーテンションの調整をしました。当然、自分のクラリス8速より繊細で時間がかかりましたが、苦労した分、とても勉強になりました。
③ブレーキ系 → キャリパー本体はそのまま使用、この時代の105(5700系)キャリパーをリリースして開く幅は、25Cでも脱着は余裕でしたが、28Cは対応していないようです。ワイヤーはインナー、アウターともPTFE加工のシマノSIL-TEKへ交換して引きを軽く、外車仕様の右後ろブレーキ、左前ブレーキから、日本仕様の右前、左後ろに組み換え、ブレーキシューは新品へ交換、センター出し、トゥイン調整、遊び幅小さめに設定。
ブレーキ、シフトとも、リア側へは半内装という仕様でしたので、ちょっと苦労しました。
④ホイール シマノ R501 リム高 30mm 15C幅 をBontrager TLRの17C幅に交換
リムに描かれているグラフィックロゴがR500とありますが、ハブ(中心)をよく見ると、WH-501と書かれていました。私のTREK完成車に付いていたBontrager TLR(チューブレスレディ)の17Cホイールへ交換しました。エントリーモデルの完成車ホイールですし、太くなった分、さほど軽量化はできませんでしたが、今どきの乗り心地と安定性、タイヤ幅と合わせて、耐パンク性能はアップできたはずです。
⑤タイヤ― PANARACER Closer Plus 23Cを25Cに
ネットレビューでは少し硬めとのことですが、価格の割に軽量なのと、サイドにカラーが入ったタイヤでCINELLIのアート感を生かすことができました。
⑥チューブ、Bontrager スタンダードタイプ 105g ここを軽量タイプにするか、私と同じタイミングでチューブレス化するのか見極めるため、とりあえずの選択です。
⑦サドル、クッション重視のソフトタイプで太目のスチールレールから、もう少しレーシーなタイプSELLE SMP のHELLへ交換、相方チョイスのイタリアンデザインがCINELLIに合うのと、最新の人間工学とやらを取り入れてみる。
⑧ステムがオリジナルのCINELLI製ではなくUNO & Kalloyの軽量ステム 70mm 7°(+ハンドル)が付いていました。最初のオーナーのお考えがあってのことでしょう。ポジションを細かく探るまでは、そのまま使用するのがよいだろうと判断
⑨ペダルはスチール(?)で比較的大きさのある片面SPD片面フラットのPD-A530と刻印のあるペダルが付いていました。これはそのままにしてSPDシューズから始めようとしましたが、どうしても女性用のSPDシューズは選択肢が少なく、SPD-SLを購入することに(汗)コンポ全体が105ですので、105グレードのPD-R7000を購入、カーボンがベースで、回転する部分のペダルの軽量化はそれなりに有効だと思いますので、結果OKかと。
⑩本人希望もあり、ワイヤーのエンドキャップ、フレンチバルブのアルミキャップ、ボトルホルダー、ハンドルのエンドキャップを光沢あるもので女性らしく。
最後にホイールに付属されていたクイックリリースの動きがなんとなくギクシャクするので、ULTEGRAグレードのクイックに交換
そして…
タイヤ幅、リム幅を上げたカスタムでもなんとか8kg台を達成、さらにここからホイールを前後セット1,500g前後のもの、チューブを軽量タイプかチューブレスタイヤにすれば、7Kg台になり、実測、体感ともさらに軽くなるでしょうが、それは前述の理由で余白を残しておきます。一世代前のロードバイクのちょいカスタムを経験することで、ここ数年のロードバイク、パーツの進化の方向、考え方、(商業的にも)を理解できたことが初心者の自分にとって何よりの収穫でした。それよりも、この粋なアートなグラフィックデザインのフレームで、最新のカーボンバイクをぶち抜いたらすごくカッコイイと思います。
<番外編>
上記のCINELLIについていたホイール、Shimano WH-501を、Giant Escape r3 の最新モデルにはかせたら、なんとなくレトロフューチャー的なクロスバイクになりました。アルミのシルバーカラーと、R500というグラフィックデザインがそうさせているのでしょう。ナローリムに25Cタイヤですので、街中での乗り心地は硬めになりますが、速い! 速い!クロスバイク最速かも。