当初この記事はキリアンジョルネのSKIMOによるクロストレーニングを紹介する記事に、自分のレンタルスキーのレビューを付記したものでしたが、そちらの方がボリュームが大きくなってしまいましたので、タイトルを改め、スキーレンタルの備忘録としてまとめてあります。SAJ1級レベルの復活スキーヤーですが、トレイルランニングとロードバイクのおかげで、若かりし学生スキーヤーの頃よりも脚筋力、コアの強さはあるかもしれません。
2025年1月
VAN DEER H-POWER 68 168cm センター68mm R13
スイスのレザンというスキー場(リンク)でのエキスパートレンタル、選べる板の中で、お、と思ったのがこのVAN DEERです。どうせなら日本ではまだ、あまりお目にかかれない板を履いてみたい。そしてスペックを見ると、これまで自分がいいフィーリングで乗れたセンター幅、長さでしたの迷わずピックしました。
- R13mで、硬くしまったバーンのせいか、ターン前半の挙動が落ち着かなかったが、前半の始動期から積極的に捉えていくことで解決できました。このモデルは SLレーシングをベースにしたエキスパートモデルで、当たり前といえば当たり前のことで、シーズン初めで自分の技術が対応できていなかったのだと思います。
- ウッドコアの質の良さからか、乗り味は無機質的なものではなく、雪面感覚もあり、自分の好みです。OGASAKAのKeosに似ていると感じました。
- 自分の技術ではターン前半からカービングさせていくようなことができないので、少しオーバースペックなのかもしれません。もしかすると、H-Power 78というGSベースのモデルの方がよいのかもしれませんが、このモデルを乗りこなしたという欲求を引き出してくれる好印象でした。Keosと同様に購入するならコレの候補に入ります。
ヨーロッパのスキー場で滑るのは数十年振りだったわけですが、硬くしまった急斜面バーン(圧雪フラット)をこの板で滑ると、自然と広めのスタンスで、内足のエッジも上手く使いながらスピードに乗り、ターン前半から積極的に捉えることができたように思えます。日本では理屈ではわかっていてもできなかったことを、とっさに身体とスキーがそうさせてくれてたように思えます。自分の古いテクニックをアップデートしてくれたとも言えて、とても満足のいくレンタルでした。
今回からレンタルしたスポーツショップの情報のリンクも付記しておきます。Hefti Sports (リンク)のスタッフは、こちらの話をよく聞いてくれて、親切に対応してくれます。フランス語圏のスイスですが英語も通じます。
また今回のスイス〜フランスでのアクティビティーにおいてMMAに使用されるポーラテックのインナー、ミッドレイヤー素材をテストしてきました。フィードバックされ、製品開発に還元されます。
=========== 以下のレンタルは時系列(古いもの順)==============
2022年2月
OGASAKA Unity OS-2 160cm センター75.5mm R14.8m
https://www.ogasaka-ski.co.jp/alpine-ski/unity-u-os2-19/
- クラッシックスキー以外で、初めて乗ったいわゆるカービングスキー
- あまりの楽チンさに驚愕する。
- レンタルブーツのせいか(?)スピードを上げた時、ターン後半がバタバタして落ち着かない。スキー長の短さのせい?自分としてはターン中間部分でしっかり乗れている感覚があるので、板の剛性不足かと思う
- レンタルのチューンナップコンディションはあまり良くありませんでした。
- 雪質は適度に柔らかく、後半のバタつきとチューンナップ状態は関係ないと思われる。
2023年2月
ATOMIC Redster X9i 168cm センター65.5mm R14.6 m
- SALOMON STATION( https://nozawaski.com/report/3629/ ) でSALOMON S-Max12を借りようとしましたが、長さの在庫がなく、ATOMICのトップデモモデルを選択
- 振動吸収システムのせい(おかげ)か、乗り味は無機質。これを逆に良いと捉える人もいるはず。あくまでも個人の好みです。
- ターン後半、きょときょとして落ち着かない。バタバタではなく左右方向のきょときょと。後半だけでなく、中間部分から力が逃げて横ずれ、スキーが走らない。自分の技量では板を前半からたわませて、カービングさせることができていないのだと思われます。板に対して自分の技量、筋力、両方不足
- レンタルブーツとのレベルの差異も原因の1つかもしれません
このブログを目にする方々はランナーの皆様が多いと思うのですが、スキーメーカーが想定する身長(スキー長)に対する体重よりも、ランナーの体重はかなり軽いはずですので、脚力はあってもフレックス柔らかめ、体重からの逆算でスキー長を決めるとよいと思います。
2024年1月(1日目硬めの圧雪、アイスバーン)
OGASAKA Keo’s KS-PS 165cm センター67.5mm R13.8m
https://www.ogasaka-ski.co.jp/alpine-ski/keos-ks-ps-24/
- 本当に気持ち良い。前半から楽だが、しっかり踏んでコントロールできるため、まわり過ぎることもなく、後半はカリカリのアイスバーンでも不安なく噛んで走る。
- この板から、自分で購入したブーツ SALOMON S/PRO 120 Alphaを履いている分を加味しても、圧雪バーンでの気持ちよさはすばらしいと感じる。
- 但し、非圧雪のコブ斜面ではしっかり踏めず、身体が常に遅れ気味で、リカバリー的にぶん回そうとしても重くて回せず。板がどうこう言う以前の自分の技術の問題
- 新雪を滑る機会はなし
- ウッドコアの良さからか、しっとりと落ち着いたコンタクト感があり、雪面の状態をありのまま足裏で拾っていける。ただ、あくまでもしっとり系、上記ATOMICとは対照的
2日目、新雪後の圧雪、荒れた非圧雪、重い新雪を少しだけ
ELAN Rip stick 96 Black Edition 180cm センター96mm R18.0m
https://www.elanjapan.net/ripstick-black-edition-1/ripstick-96-black-edition
- 初めて経験したフリーライド系の板「オンピステでもしっかり切れる」というレビューのあるものを選択
- スキーのインサイドはキャンバー、アウトサイドだけロッカー構造という変則技。初めてのロッカー構造でしたが、キョロキョロするような不安定さはない。(長さでカバーしている?)
- センターの幅96mmは良し悪し、慣れれば問題ないのかもしれないという直感はあります。
- そのセンター幅からか、荒れた急斜面も、そのまま気にせず踏んでいけば、安定したまま走ってくれる。ちょうどトレランで言えば、厚底シューズで下りで神経を使わず、ガンガン走れる意識感覚と似ています。
- ただし、前日に履いた Keo’sの好印象が強く、圧雪バーンでは、中盤から後半の走り、切れ、雪面からのコンタクト感みたいなものが物足りない印象となりました。前述のATOMICもそうでしたが、コンタクト感が無機質(プラスチック的というか) なのです。
- それでもコース脇の新雪に入った際に感じた浮力には魅力を感じます。緩斜面の湿った新雪での数ターンでしたが、この板でパウダーに入ってみたいという気持ちがフツフツとわいてきます。スキーをこういう板から始めて、そういう楽しみ方をしていくならば、圧雪バーンでの物足りなさを感じることもないでしょう。良い悪いではなくて、スキーのどういう魅力にひかれるかという、楽しみ方の違いのお話です。
<レンタルか 購入か、それが問題だ>
野沢温泉のレンタルショップ Snow Sports THANX(https://sportsthanx.com/)に関して言えば、チューンナップコンディションは素晴らしかったです。表面には相応の傷がありましたが、滑走面、ワックス、エッジ状態とも、私が手入れするより良いのではと感じました。これらの板は、最初のUnity旧モデルを除けば、ビンディングとセットで15万円オーバーです。これほどのレベルの板を1日4,000円ほどで借りられるならば、年間の総滑走日が10日程度では、レンタルの方が圧倒的に合理的です。圧雪、アイスバーンの日はOGASAKA Keo’s、非圧雪を滑る日は ELAN Ripstick というようにエキスパートレンタルから選ぶのも楽しみの一つだと思います。それでも滑走日数20日超えが2年続けば購入と変わらない金額になりますし、このレベル(チューンナップ状態含めて)のレンタルショップは日本全国各スキー場には存在しません。悩ましいところです。
2024年1月追記
OGASAKA Unity FS-1 165cm センター76.5mm R16.3m
Keo’s KS-PSに近いとされる、購入候補のOGASAKA Unity FS-1をレンタルできたのでこれも備忘録として記録しておきます。
https://www.ogasaka-ski.co.jp/alpine-ski/unity-u-fs1-23/
- ショートターンで初めてカービング要素を感じてリズムを刻めた。この点はKeo’s KS-PSよりも自分に向いている
- 荒れた新雪でも扱いやすい
- ただし、やはりアイスバーンでスピードを上げるとバタつく。自分が内足を上手く使って荷重分散をできればそれも収まるように思えるが、技術が追い付いていない。
- それでも結論としてはKeo’s KS-PSの方が自分は好きだ。理屈じゃない。感覚で。今シーズン、Head、Fischerなど、上記ATOMIC以外の輸入デモモデルもレンタルしてみたいと思う。
2024年2月追記
SALOMON S-MAX12 170㎝ センター幅71mm Radius 15m
https://salomon.jp/products/smax-10-and-m12-l473556
- 全てにおいて優等生
- 切ろうと思えば切れるし、ずらそうと思えば前半からずらしてコントロールしやすい。
- スピードを出した時の安定感が少し物足りない。これ以上求めるなら S-RACEにしろってことだな。
今年購入したSALOMONブーツもそうだが、なにか特徴的なものがあるわけではなく、すべてにおいて合格点というのが、現代の大手ブランドが作る板なのだな、と思う。昔より縮小したとは言え、スキーも産業である。マスマーケットに対してのモノづくりに手を抜いて経営はなりたたないのだろう。そんな安心感をこのブランドには感じます。
2024/3/17追記:
SALOMON ADDIKT -Pro https://salomon.jp/products/addikt-pro-and-z12-l473553という板が気になり出した。試乗なしでいきなり購入するかも。前言撤回!サロモン攻めた面白い板つくるじゃないか!