短距離走など無酸素運動では炭水化物がエネルギーの源となるのに対して、エンデュランス系の有酸素運動では炭水化物と脂質が半々くらいの割合で使われます。その際、まずは燃焼しやすい炭水化物が優先的に使われ、炭水化物が枯渇すると脂肪が使われます。
一方で、人の体の中には15%もの脂肪が存在するのに対して、炭水化物はたったの1%ほど。
せっかくなら体にたくさんある脂肪をうまく使えるようにしたいということで注目されているのが高脂質ダイエット。食事から炭水化物・糖質を極力減らす一方で、脂肪を増やすことで、脂肪が燃焼しやすい体質に変えていきます。
つい先日100マイルのアメリカ記録を更新したZach Bitterも実践し、エンデュランス・スポーツ界でも注目されているダイエットです。
以前ブログで紹介した「The Real Meal Revolution」は一般的なダイエット法として書かれた本ですが、その後にエンデュランス・スポーツにおける低糖質・高脂質ダイエットの有効性について解説した「The Art and Science of Low Carbohydrate Performance」も読み込んだ上で、しばらくレースがないシーズンオフを利用して、妻に協力してもらって私もこのダイエットを試してみました。
いつもは朝にパンとオレンジジュース、昼は麺類やお好み焼きやピザなどの粉物と、炭水化物・糖質が多い食事をしていましたが、これから試すダイエットではすべて食べられません。果物も糖分が多いので極力摂りません。また「The Real Meal Revolution」で推奨されているダイエットは「バンティング・ダイエット」といわれるダイエットの系列に属するのですが、遺伝子組み換えで体に悪いから等の理由で豆類も食べてはいけないものとされています。
その代わりに摂るのは、ベーコンや皮付きの鶏肉など脂質の多い肉類。それからアボカド、チーズ、卵など。野菜はしっかり摂ります。砂糖の替わりにはステビアを使います。
普段食べているものの代わりになるようなものということで、まずはパンを作ってもらいました。でも小麦粉などは使えず、その代わりに使ったのがフラックスシード、ココナッツパウダー、アーモンドパウダーなど。
…美味しくない。全然美味しくない。パサパサで、独特の臭み。おんなじような原材料の市販されているパンも買ってみたものの、これまたぜんぜん美味しくない。
続いて、ココナッツパンケーキ。これも今ひとつ。甘みが足りない。
卵・アボカド・ベーコン・トマトのサラダ。これはふつうに美味しい。
麺類の代わりには、ココナッツオイルで炒めたズッキーニヌードル。トムヤムクンスープと一緒に。味はいけますが、麺類ではない。
ご飯の代わりはカリ・ライス。カリフラワーをやはりココナッツオイルで炒めたもの。これも悪くない。けどココナッツ系ばっかりでちょっとつらい。
確かに、以下の様なポジティブな効果は感じました。
- オフシーズンでさほど運動量が多くなかったにも関わらず、比較的低い体重を維持できる。
- 油が多く消化に時間ががかるためか、お腹があまり減らない。
- 最後の一週間は一時間半程度の軽いランニングをしていたが、特に体力的な問題を感じない。
しかし、総じて以前の食事を上回る美味しさには出会えないだけでなく、似通った食材を使わざるを得ず、バラエティの少ない食事にだんだんつらくなってきました。あぁ食事が楽しくない!
加えて、なんだか口の中になんとも言えない不快感がでてきました。糖質を制限すると「ケトン臭」とよばれるダイエット臭が発生するらしいのですが、もしかしたらそれでしょうか?
さらには、以下の様なネガティブな側面が。
- 料理に手間がかかる(結果、妻の機嫌が悪くなる)。
- カネがかかる。
ということで、なんとか二週間ダイエットを続けてみたものの、今後も耐え続けられるかを自問した結果、継続を断念。なによりも食事がつまらないというのは辛すぎます。
ふぅ、これで年末年始に心置きなく美味いものが食えます。