走歴の長いトレイルランナーならば、一度は山の中で美しい山桜を見たことがあるのではないでしょうか?だけれども、里にある染井吉野のように、観賞用に植えられ、何本も並んでいる桜木と異なり、スマホで写真を撮ってもあまりパッとしない。プロが取れば美しいのでしょうけど。遠くに1本だけ咲く山桜や、トレイルに散った桜の絨毯を見られるのは、日本のトレイルランナーの特権だと思うのです。そして、スマホでその写真を撮っても消してしまうから、その開花時期や、正確な位置が記録されず、自分の記憶の中だけにある。いつ咲いて、いつ頃満開で、いつ散ったのか、正確に思い出せないのです。
ウイキペディアでは、
「ヤマザクラは多くの場合葉芽と花が同時に展開するので、花が先に咲くソメイヨシノと区別する大きな特徴となる。また成長に時間がかかり、花の数も少ない。ヤマザクラは野生種で数も多いため、同一地域の個体群内でも個体変異が多く、開花時期、花つき、葉と花の開く時期、花の色の濃淡と新芽の色、樹の形など様々な変異がある。」
とある。なるほど。「今年初めて見たのに、もう葉桜で終わりなんだ」と思っていたら、その後、長い間咲いていたり、亜種が多いから、観賞用クローンであるソメイヨシノやその他の桜品種と異なり、開花時期、散る時期も様々なのでしょう。冒頭に私が書いた「山桜」のタイトルを見て、皆さんの心に描いた、トレイルの、あるいはトレイルから見た山桜は人それぞれ、同じじゃない。だからインスタに上がることもなければ、インバウンド観光に利用されることもなく、ひっそり山の中でトレイルランナーを見守っているのかもしれません。
山へ行く機会がなければ、やはり街中の桜を楽しむも良いものです。ただ、人で混雑する花見は気が進まず、今年はロードバイクで都内のいくつかの桜並木をゆっくりとポタリングしました。有名なところでなくとも、桜のトンネルはありますね。その中央付近を走れるのは自転車の良いところだと思っています。